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私立中学受験狂乱

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Educational Psychology

「私立中学受験狂乱」に関しての質問をいただきました。
「子供の成長にとり好ましくないことはわかっていても、周りの親たち、塾からの攻勢、世相に躍らせて心穏やかではない。」というご質問です。

http://profile.ne.jp/ask/q-119637/

長年日本で教育に携わり、最近の、ビジネスとして乱立する「私立中学受験狂乱」に絶対反対意見を持つ者として、解答させていただきました。
それに補足する意味と、発達・脳心理学を研究する立場からも、最新の科学的証拠に基づき「私立中学受験狂乱」への危惧と、反論をまとめてみました。

小学生を中学受験に駆り立てることは、脳の正常な発達を阻害します。 

子供の脳は6歳から12歳の間に非常に重要な発達をします。 The executive functionと呼ばれる、脳の一番高等な部分が大きく発達して来ます。  ちょうどおでこと目の裏側くらいにある the prefrontal cortexという部位です。 そこは脳の他の部分を統制し、「自分の目的にそくした行動」が出来る能力を発達させます。 その能力は、まず目に見える形として、学業成績に現れてきます。 特にCritical Thinking という論理的・科学的に物事を考え、結論に近づく能力が学習結果に現れて来ます。 そして、その能力はその後ずっと一生を通じ、子供の人生の成功にとてつもなく大きな役割を果たして行く能力です。  (Brocki & Bohlin, 2004)

具体的にThe Executive Functionはどんな能力かというと: 

1. 関係あること、関係ないことを区別し、いらないことへの注意を禁止する能力
2. 効果的に物事を進める計画を立てる能力
3. ひとつのことへの集中力と、それを持続して行う能力
4. 一面的な見方にとらわれず、柔軟な考え方を組み立てる能力
5. 実際に行動を行う場合にも、状況により柔軟に方向を変える能力

人間の脳には、このような能力が6歳~12歳の間に育つようになっています。 

ただし、ひとつ条件があります。 自然な脳の発達を阻害さえしなければ、です。  自由な時間がたっぷりあり、その中で多くのことを自分から経験していくことです。 学校から塾に直行し、指示されるまま丸暗記、問題集の解き方を覚えることに費やす時間しかない小学生の脳は、恐らく驚いて発達を止めてしまう可能性も否定出来ません。

6歳から12歳の脳に必要な経験とは。 

何が重要で何が重要でないか、自分にはどのような思考過程が合っているのか、自分はどう学習するのが面白いのか、その面白さを集中して追及するにはどうすればいいのかを、自分で考え、発見する時間がたっぷりあることです。 

親や、私立中学ビジネスや、塾ビジネスがお膳立てした時間の中に押し込むことではありません。 

たっぷりの時間の中で、ぼ~っとしたり(非常に大切なことなんですよ)、自然な遊びを通じて経験を積んだり(失敗も)、何でも思いついたことが出来ることです。 「これはいけない!」「これは関係ない」と、自分でコントロールしたり禁止したりする経験をたくさん積めること。 自分が考えたことに自分で挑戦し、いっぱい失敗し、その中から自分で学ぶたっぷりの時間です。 

そんな過程を脳がどんどん学習し、それにより、動機付けも集中力も自分の脳の命令でできるようになります。 

発達心理学では、それを Self-generation of drive と呼びます。 自分から作り出す動機です。 親や、塾には作れない動機です。

またそのようなたっぷりの時間を過ごしているうちに、脳はもうひとつの素晴らしい能力を広げていきます。 Working Memory という短期メモリーを収納する部分の発達です。 Working Memoryも6歳を過ぎるころから急激に発達し、The Executive Functionには欠かせない相棒となっていきます。

塾で指示されるまま、丸暗記し、公式を覚え、定型の回答方法を覚える子供時代を送った子供たち脳は、このような能力の発達を止めてしまうのかも知れません。 

The Executive Functionの発達をみないまま大人になった、塾育ちの丸暗記エリートたちがリーダーになってしまうこの国の、5流政治、経済・社会の体たらくの理由も見えるような気がします。

実は丸暗記だけの訓練を受けても Working Memory の一部は発達します。 発達心理学でよく用いられる脳のテストに、The digit span テストがあります。 年齢により異なりますが、4桁から8桁程度の数字を繰り返して言えるかなどを問うテストです。 

塾づけ日本の子供には恐らくある程度この能力は育つと思います。 いつも言われたことを脳において、それをそのまま呼び出す訓練を受けているわけですから。

ところが、The verbal fluency という心理テストの成績は最悪だと思います (現在Pre-research中)。 言われた題材から、自分が想像力を発揮して1分の間に何語言えるかなどのテストです。 

長年日本の子供の教育に携わ、り実感として感じていることですが、自分から発想する力が恐ろしく足りません。  塾式の勉強、日本の暗記テストの成績がいい子ほど、そんなテストをすると「え~」「え~」とつまります。 仮説どおり、脳のある部分が発達を止めているような気がしてぞっとすることがあります。

6歳くらいから始まるThe Executive Function の発達が、スピードを上げるのが8歳から12歳。 ちょうど中学受験に追い立てられる子供たちが塾づけになる頃ですね。  そして次に、高校生年齢で The Executive Functionは最後の仕上げをします。 もちろん、その年代の脳のために一番正しい環境にいることが条件ですが。 

Oh My Goodness.
その頃、日本の子供たちはまたしても大学受験の丸暗記勉強のために塾づけになりますね。 困りましたね。.

秋入学がどうしたこうしたと今更のように騒ぐより、センター試験の不手際を単なる事務ミスだとひたすら謝るより、この国の将来は、6歳から12歳、そしてTeenager に続く環境の激変が必要だと切に思います。 

すでに日本式教育が機能しなくなったことは明らかなのに、どうして一部のほころびばかりを取り繕うとするのでしょうね。 The Executive Functionのない大人が考えるからかなと、疑いたくもなります。

子供の脳の発達には、その年齢に一番適した環境が必要です。 大人が考え、金儲けのための私立中学を作り、それに便乗した塾ビジネスを繁栄させるために、子供の脳の発達を阻害する権利は誰にもないはずです。  

Reference:

Brocki, K. C. & Bohlin, G. (2004) Executive Functions in Children Aged 6 to 13: A Dimensional and Developmental Study. Developmental Neuropsychology. 20(2), 571-593

Big John Math Lessonは、Working memory, The Executive Functionの発達を助けるようプログラムしています。
子供が自分のペースで、自分で工夫して上達出来るプログラムです。


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