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対象:遺産相続

村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月08日更新

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遺留分の減殺請求と相続税・譲渡所得税の関係

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相続税

【相続税質疑応答編-7  遺留分の減殺請求と相続税・譲渡所得税の関係 】

<事例>

 父親が、全財産を次男に遺贈する旨の公正証書遺言を作成
していました。次男は、公正証書遺言に基づき相続税の申告
を行ない納税も済ませていました。
 ところが、長男は父親の相続開始直後から法的手続きに基
づいて遺留分の減殺請求を行っていました。

 7年の年月が経過し、この度やっと兄弟間で話し合いがまと
まりました。その内容は以下の通りです。

『長男は、次男から価格弁償としてX土地を取得する。』

さて、この場合以下の課税関係について教えてください。

1.相続開始から7年経過して、相続財産を取得した長男は
 相続税の申告義務はありますか?

2.次男は、価格弁償のためにX土地を長男に譲渡しますが
 この場合、次男に所得税は課税されますか?

3.長男は、X土地を取得後しばらくしてから売却を考えています。
 この場合、長男の譲渡所得の課税関係は?

<解説>
今回の事例は、遺留分に関連して遺産分割を検討する際に、最終的な
手取り金額に大きく影響しますので内容を正確に理解しておく必要があります。

1.長男の相続税の申告義務についてですが、遺留分の減殺請求中
であったとはいえ、本来の申告および納付期限の延長はありません。

しかし、遺留分の減殺請求に基づき新たに財産を取得した場合の
期限後申告については、無申告加算税は課税されません。
また、申告後直ちに納税すれば延滞税も課税されません。

更に、今回の事例の長男の場合、相続税の申告期限から5年を経過して
いますので、相続税の申告書を提出する必要もありません。
(国税通則法70条3項)

2.大前提として遺留分の減殺請求より取得した財産でも
「返還された財産」と「価格弁償により取得した財産」では
性質が異なるという点です。

遺留分権利者が減殺請求に基づき受遺者等から返還を受けた財産は、
遺留分権利者が被相続人から相続により取得した財産と解する
ことができます。

一方で、遺留分権利者が減殺請求に基づき受遺者等から価格弁償
により取得した財産は、民法上の相続により取得した財産には
該当しませんが、相続税の課税対象財産になります。

これらの法的背景による違いのため、受遺者等の課税関係に
違いがあります。

つまり、
次男が土地Xを相続財産の返還に応じる場合には
次男に譲渡所得は課税されませんが、

次男が土地Xで価格弁償に応じる場合には、次男に譲渡所得が
課税されます。

(根拠条文:所得税法基本通達33-1の5『(現物による遺産の分割に代え
共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させる
方法により行う遺産の分割をいう。以下同じ。)により負担した債務が
資産の移転を要するものである場合において、その履行として当該資産
の移転があったときは、その履行をした者は、その履行をした時において
その時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。』


3.長男が価格弁償により取得したX土地は、相続税の課税対象と
されますが、民法の「相続」により取得した財産ではありません。
しがたって、長男が直ちに売却すると短期譲渡所得になります。

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