日経記事;日立,電池事業を再編 子会社に用途別集約 に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;日立,電池事業を再編 子会社に用途別集約 に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月26日付の日経新聞に、『日立、電池事業を再編 日立化成が新神戸電機を完全子会社に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。
 
記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所は25日、グループ各社が手掛ける電池事業を再編すると発表した。電池素材を得意とする日立化成工業が鉛蓄電池大手の新神戸電機を完全子会社化し、これに合わせて日立本体は産業用リチウムイオン電池事業を新神戸電機に移管する。

自動車、デジタル機器、産業機器の用途別に3つの電池関連会社が事業を担う体制が完成し、本体は先端技術の研究開発に特化する。顧客ニーズに即応できる体制を整え、電池市場でのシェア拡大を狙う。

日立は本体が手掛ける工場のバックアップ電源用や鉄道車両用などの産業用リチウムイオン電池を、新神戸電機に来年1月1日付で移管する。

日立本体で関連システムの開発は終えたものの同電池の受注実績はまだゼロ。同電池をすでに事業化し、産業用で幅広い顧客基盤を持つ新神戸電機に経営資源を集中させる。

これと並行して日立化成は12月1日から来年1月19日まで実施する株式公開買い付け(TOB)によって、現在58%を出資する新神戸電機を完全子会社化する。100%化に必要な費用は約360億円の見通し。

リチウムイオン電池の負極材で世界シェア首位の日立化成は、新神戸電機の完全子会社化で電池素材の開発スピードを速める狙い。
日立製作所も産業用電池への投資余力が高まると判断し、完全子会社化を望む日立化成の意向を受け入れた。

すべてのリチウムイオン電池事業のグループ統括組織として2010年4月に発足した日立本体の「電池システム社」は廃止する。

日立本体の技術開発力を生かして、産業用、自動車用、デジタル(民生)機器用それぞれの事業化を主導する目的だったが、顧客との距離が遠く市場ニーズを迅速にとらえにくい問題があった模様だ。

このため今年4月から事業再編に着手。まず自動車用リチウムイオン電池を手掛ける日立ビークルエナジーを電池システム社の傘下から、自動車関連事業を統括する日立オートモティブシステムズの下に入れ替えた。

今後は産業用を新神戸電機、自動車用を日立ビークルエナジー、スマートフォン(高機能携帯電話)など民生機器用を日立マクセルエナジーの3関連会社がそれぞれ手掛ける体制となる。

3社合計の電池事業の11年度売上高は、前年度比14.6%増の1082億円を見込んでいる。日立本体には先端的な素材開発や低コスト生産技術などの研究開発機能だけを残し、役割分担を明確にする。』


今回の記事は、大手企業日立の電池事業に関する集中と選択について書いています。この通りに日立が動きますと、電池事業についてフットワークの軽い事業組織になることが期待・推測できます。

役割分担は以下のようになります。

・新神戸電機;産業用電池
・日立ビークルエナジー;自動車用電池
・日立マクセルエナジー;民生用電池
・日立本体;先端的な素材開発や低コスト生産技術などの研究開発機能

上記のように、各子会社が電池の各市場を担当・専任するやり方です。この方式のメリットは、各子会社が当該事業・市場に専任することにより、市場と企業間の距離が近くなり、市場環境に合わせて迅速な経営が出来ることです。

もしこれの三つの事業を日立本体に事業部制を敷いて行うとすると、内部の意志決定などに時間がかかり、市場や競合他社の動きや変化についていくことは出来なくなります。

ここ、10年位の間、国内の総合家電メーカーが韓国、台湾、中国企業に負けてきた原因の一つが、経営速度の違いです。

これらの新興国企業は、対象市場で勝者となるべく、貪欲にその市場にくらいついて迅速な意志決定と集中により国内企業を圧倒してきました。

国内企業は、圧倒的な技術力を持っているのに、事業では負けて来ました。特に、大きな差が出来るのがコスト競争力です。安値攻勢で、半導体や液晶テレビなどで後塵を拝しました。

電池産業は、今後の国内事業の柱の一つになるものです。国内企業は海外勢に負けられない事業です。今回の日立の組織再編は、その意志の表れです。

日立本体は、電池事業に関しては、研究開発機能と資金面、人材供給などの後方支援に徹することが、今回の再編をうまく機能させるポイントの一つです。

各子会社は、電池の個別市場を任せられて、その市場に特化して競合他社に勝ち抜いていけるように、日常業務に関する全ての意志決定の権限を与える必要があります。

そうしないと、海外企業の競走に勝てません。各市場を知り尽くした専任子会社は、強さを発揮できます。

あと、大事なことは、上記4つの組織体が、各市場の状況や競合他社の動きなどについて情報共有し、必要があれば垣根を越えて協力し、対応することです。

この情報共有は、日立本体の仕事です。後方支援に徹しながら、日立の総合力を発揮できるようにすることが肝要です。

日立の動きは、あまり今まで国内の大手企業が行ってこなかったやり方です。従いまして、今後の動き・成果に大きな期待と関心をもって注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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