単焦点レンズは常に開放で使うものって誰が決めた?? - 写真撮影レッスン - 専門家プロファイル

宮本 陽
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閲覧数順 2024年04月24日更新

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単焦点レンズは常に開放で使うものって誰が決めた??

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カルチャーカメラ教室よりフィードバック

カルチャーカメラ教室よりフィードバック:単焦点レンズは常に開放で使うものって誰が決めた??

単焦点レンズは開放で使わなくてはならない??
そんな話しは聞いたことがありません。 ですが、それに近い感覚をお持ちの方が多いことがわかりました。


誰が決めたのか?
「大口径単焦点レンズは開放で使うもの!」

そのような誤解をされている方も少なくないようだ。
確かに、汎用ズームでは実現しない極めて明るいf値とともに、極浅被写界深度という稀有な世界が実現する。
だから、その世界を手に入れるための単焦点、という考え方は正しいと思われる。

かと言って、極浅の世界だけのために単焦点は存在していないはずだ。
極浅の特殊な表現をする必要がない場合でも、絞りを絞れば画質向上が見込める。


【単焦点レンズの魅力って何だろう?】(アーカイブコラム参照)http://profile.ne.jp/w/c-59897/

開放f5.6のレンズをf5.6で使うのと、開放f1.4のレンズをf5.6まで4段分絞って使うのとでは、その画質はパッと見のレベルでも差が判るほどである。そのために一段でも開放f値が小さい明るいレンズを手に入れることになる。


他方、単焦点レンズは開放で使わなくてはならない!という呪縛に思考を制約されている人たちにとっては、ボケ過ぎの弊害に悩まされることになる。
呪縛はなくても単焦点レンズはボケ過ぎて使いこなせない。と仰る方は、多くの場合「絞り開放、またはそれに近い状態」で撮影をなさっているようだ。そしてこんな感じの思考や展開になってしまう。


---単焦点はべらぼうにボケが出るよね。

---だから普段の撮影には使いにくいよね。

---結局、最初にダブルズームキットで購入した汎用ズームを使ってる。

---これだとあまり魅力的な写真が撮れないし、なんか面白くないからそのうちカメラには触れなくなった...。


これでは、カメラも撮影者もあまりにも不幸と言わざるを得ない。こんな展開に陥らないためにも、是非、極浅被写界深度を楽しむとき以外は絞って使いたいもの。もちろん、絞り過ぎの弊害もあるので概ねf8程度でとどめるのが、低速シャッターになることによるブレの弊害も避けることができる。

それに、絞りはたいていの場合、1/3(三分の一)刻みで設定できる訳で、開放で使わないなら次はいきなりf5.6に絞らなくてはならない、なんてことはない。当然、f2もあればf2.5もある。f3.1もf3.4もある。色々な設定で楽しめば良い。

単焦点は開放で使わなくてはならない、などという誤解の次は、絞りは開放を使うか、そうでなければf5.6やf8に絞らなくてはならない、なんて誰が決めたのか?もっと色々な設定で結果が変わることを楽しめば良い。


経験豊富な?ある程度の年配の方になると、「開放で使ってもどこかにピントは来ている訳だから、そこをよく考えてボケ過ぎたような印象にならないようにするのがウデとセンスの見せ所なんだよ!」等の発言をする人たちも多いように感じる。

これは構図や画面配置の観点からすると間違いではない部分もあると思う。が、ボケ過ぎはボケ過ぎなので、そんな精神論で解決する問題ではないし、武勇伝を語っている限り若い世代の純粋なカメラ趣味の人たちとのギャップはますます拡大するばかりだ。


更には、デジタルである限り、撮影後すぐに液晶モニターで画像が確認できるのは当たり前。だが、実際のボケ具合とカメラの液晶モニターで表示されているボケ具合とは大きく異なることも知っておきたい。

液晶モニターに撮影全景を表示する段階で画像は縮小されているため、実際のボケ具合よりも過小な表現になってしまう。実際には盛大にボケが出ており「ボケ過ぎ」の状態であるにもかかわらず、さほどでもないような認識になる。特にフルサイズセンサー機を使う方が増えている現状では、このボケ過ぎの方が目につくようになってきた。

背景をボカしてメインの被写体を引き立たせるというのは昨今の流行でもあると思うが、今度はボケ過ぎに注意が必要になってきた。ボケ具合を自分の意思でコントロールできる...。この部分こそがウデとセンスの見せ所だと思う。


(参考写真:後ろ側にあるお花がボケ過ぎのため、ベタッと潰れた感じになり違和感が否めない。)



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