【価値ある無料と価値ない無料】 ~ 4倍速マーケティング #7 - Webマーケティング全般 - 専門家プロファイル

谷口 浩一
株式会社チームデルタ 代表取締役
千葉県
Webプロデューサー

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閲覧数順 2024年04月18日更新

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【価値ある無料と価値ない無料】 ~ 4倍速マーケティング #7

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今どきのWebマーケティング術 成功するWeb戦略

マーケティングにおいては、今でも、【無料】と

いう考え方は有効です。

 

こんにちは。

チームデルタの谷口です。


人は、【無料】に惹かれます。

 

 

無料サービス

無料プレゼント

無料チケット

 

 

チラシにも、ネットにも、【無料】があふれてい

ます。

 

ただし、【無料】がいつも魅力的とは限りません。

【無料】が、必ずしも【買う理由】にならない場

合もあります。

 

皆さんのご経験にあてはめていただければおわか

りだと思います。

 

まったく魅力がなく、心が動かない【無料】がた

くさんあります。

 

お客様に、魅力を感じてもらうことのない、無視

されるような【無料】を提示することは、自らの

ビジネスを窮地に追い込むだけです。

 

自らの商品やサービスへの自信と誇りを傷つけか

ねません。

どうせやるなら、『ワォ!』、『そこまでやる?!』

と感じてもらえるような【無料】をやるべきです。

 

 

今日は、そんな、ものすごい『ワォ!』を大勢の

人に感じさせ、安く短時間でブランドを構築した

事例をご紹介します。

 

 

 

◆CM流さず、チラシも撒かず

 

 

アメリカで老舗のドーナツチェーン、クリスピー

・クリーム・ドーナッツは、2006年、日本に初進

出し、その第1号店を新宿にオープンさせました。

 

 

クリスピー・クリーム・ドーナッツは、広告にお

金をかけないことでも有名で、日本進出にあたっ

ても、テレビCMはおろか、チラシすら配りません

でした。

いくら新宿の好立地にあるとは言え、何もしなけ

れば認知は進みませんし、人も集まりません。

 

 

しかし、クリスピー・クリーム・ドーナッツは、

緻密かつ非常に大胆な戦略で、多くのファンを築

いていきます。

 

日本初進出直後に行ったクリスピー・クリーム・

ドーナッツの驚くような宣伝はこうです。

 

 

 

◆ドーナツ売るなら、ドーナツにものを言わせる

 

 

チラシではドーナツのおいしさはわかりません。

テレビCMでも、本当の魅力は伝わりません。

 

おいしいドーナツを知ってもらうには、ドーナツ

を食べていただくのが一番です。

 

あたりまえですけど、ちょっと『なるほど!』っ

て思わせますよね。

 

クリスピー・クリーム・ドーナッツは、店の近く

で、一週間かけて、ドーナツを配りました。

 

ここまでは、ご近所のパン屋さんでもやりそうな、

ごく当たり前の宣伝に過ぎませんが、クリスピー

・クリーム・ドーナッツは、ちょっと、いえいえ、

ものすごく違ってたんです。

 

クリスピー・クリーム・ドーナッツが配ったドー

ナツは、一週間で、84,000個!

 

すごい数ですよね。

でも、まだ驚くのは早いんですよ。

クリスピー・クリーム・ドーナッツが配ったのは、

試食用のドーナツの切れっ端ではなく、丸々1個で

もなく、何と、道行く一人一人に、同社の大人気

商品、12個入りの【ダズンボックス】を【無料】

で配ったのです!

 

 

熱々揚げたてドーナツが自慢の同社では、ドーナ

ツは立てて包装しません。

横にして並べます。

だから、12個入りのダズンボックスは、宅配ピザ

よりも立派な箱になります。

 

 

イメージしてみてください。

 

こんな立派なドーナツが12個も入った箱を、いき

なりプレゼントされた人はどう思うでしょうか?

 

『えー、ウソー!』とか、『いいの、ほんとにタ

ダでもらって??』

と思わず声が出てしまうんじゃないでしょうか?

 

クリスピー・クリーム・ドーナッツは、一週間で

この箱を7,000個配ったんです。

もちろん、無料で。

 

 

 

◆お客さんが宣伝係

 

 

さて、この12個入りボックスをタダでもらった人

はどうするか、想像してみてください。

 

全部一人で食べちゃうでしょうか?(笑)

 

たぶん、多くの人たちは、家に、会社に、持ち帰っ

たはずです。

 

 

例えば、昼時にクリスピー・クリーム・ドーナッ

ツの店の前で12個入りボックスをもらったOLさん

の行動をシミュレートしてみましょう。

 

 

あまりに驚いた彼女は、会社に持ち帰り、この

【驚きの体験】を、おそらく、たくさんの人にしゃ

べります。

そして、その話に驚いた人たちは、その揚げたて

熱々の、日本で初めて食べるドーナツを口にしま

す。

おそらく12人がドーナツを食べることになるはずで

す。

 

このうちの何人かは、日本初上陸の新しくて驚く

ような宣伝を行っているドーナツ屋に興味津々で

来店するでしょう。

 

この『ワォ!』体験が、7,000箇所で起きるわけで

すから、次に何が起きるか、みなさんもおわかり

ですよね。

 

そうです、店に行列ができるんです。

 

 

◆この大判振る舞いを計算してみる

 

これだけの大判振る舞いをして、はたして同社で

は利益を出すことができるのでしょうか?

 

この一週間のキャンペーンをちょっと計算してみ

ます。

 

 

・12個入りダズンボックス:1600円

 

・配布数:7,000個

 

 

ですから、販売価格ベースで、13,440,000円です。

ですが、原価で考えれば、約半値程度ではないで

しょうか。

とすると、6,720,000円ということになります。

テレビCMなど、とても流せるお金ではありません

ね。

チラシすら、何度か配れば使い切る程度の宣伝費

用です。

 

でも、少なくとも、7,000人が想像を超えた【感動】

を味わい、そのほとんどの人が、数万人に、その

感動を伝えたはずです。

 

数万人に、おいしいドーナツと【驚きの感動】を

6,720,000円使って届けたことになります。

 

 

ドーナツを配る店員だけではとてもできない規模

の宣伝を、お客さんが自ら行ってくれたことにな

るんですね。

 

 

もう少し計算してみましょう。

 

最初にタダでもらった7,000人も含め、1人が1つ

ドーナツを食べ、食べた人の4人に一人が、1年間

で、定番商品であるダズンボックスを3回買ったと

すれば、無料で配った1つのボックスが、14,400

円の売上をもたらすことになります。

 

ボックスの原価が売価の半値で計算していますの

で、800円の宣伝費が、14,400円の売上を生んだ

ということになりますね。

 

もしも、この800円を、値下げに使ったとすれば、

約5.5%。

ドーナツ1個160円として、5.5%値引くと、151円で

す。

 

 

『160円のドーナツが、151円です!』

 

 

と宣伝して喜んで買う人がいるでしょうか。

 

 

でも、同じお金が、想像を超えた『ワォ!』を

7,000人に届け、数万人の口コミと購買行動を発生

させたんです。

 

同じお金でも、使い方によってこれだけ大きな差

が出るんですね。

 

 

 

◆戦略はこれだけにとどまらない

 

 

実は、クリスピー・クリーム・ドーナッツの感動

は、これだけにとどまりません。

 

お店にやってきた人たちは行列に並びますが、並

んでる間に、またまた驚くようなサービスがあり

ます。

 

揚げたて熱々のドーナツを丸々1個、並んでいる人

全員に配るんです。

 

想像してみてください。

揚げたての一番おいしいタイミングで配られた無

料のドーナツを食べた人が、自分の順番が来たと

きにどういう行動をとるか。

 

ここでは『返報性の法則』が発揮されます。

人は良くしてもらうと、お返ししようとする気持

ちになります。

 

無料でドーナツをもらったお客さんは、「ドーナ

ツ1個ください」とは言わないんです。

無料のドーナツを食べたばかりで揚げたてのおい

しさを知ったお客さんの多くは、12個入りのダズ

ンボックスを買うんです。

事実、クリスピー・クリーム・ドーナッツに来店

するお客さんの8割が、ダズンボックスを買ってい

くそうですよ。

(無料配布サービスは、2010年8月末に、5,000万

個の配布が完了したとのことで終了しました)

 

 

店内には、『ドーナツシアター』と呼ばれる巨大

なドーナツマシンがあり、ドーナツが次々と作ら

れる様子を、大きなガラス越しに眺めることがで

き、待ち時間も苦にならないよう工夫されていま

す。

 

『ホットライト』点灯したら、揚げたてドーナツ

が買えるサインです。

このサインが、行列を作る一つのアイデアでもあ

るんですね。

 

 

 

クリスピー・クリーム・ドーナッツのマーケティ

ング事例、いかがでしたか?

 

【ワォ!】な感動、想像を超える感動、人の心が

動くようなマーケティングこそが、人を行動させ、

買う気にさせる原動力になる好例だと思います。

 

 

みなさんのビジネスにおいても、【ワォ!】を起

こす可能性がどこかにないか、じっくりと考えて

みてください。

 

 

マーケティングは、みなさんの言葉や行動の隅々

に宿ります。

 

マーケティングは、みなさんのビジネスの可能性

を大きく引き出し、拡大します。

 

マーケティングを無意識に意識できるようになり

たいものですね。

 

 

長い文章を最後までお読みいただきありがとうご

ざいました。

 

 

それではまた。

本日もみなさんにとって実り多き一日であります

ように。

 

チームデルタ 谷口浩一

 


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