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日経記事;富士フイルム,米診断装置大手買収医療強化に関する考察

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経営戦略 M&Aの事例と経営上の課題

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月16日付の日経新聞に、『富士フイルム、米診断装置大手を買収 医療強化』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『 富士フイルムホールディングスは15日、超音波診断装置大手の米ソノサイト(ワシントン州)を買収することで合意したと発表した。買収額は9億9500万ドル(約770億円)。

同社は携帯型装置で世界的に高いシェアを持つ。富士フイルムの世界販売網を活用して拡販するとともに、両社の技術を合わせて製品開発力を高める。

米ナスダック市場に上場するソノサイト株式をTOB(株式公開買い付け)で取得する。全株式の取得を目指す。ソノサイトの2010年12月期の売上高は2億7500万ドル(約210億円)、営業利益は2700万ドル(約21億円)。

超音波診断装置は臓器や神経の様子を映像として見ることができる。世界市場は現在約5000億円。ソノサイトは在宅医療などで使う携帯型では約37%のシェアを持つという。

富士フイルムはX線画像診断分野で世界シェア1位。ソノサイトは北米や欧州に販売拠点を持つが、今後は富士フイルムが持つ中国や中南米など新興国の拠点も活用できるようになる。

ソノサイトの設計技術に富士フイルムの画像技術を組み合わせるなど、超音波診断装置の製品開発でも買収効果は大きいとみている。

富士フイルムは11月に協和発酵キリンとバイオ医薬品の開発・製造での提携を発表するなど医療関連事業に力を入れている。

11年3月期に2677億円だった同事業の売上高を19年3月期に1兆円に拡大する計画を打ち出している。』


富士フイルムは、最近まで総額6000億円強となる約30件のM&Aを行ってきています。半数が医療関連に集中するとのこと。

これは、写真フイルム市場の急速な縮小を受けて、核となる事業基盤を新規事業である医療関連に移す方針に基づきます。

フイルム市場は将来なくなるか、大幅に縮小する事態が予想されます。富士フイルムは、写真フイルムで持った素材や生産管理技術が生かせる医療関連を強化し、予防・診断・治療の三分野をカバーする「総合ヘルスケア企業」になることを目指しています。

既存の得意な技術やノウハウを生かしながら、世界の成長分野で新規事業を立ち上げる方策は理にかなっています。M&Aを積極的に行っていますのは、短期間に必要な技術、商品、人材、販売網、顧客を確保するためです。

国内製造業で多くのM&Aを行う企業は少なく、富士フイルムは、多くのM&Aを行いながら、運用能力を高めてきたと推測します。

欧米企業を買収するには、現在の円高は絶好の環境です。円安時より安い日本円で当該企業を買収できるためです。

絶好の機会だからと言って、緊急かつ不要の企業を買収する必要は全くありません。経営上不要な企業を買うと、買収後の処理が大変だったりしてマイナス効果が大きくなることは多くの企業実績が証明しています。

今回、富士フイルムは、アメリカのソノサイトを買収します。ソノサイトは、記事によると、超音波診断装置では、4.2%の世界シェアを持っています。

この市場の2強は、アメリカのGEとオランダのフイリップスで、共に20%以上のシェアを持っています。日立アロカと東芝が10%強のシェアで続きます。

これらの4強企業と比べると、ソノサイトのシェアは小さいものになっています。

ソノサイトは、持ち運び可能な携帯型市場では、2009年度で37%で、2位のシェアを持っているとのこと。売上も伸びているとのことです。1位は、巨人GEで51%のシェアを有しています。

富士フイルムは、ソノサイトを取り込んで、携帯型市場でGEを追い上げる施策を取るとのこと。成功するかどうかは別として、ソノサイト買収の目的は明確であり、携帯型に限定した市場でGEと積極的に競走するやり方は合理的です。

今までM&Aを行ったり、中小企業のM&A案件を支援してきた経験で言いますと、M&Aの行う目的がシンプルで判りやすいものの方が、成功する確率が高いです。

あいまいな目的のM&Aほど、失敗することが多いし、途中で止めてもらったこともあります。これは、経営者や経営陣のM&Aを行う目的や期待成果があいまいで、経営の中に買収後の具体策がないために起こります。

その観点からみますと、富士フイルムは、写真フイルム市場の縮小から新規事業基盤を医療関連に見出しており、短期に当該基盤を立ち上げる姿勢にぶれはありません。

GEは、10年以上かけて世界医療分野でナンバーワンの地位を確保しました。遅れた参入者となる富士フイルムがいきなり全ての分野で巨人と戦っても、勝つことは容易ではありません。

もっと特定した市場、例えば今回の携帯型超音波診断装置分野で、ソノサイトに肩入れしてGEからシェアを奪うやり方の方が、ナンバーワンになれる確率が高まります。

成長市場といえども、ナンバーワンになることが重要です。集中投資と開発でナンバーワン分野を幾つか積み重ねていくのが、遅れた参入者のやり方の一つです。

富士フイルムが、M&Aを行いながら特定市場分野で新規事業基盤を強化していくやり方は、中小企業にとっても参考になります。

富士フイルムの今後の展開に注目し、期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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