設計事務所の仕事は、設計図書を書くだけでなく、建築主の家庭事情に合わせたオーダーメイドな提案を行い、建築主の代理人として、工務店と交渉する業務も含みます。
思い通りの家を造ろうと思えば、設計事務所の存在は不可欠です。
例えば4社に、暖かい家が欲しいと、ハウスメーカーに希望を伝えると、各社が各社ともバラバラの提案をするでしょう。
A社は年Q値○○の家ですと云い、
B社はエアサイクルの家は暖かいと云い、
C社は地熱利用の家は床暖房不要だと云い、
D社は魔法瓶の原理を応用した家が快適ですと云うでしょう。
各社とも自社の得意とする特徴ばかりを宣伝して、決して同じ土俵で相撲を取ることはしません。
建築主ご自身が努力して、住宅の勉強をしなければ、それらのセールストークを客観的に判断することは難しいかと思います。時間があればネットで住宅講座を受講する事も可能です。
http://www.jin.ne.jp/oado/benkyou.html
受講されて、自分の家族構成やライフスタイルと敷地条件をふまえて、どの様な造り方が最も暖かい家となるか判断しなければ、宣伝文句の上手さだけで家を決めてしまう恐れがあります。
安い買い物をしたつもりが、単に安物を買ってしまった結果となっては意味がありません。
しかし、時間がなくもっと確実にとお考えであれば、住宅の温熱環境に精通した設計事務所に、依頼されるべきです。インターネットで【地域】【設計事務所】【断熱】等のキーワードで検索すれば、必ず見つかります。
設計事務所に建築主の希望で満たされた設計図書を作成してもらって、各社に設計図書と云う同じ条件の下で見積りをしてもらうのです。
そうすることで初めて、単に値段の比較だけで業者を選ぶ事が出来る様になるのです。
こうして比較できる見積り書を取らないと、本当に安いか高いかなんて判りません。
設計事務所には設計料を支払わなければなりませんが、設計施工のビルダーでも設計費用は発生しています。見積書に計上されているかいないかだけの問題です。
また、建築主の代理人となって工事途上でミスがないか監理もしてもらえます。裁判を弁護士なしで行う人は少ないでしょう。建築する時に、設計事務所に依頼するのは、裁判の時に弁護士を雇うのと同じ行為です。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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