委任状勧誘についての上場会社の特則 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:事業再生と承継・M&A

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

委任状勧誘についての上場会社の特則

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. 事業再生と承継・M&A全般

【コラム】委任状勧誘についての上場会社の特則

(ⅰ)政令で定める方法以外による委任状勧誘の禁止

何人も,政令で定めるところに違反して,金融商品取引所に上場されている株式の発行会社の株式につき,自己又は第三者に議決権の行使を代理させることを勧誘してはなりません(金融商品取引法194条)。

 この条文は会社側だけではなく,委任状勧誘をしようとする株主にも適用されます。この規定に違反した者は,30万円以下の罰金に処されます(金融商品取引法205条の2の3第2号)。

(ⅱ)委任状・参考書類の交付義務

勧誘者から被勧誘者へは議決権の代理行使の勧誘に関して,委任状・参考書類の事前または同時の交付義務が定められています。

 議決権の代理行使の勧誘を行おうとする者は,当該勧誘に際し,その相手方に対し,委任状の用紙及び代理権の授与に関し参考となるべき事項として内閣府令(上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令(平成15年3月28日内閣府令第21号)以下,勧誘内閣府令といいます。1条1項)で定めるものを記載した書類を交付しなければなりません(金融商品取引法施行令第36条の2第1項)。

勧誘者は,委任状の用紙又は参考書類の交付に代えて,当該被勧誘者の承諾を得て,当該委任状の用紙又は参考書類に記載すべき事項を内閣府令(勘誘内閣府令42条1項2項)で定める電磁的方法により提供することができます。この場合において,当該勧誘者は,当該委任状の用紙又は参考書類を交付したものとみなされます(金融商品取引法施行令第36条の2第2項)。

 勧誘者は,金融商品取引法施行令第36条の2第2項前段の規定により同項に規定する事項を提供しようとするときは,内閣府令(勧誘内閣府令42条3項)で定めるところにより,あらかじめ,当該被勧誘者に対し,その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し,書面又は電磁的方法による承諾を得なければなりません(金融商品取引法施行令第36条の2第3項)。

金融商品取引法施行令第36条の2第3項の規定による承諾を得た勧誘者は,当該被勧誘者から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があつたときは,当該被勧誘者に対し,第2項に規定する事項の提供を電磁的方法によってしてはなりません。ただし,当該被勧誘者が再び金融商品取引法施行令第36条の2第3項の規定による承諾をした場合は,この限りではありません(金融商品取引法施行令第36条の2第4項)。

委任状の用紙の様式は,勧誘内閣府令で定められており(金融商品取引法施行令第36条の2第5項),委任状の用紙には,議案ごとに被勧誘者が賛否を記載する欄を設けなければなりません。ただし,別に棄権の欄を設けることを妨げません(勧誘内閣府令43条)。

(ⅲ)委任状・参考書類の監督官庁への提出

被勧誘者への交付後の委任状・参考書類を勧誘者を監督官庁へ提出しなければなりません。

 勧誘者は,金融商品取引法施行令第36条の2第1項の規定により委任状の用紙及び参考書類を交付したときは,直ちに,これらの書類の写し(これらの書類の作成に代えて電磁的記録(金融商品取引法第13条第5項 に規定する電磁的記録をいいます。)の作成がされている場合における内閣府令で定める電磁的記録又は当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面を含む。)を金融庁長官に提出しなければなりません(金融商品取引法施行令第36条の3)

(ⅳ)虚偽記載のある委任状・参考書類等による勧誘の禁止

 勧誘者は,重要な事項について虚偽の記載若しくは記録があり,又は記載若しくは記録すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載若しくは記録が欠けている委任状の用紙,参考書類その他の書類又は電磁的記録(金融商品取引法施行令36条の6第1項において「委任状の用紙等」という。)を利用して,議決権の代理行使の勧誘を行ってはなりません(金融商品取引法施行令第36条の4)。 

(ⅴ)参考書類の交付の請求

 株式の発行会社により,又は当該会社のために当該株式について議決権の代理行使の勧誘が行われる場合においては,当該会社の株主は,当該会社に対し,当該会社の定める費用を支払って,参考書類の交付を請求することができます(金融商品取引法施行令第36条の5第1項)。

(ⅵ)適用除外

 金融商品取引法施行令第36条の2から金融商品取引法施行令36条の5までの規定は,次に掲げる場合には,適用されません(金融商品取引法施行令第36条の6第1項)

① 当該株式の発行会社又はその役員のいずれでもない者が行う議決権の代理行使の勧誘であって,被勧誘者が10人未満である場合

② 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙による広告を通じて行う議決権の代理行使の勧誘であって,当該広告が発行会社の名称,広告の理由,株主総会の目的たる事項及び委任状の用紙等を提供する場所のみを表示する場合

③ 他人の名義により株式を有する者が,その他人に対し当該株式の議決権について,議決権の代理行使の勧誘を行う場合

 金融商品取引法施行令第36条の6第1項第1号に規定する場合における被勧誘者の人数の計算については,同項第3号に該当する場合における当該被勧誘者を除いて計算します(金融商品取引法施行令第36条の6第2項)。

 

このコラムに類似したコラム

事業承継と株式公開(IPO) 村田 英幸 - 弁護士(2012/02/01 16:52)

議決権代理行使の委任状の書式 村田 英幸 - 弁護士(2012/01/25 17:12)

プロキシーファイト 村田 英幸 - 弁護士(2012/01/25 17:06)

会社法を使ってできる経営承継・相続対策 能瀬 敏文 - 弁護士(2013/11/01 15:14)

ビジネス法務2011年4月号、M&A買収防衛策 村田 英幸 - 弁護士(2013/09/19 12:37)