公益法人の監事の人選と顧問税理士について - 経営コンサルティング全般 - 専門家プロファイル

丹多 弘一
合同会社PSC 公益法人コンサルタント・税理士
東京都
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月03日更新

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公益法人の監事の人選と顧問税理士について

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弊社へのクライアント等からの質問について NO10

新制度の監事を選任する場合に、現在の顧問税理士との関係について留意すべき点を教えてください。

(回答)

監事は、理事の職務執行を監査し、監査報告を作成する義務があります(法人法99(1)、197)。監事は、事業と会計の両面から中立的な立場で監査をすることになりますので、顧問税理士や顧問会計士の就任は原則としてできません。

1.法人法上の監事

監事は、理事の職務の執行を監査し、理事が作成した計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書を監査するとともに、その職務の遂行のため、いつでも、理事及び使用人に対し事業の報告を求め、法人の業務及び財産の状況を調査することができるなどの広範な権限を与えられております(法人法99 、124(1)、197 、199 )。

法人の運営が適正に行われるための重要な役割を担う監事が、その権限を有効かつ適切に行使して職務を遂行するためには、理事会に自らも出席し、法人の業務運営状況を把握して、法令・定款に違反する決議や著しく不当な決議等が行われるのを監視するとともに、監査を実効あるものにする必要があります(FAQ2-7-(3))。

また、監事は法人の役員として、法人の運営が適正に行われるための重要な職責を担うため、監事として選任する者としては、以下の条件のいずれかを充たす者が望ましいといえます。

ア.法人の業務運営に一定の知見を有し、業務監査能力を備えている。

イ.会計制度に一定の知見を有し、計算書類の監査能力を備えている。

ウ.関係法令に一定の知見を有し、理事(会)の職務の執行(決定)等が法令に違反しないよう監視できる能力を備えている。

上記の各分野について一定の知見を有する監事が一名で足りない場合には、複数名の監事を選任することにより、各分野ごとに一定の知見を有した者が監事の中に少なくとも1名はいるという状態がもっとも望ましい状態といえます(FAQ2-1-(3))。

2.認定法上の監事

 公益認定を受ける場合には、公益認定基準の一つである経理的基礎の担保が必要となります(認定法5二)。公益社団法人等は、一般社団法人等に比べて、法人の適正な事業運営を支えるために、適切に会計処理を行うことができる能力を備えていなければなりません。また、情報開示を行うことで事業運営の透明性を高め、法人に対する外部の信頼性を向上させる前提を必要とします。

 

このため、以下の3つの要件を審査対象としています。

【経理的基礎の要件】

1.財政基盤の明確化

2.経理処理・財産管理の適正性

3.情報開示の適正性

上記3の経理的基礎を具備する要件の「情報開示の適正性」に監事の職務が大きく影響します。 この「情報開示の適正性」を満たす例として以下の2つが挙げられています。

a.外部監査を受けていない場合には、費用及び損失の額又は収益の額が1億円以上の法人については、監事に公認会計士又は税理士が就任していること、その額が1億円未満の法人については、監事に経理事務の精通者がいること。

b.上記aに該当しなくとも、公認会計士、税理士又はその他の経理事務の精通者が法人の情報開示にどのように関与するのかの説明をもとに個別に判断する。

(公益認定等ガイドライン1  2(3))

このように、公益認定基準の経理的基礎の要件を満たすためには、会計専門家が適切な形で関与することが必要となります。

3.顧問税理士と監事の関係

 特例民法法人は、必ずしも税理士や公認会計士に顧問を依頼しているわけではありません。平成20年度の公益法人白書によれば、年間収入が1億円未満の法人は、約60%とされています。その中でも、年間収入が1千万円から5千万円未満の法人が26.1%と最も多くなっています。

特例民法法人の税理士等の関与状況は、以下のとおりです。

a. 税理士等の関与なし 43.4%(10,685法人)

b. 会計士監査あり   13.2%(3,244法人)

c. 会計業務依頼あり  13.6%(3,340法人)

d. 指導・相談業務あり 30.6%(7,531法人)

e.  理事就任      3.6% (889法人)

f. 有給監事就任    2.5% (607法人)

g. 無給監事就任    10.2%(2,512法人)

上記の数値から分かるように税理士等は、全体の約12.7%について特例民法法人の監事に就任しています。有給、無給を問わず顧問税理士が監事になる場合には、特例民法法人の経営助言や財務諸表の作成に携わるわけですから、業務や会計監査を兼ねるということに中立性の観点から疑念が生じるということになります。特に公益認定申請をする法人は、前項2.の経理的基礎の公益認定基準を遵守することができないと判断される場合があると考えられます。

※条文根拠は、便宜上、()書で表示するなどしています。

PSC,Inc 丹多弘一税理士事務所 

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