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日経記事;事業転換 スピード勝負 復活への条件(中)に 関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月8日付の日経新聞に、『事業転換 スピード勝負 得意技術、新分野で強みに 第9部 復活への条件(中)』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『1950年代に量産が始まったブラウン管テレビは、半世紀にわたって「家電の王様」だった。シャープが三重県亀山市の工場で液晶テレビの一貫生産を始めたのは2004年。それからわずか7年でブラウン管テレビの覇者だったソニー、パナソニックがテレビ事業の縮小を迫られた。

商品寿命が短くなるデジタル時代。時には主力事業に見切りをつけ、経営資源を再配分する決断が必要だ。写真用フィルム市場の縮小を克服した富士フイルムホールディングスが先例になる。

同社は11月、協和発酵キリンと共同出資会社を設立し、市場が拡大するバイオ後発薬の開発・製造に乗りだすと発表した。「生産プロセスの管理は得意分野だ。写真フィルムで培ったノウハウが生かせる」。記者会見で富士フイルムの古森重隆社長は強調した。

写真用フィルムの厚さは20マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル。20層構造の中に100種類の薬剤を含む。これを安定的に量産できる企業は富士フイルムを含めて世界に4社しかなかった。だが世界で1兆円規模とみられたフィルム市場はデジタルカメラの普及とともに縮小。古森氏が社長に就任した00年を境に年率25%減少した。

古森社長は1年以上かけ社内の技術を洗い直し、内視鏡や医薬品など「医療機器・ライフサイエンス分野」を将来の柱に据えることを決めた。以後、富士フイルムが手がけた買収は約30件、総額6千億円。その半分を同分野に集中させた。

00年度に1兆4千億円だった売上高は、10年度に2兆2千億円と5割増えた。デジタルX線画像診断システムなど、カメラで培った画像技術を活用して事業領域を拡大。今年度の営業利益は00年度(1497億円)の9割まで回復する見通し。

かたやフィルム市場からの“脱出”が遅れた米イーストマン・コダックは11年12月通期の最終赤字が4億~6億ドルになる見通し。明暗を分けたのは改革のスピードだ。

電子部品業界で危機感を募らせているのが最大手のTDKだ。

主力製品はパソコンなどに使うハードディスク駆動装置(HDD)の磁気ヘッド。売上高(10年度8757億円)の約3割、営業利益(638億円)の半分以上を稼ぎ出す。だが納入先のHDDメーカーはヘッドの内製に動いており、ドル箱であり続ける保証はない。

同社はスマートフォン(高機能携帯電話)などに使う薄型のリチウムポリマー電池の育成を急ぐ。05年に香港の電池メーカーを買収、今夏には中国で3番目となる工場を稼働させた。3年後に売上高を1千億円超まで伸ばす計画だ。

音楽用のカセットテープで培った、フィルムに磁性体を塗る技術が電極材料の製造に生きている。「電池だけでなく材料も供給する一貫メーカーになる」(上釜社長)。収益基盤の強化に向け、10月末には全従業員の13%にあたる1万1千人を国内外で削減すると発表した。

富士フイルムもTDKも祖業で培った技術に磨きをかけ、新規事業に経営資源を振り向けた。自らの強みを見つめ直し、時に成功体験を捨てる決断が突破口を開く。』


今の電機業界、特に家電分野の中核商品であるテレビに対する国内企業の現時点での苦境は、残念ながら韓国企業との戦いに負けていることを示しています。

一つの理由は、記事にありますように、かっての主役だったブラウン管テレビの成功体験が強すぎて、次世代の液晶テレビへの積極的投資に遅れたことです。

また、当次世代テレビの候補として、液晶とプラズマがあり、国内企業間でどちらの方式が主導権を取るのか、一時期激しい競争を行いました。

顧客や海外企業は、次世代テレビとして液晶を選び、短期間にブラウン管テレビは主役の座を追われました。
液晶テレビの開発技術で先行したのは国内企業でしたが、世界市場での事業化で成功したのは韓国企業でした。

その差は何か。何故国内企業は負けたのか。理由は以下の通りです。

1.ブラウン管テレビ事業への執着があったため、液晶テレビへの商品化・量産化のスピードが遅れた。
2.顧客は大きさやデザイン性から液晶テレビを好んだ。
3.液晶テレビ導入時には、ブラウン管テレビの方が画質が良かったが、液晶テレビの画質改善が飛躍的に進んだ。
4.顧客が液晶テレビを支持したため、当初高かった販売価格は販売数量の伸びによって大幅なコストダウンが可能になり、国内企業業同士の過当競争効果もあって、劇的に下げた。
5.韓国企業が力をつけて、液晶テレビ事業への一極集中投資で、性能向上と大幅値下げにより、国内市場に急速に参入できた。

韓国の場合、市場が小さいので初めから輸出主体で事業を行うことと、メーカー数が国内より少ないので韓国内で過当競争になりにくい事情も追い風になっています。

また、韓国企業の経営スピードが、国内企業よりも圧倒的に早いことも差をつけられた原因の一つです。

液晶の次世代版である、有機ELテレビの開発は、ソニーが先行しましたが、その後大型画面化への開発・量産は、技術的難易度と高額投資額の理由により断念しました。

12月6日に下記記事が発信されました。

『韓国のサムスン電子は次世代テレビとして有望視される有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ市場に来年後半までに参入する方針を固めた。まず55型などの大型テレビから投入し市場の動向を見極める。

LG電子も55型の同テレビを同時期に発売する予定で、韓国2社が日本勢に先行する形でテレビの世代交代を主導する。』

完全に国内企業は、現時点で負けています。

競走状況と市場環境を客観的に分析して、国内家電企業は、集中と選択を早期に行うことが重要です。国内企業では、記事にあります富士フイルムの動きが参考になります。

既存主力事業があと数年で半分程度の市場になると判断したら、即刻に新事業立ち上げに動く必要があります。

中小企業も同じです。自社の強みを再確認して早期に動くことが大事です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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