免震構造住宅は、地震力を土台下に設けた免震装置(免震支承)で抑え込みますので、上部構造の耐力を落とす事が出来ます。その分経済的になりますので、一つのメリットなのですが、仮に免震装置が壊れるほどの想定外の大きさの地震が来た場合、他の建物より弱いと云う事なのでしょうか?
現在の気象庁の定める震度階で云いますと、震度5強から建築基準法のみクリアした建物であれば、倒壊が始まると云われています。
耐震構造で耐震等級3を取得した建物でも、震度7では人命は守れても建物の健全性は担保出来ないだろうといわれています。
耐震構造・免震構造以外に制震構造と云うものがあります。制震構造は木造住宅を例に挙げますと、一階の筋交い部分に制震ダンパーを設けて、二階の揺れ幅を小さくさせようとする装置です。二階部分は耐震構造に比べ揺れ幅が小さくなりますのでその分、建物の倒壊を防ぐ又は遅らせることが出来ます。しかし土台に設ける制震装置はまだ開発されていませんので、一階部分について言えば、耐震構造と何の変わりもありません。
免震構造は土台下に免震支承を設け、上部構造部への地震力を抑える事を目的としています。転がり免震支承で云いますと地震力を1/10~1/15に抑え込みます。気象庁の震度階で表現しますと震度7が震度4以下になることを示しています。
では、想定外の地震が来ればどうなるのでしょう。気象庁が想定している最大の地震が震度階で云いますと7です。(阪神大震災以前は、震度6が最高でした。)想定外と云いますと震度7以上を指すかと思われますが、震度7以上で建物の健全性を証明出来る工法は、現在の技術ではありません。震度7を越えてしまえばどの工法を採用しても安全とは云えないのです。
ただ、木造住宅の免震構造は震度7までは、実大実験により建物の健全性が証明されていますので、他の工法に比べれば安全であるといえます。免震装置が崩壊する程の激しい揺れであれば、他の工法の方が安全であるとは間違っても云えません。
http://www.jin.ne.jp/oado/mensin.html
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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