フーナーテストとは精子と子宮頚管粘液との相性をみるテストです。
病院に行ってまず行う基礎検査の一つであり、不妊治療の6大基礎検査のうちの一つです。
性交後に頚管粘液を採取して、その粘液の中に精子がどれくらいいるかを、400倍のレンズでみます。子宮内に精子が入っていくことができるかをみるテストで、精子の数によって良好・可・不可というような判断がでます。
良い結果であれば、充分な数の精子が子宮の中に入っていっていると考えるので、自然妊娠が可能だと判断できます。
結果が悪い場合、原因として考えられるのは、精液に問題がある、抗精子抗体がある(精子の動きを止めてしまう)、頚管粘液の質が良くない等が考えられます。
しかしヒューナーテストというのは、いつも正確な検査結果が出るわけではありません。
性交後からの時間経過や、男性のコンディション(精子はコンディションによりかなり数値が変わります)など条件によってかなり変化してしまうからです。そのため、あまり重視していないDr.もいます。
したがって何度か検査して一度でも良い結果が得られれば、OKとなります。
何度検査しても思わしくない場合は、抗精子抗体や精液に問題がないか調べるための検査をします。
精密検査で原因がはっきりした場合は、程度により人工授精(AIH)や体外受精(IVF)などの適応になります。
年齢の問題が大きく関わってきますが、フーナーテストの結果が思わしくなくても、卵巣の機能にとくに問題がなく他に原因がない場合、ステップアップによって妊娠する確率は比較的高いと言えるでしょう。
問題は、フーナーテストや他の検査で異常がなかった場合。
異常がないのだから、「自然妊娠が可能か?」ということです。
もちろん可能性はあります。
しかし考えなくてはいけないのは、異常がないと思われるのに、今まで妊娠に至らなかったということは何か原因があるかもしれないということです。
異常がないのと、見つからなかったのでは意味がまるで変わってくるからです。
フーナーテストや卵管造影検査で異常がなく、月経周期も一定で排卵もしっかりある(基礎体温が二相生になっている)場合、
・排卵した卵子を、卵管がキャッチできていない(ピックアップ障害)。
=卵子と精子が出会えていない
・受精しない
・卵子の質が悪い
・着床しない
以上のような事が考えられます。
お腹の中の出来事のため外からでは確認することができません。
このような場合病院では、
・ステップアップ(一定期間タイミング療法~人工授精)を行う。
・一気に体外受精に進む。
というパターンにわかれます。
さて問題は、鍼灸治療をするとどのような効果があるのか?私の考察を記します。
鍼灸の効果として、
・頚管粘液の質を上げる(オリモノが増える)
・しっかりと卵子をピックアップできる卵管機能にする
・卵子の質を上げる、結果として受精をしやすい
(質を上げ正しい受精現象を起こす)状態にする。
・フカフカの厚さと質のよい内膜の状態をつくる
などが期待できます。
オリモノが増えることはご自分で実感できますし、内膜の厚さは超音波検査でわかります。
ピックアップ障害については実感することも数値で測ることもできませんが、原因が特に見つからずなかなか妊娠に至らなかった方が、鍼灸を初めて、1~2周期で妊娠されることも稀ではありませんので、一定の効果があると確信しています。自律神経が整った結果、ストレスのない状態で卵管が機能するようになったためでしょう。おそらくピックアップ障害だけが原因だったのであれば鍼灸で妊娠する可能性があります。
卵子の質に関しては、卵巣機能が良くない場合がとくに治療対象となります。40歳以上の体外受精中の方が、体外受精をお休みしている期間にタイミングをとり妊娠されたという事例を何例もみています。
・今まで卵胞が育たない、空胞ばかりで採卵すらできなかったが、未熟卵が採れるようになり、やがて成熟卵が採れるようになってきた。
・未熟卵や受精しない卵子が採れることが多かったのが、受精する卵子が採れる事が
多くなった。
・分割が途中で止まってしまい胚盤胞まで育たなかったが、育ち凍結することができた。
このような経験は数多くしているので、時間はかかりますが卵子の質が上がった結果だと思われます。また私の鍼灸治療においての最重要テーマの一つです。
これらに共通して言えることは、血流を上げる事・自律神経やホルモンバランスを整えることがとても重要ということです。
子どもがなかなか授からない方のお腹の状態を拝見いたしますと、とても冷えていて、自律神経のバランスが乱れがちな方が大多数です。
東洋医学的にいうと、冷えが強い、陽虚証タイプの方がとても多いということです。
足は冷えていますし、
お腹を診ると、冷えてて下腹部に力がない、
脈は沈んでいるような状態です。
あなたの体質を考える。そして気血津液が身体の中のどこで、どのような状態のため現在の症状を現わしているか(ピックアップ障害であったり、オリモノ・内膜・卵の状態など)を考察して治療するかが、重要です。
妊娠しやすい体質をつくるとよく耳にします。
実は治療の本質の部分はここで、東洋医学的な理論の基に考察し治療することが、妊娠を迎える身体ができるということになるのです。
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