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センター試験のミス 不合格者が自分と向き合う機会を奪わないか

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今年度の大学入試センター試験で、問題の配付ミスなどトラブルが続出しましたね。社会科の受験システムの変更に試験監督者たちが対応し切れていなかったのが最大の原因だと、現在のところ見られています。

平野文部科学大臣は、大学入試センターの理事長を呼び出して「不利益を被らないよう、受験者の立場に立ち、適切に対応していただきたい」と述べたそうですが、特定の受験者が不利益を被らないように対処するのは当然として、こうした運営上のトラブルは、目に見えない形で絶対に回復できないマイナスを受験生に与えてしまいかねないことに気づいていないようですね。

大学入試に限らず、各種試験で不合格になった人に対し、「まぁ、これもひとつの試練だから、これを乗りこえてひと回り大きくなって欲しい」などと声を掛ける場合がありますよね。そして、事実不合格を乗りこえてひと回り大きく成長する子もいます。単に、浪人して翌年志望校に合格するとか、第二志望の学校に入学しそこで頑張るとかいったものだけではなく、本当に人間としてひと回り大きくなったと言えるような。

でも、このように不合格を乗りこえて成長するためには、まず「自分の責任として不合格を受け止める」ことが、何より必要だと思います。「あのとき、つい怠けてしまった」「怠けたわけではないけれど、あそこで踏ん張りきれなかった」など、自分の弱さとしっかりと向き合うことが、まず必要だと思うのです。そのように自分としっかり向き合った後、「じゃあ、これからのぼくは、わたしは」となっていき、その過程で精神的にもひと回り大きく成長していくのではないでしょうか。

ところが、その不合格という結果に、「あのとき、あんなことさえ起きなければ」と思えてしまうような要素が入ってくると、ストレートに自分と向き合いにくくなってしまうように思います。

得点や時間といった不利益は、適切な救済措置を講じることで、できるだけ小さくすることは可能でしょう。しかし、今回のトラブルの場に居合わせた受験生が、残念ながら不合格という結果を受け取ったときに、「もし、あのとき、あんなことさえ起きなければ」と思ってしまうことについては、どんな措置を講じても、そう思わせないようにすることはもうできません。

もちろん、人が生きていれば、思わぬ出来事に出会うことはままあります。そして、その出来事が、その後にふり返ってみると「あのとき、あんなことさえ起きなければ」こんなことにはなっていなかったのにと思えてしまうような出来事であることもままあります。ですから、そうした出来事をすべて排除することはできないのは、当然です。しかし、今回のセンター試験のように、防ぐことが可能なトラブルを、試験の運営側が起こしてしまうのは、やはり受験生にとってはかわいそうな出来事だったと言えます。「救済措置により、『客観的に見て』、このトラブルが原因で不合格になった受験生を可能な限りゼロに近づけたとしても」です。「他の受験生は救われたかも知れないけれど、自分は救われなかった」と思ってしまう受験生をゼロにはできないからです。

私が今、「防ぐことが可能な」と言ったのは、各予備校はこの新しい受験方法に合わせた模試を1年間実施してきて、今回のような問題の配付ミスはなかったらしいからです(私の情報収集能力では、「らしい」としか書けないのですが、大手予備校のひとつは、新聞紙上ではっきりと、自分のところの模試ではこのようなミスはなかったと述べています)。大学の教官に監督者を任せるより、試験運営のプロたる予備校に、守秘義務をはっきりとさせたうえで実施に限って任せたらどうでしょうね。また、漏れ伝わってくるところによると、受験生の方がシステムの変更についての理解が高く、受験生がミスを指摘して、監督者がミスに気づくといったケースが多かったようですが、こうした事実からも、各監督者がこの変更をきちんと理解していれば防げたと思えます。

いずれにせよ、最初にもお話ししましたように、不合格者が「不合格という結果と真摯に向き合う機会を奪いかねない」という点で、今回のトラブルは大きな問題を残したと思います。

入試の運営は、「スムーズに行って当たり前」。滞りなく終了しても誰も褒めてくれません。そのくせ、トラブルがあると私のようなものにまで批判されてしまうのですから、大変と言えば大変な仕事です。しかし、やはり防げるようなミスは防いでもらいたいものです。

「合格したのは、自分の努力もさることながら、周りの人が自分に協力してくれたおかげだ」「不合格になったのは、自分の責任だ」と受験者が思うことが、受験をきっかけに、ひと回り大きく成長することに繋がるのではないでしょうか。受験生の保護者はもちろん、受験にかかわる大人は、不合格になった受験生が「不合格ときちんと向きあえるように」ということまでを含めて受験を考えたいものだと思います。私自身の自戒もこめて。

コラム『不合格と向き合う(仮題)』も、準備中です。タイトルがタイトルだけに「ご期待ください」は変ですが、受験とは切っても切り離せないものですから、「書かなくてはならない」と思っています。

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(愛知県 / 家庭教師)
岡松教育進学研究所 代表

「子どもを思う」保護者に寄り添い、期待に応えるプロでありたい

公立学校教諭、大手予備校講師として25年。問題作成・問題分析のプロとして入試問題、問題集などを執筆し、進学・学習講演活会の講師を務めています。これらに裏打ちされた、指導方法、指導内容、アドバイスの「引き出し」の数、量、質には自信があります。

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