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日経記事;"武田新興国での医薬品販売前倒し買収先販路活用"考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月26日付の日経新聞に、『武田、新興国での医薬品販売を前倒し 買収先の販路活用』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は以下の通りです。

『武田薬品工業は新興国での医薬品の販売時期を前倒しする。これまで日本や米国などで発売した医薬品の新興国への本格投入は5~6年後となるケースが多かったが、1~3年に短縮する。

2012年度には3製品を売り出す方針。昨年買収したスイスの製薬大手ナイコメッドの販路も使って有力な新薬をブラジルやタイなどに投入、有望市場の開拓を加速する。

武田は逆流性食道炎の治療薬「デクスラント」の販売許可申請をブラジルやタイ、韓国、台湾、香港の各国・地域で出しており、承認が得られた段階で順次売り出す。

高血圧の治療薬「イダービ」や糖尿病薬「ネシーナ」はタイやブラジルなどで申請中で、12年度末までの発売を目指す。

武田はイダービを米国で11年4月に売り出している。保健当局の審査が順調に進めば、販売開始から2年以内で新興国に投入することになる。

日本の製薬会社は市場が大きい先進国で新薬を開発・発売することに力を入れてきた。このため日米欧で発売した新薬をアジアや中南米などでも売り出すのは、5~6年後になる場合が多かった。

ナイコメッドはブラジルなど南米での営業網が強く、武田は韓国や台湾に広い販売網を持つ。新薬の拡販では両社の既存の組織を最大限に活用する方針だ。

中国やブラジルなど新興国での武田の売上高(10年)は178億円だったが、ナイコメッドを傘下に収めたことで1426億円に増えている。売上高全体の中で新興国が占める割合も10年度は3%だったが、15年度には21%まで高める方針。新薬を素早く市場投入することで目標達成を目指す。

日本や米国などは医療費の抑制を徹底し、医薬品市場が伸び悩んでいる。米調査会社IMSヘルスの推計では、15年までの米国の医薬品市場の年間成長率は最大で3%にとどまる見通し。

一方で中国は22%、ブラジルでは13%の市場拡大が見込まれ、日本の製薬会社が成長を続けるためには新興国向け事業の強化が欠かせなくなっている。』


武田の海外展開に拍車がかかってきました。記事の内容通りだとしますと、武田は2011年に買収しましたスイスの製薬大手ナイコメッドの販売網をフル活用して新興国市場開拓を一気に行う計画です。

武田のナイコメッド買収額は、全株式が対象で96億ユーロ(約1兆1000億円)と報じられました。武田は、ナイコメッドが持つ欧州や新興国の販売網や慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬などの新薬を獲得。

武田はこの買収により、糖尿病治療薬など主力薬の特許失効で鮮明化する業績の下降に歯止めをかけるための道筋をつけることに成功しました。

ナイコメッド買収で、新興国市場でのプレゼンスは大きく高まりました。武田の2010年の新興国における売上高は178億円でしたが、ナイコメッドが加わることで、9倍近い1426億円に急増(現地子会社の売上高ベース)。

手薄だった新興国での販売の足がかりを得ることが出来ました。また、欧州での販売額も、倍以上の3000億円近いに達することになります。

1兆円以上の買い物をしたわけですので、武田はナイコメッドのインフラをフル有効するのは当然のことです。また、買収後の融合作業が上手く行っていることを示しています。

武田は、昨年買収発表に際して、ナイコメッド社の現経営陣や幹部社員の維持に力を注ぐとしており、経営の意思決定については当面、大きく変えないとしていました。

武田はこの大型買収前から、同社の弱点を補強するための大型M&Aをここ数年来模索してきました。外国人幹部が武田の中で働いており、買収後の組織融合をスムースに行う企業文化が根付いているようです。

これがないと、買収後に短期間で新事業展開を行うことは難しいです。今後、外国企業を買収して、海外事業強化を図ることを考えている企業は、武田の動き方は大いに参考になります。

良い事例となる他社の動きは積極的に勉強することをお勧めします。

さて、従来、国内の大手企業が海外展開する時は、欧米市場を優先して入りその後に新興国開拓をするやり方が普通でした。

医薬品市場の場合、記事にあります通り、国内やアメリカ市場は医療費抑制が進んでおり、市場の拡大が見込めません。

新興国の医薬品市場の場合、中国やブラジルは二桁以上の拡大が見込めます。武田は、ナイコメッドを活用して一気に新興国及び欧州市場での販売強化に打って出ます。

ナイコメッドの買収目的が、上記のことでありますので、それを前倒しで実行し実を取るやり方を強化しています。
武田の計画によりますと、2015年度の地域別売り上げ構成は以下のようになります。

◆2010年度
・日本     40%
・北米     42%
・欧州     15%
・アジア/新興国  3%

◆2015年度
・日本     35%
・北米     23%
・欧州     21%
・アジア/新興国 21%

2015年度には、世界四地域に売上構成比がほぼ4等分されますので、どこかの地域で売上が落ちても他地域でカバーできますので、世界同時不況などの異変が起こらない限り、世界市場で安定した事業展開できる環境になります。

武田の海外展開は今後も注目し、動きを追っていきます。現時点では、M&Aを有効活用して結果を出している企業です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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