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日経記事;住友化学,有機EL新材料大画面テレビ向量産に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月20日付の日経新聞に、『住友化学、有機ELで新材料 大画面テレビ向け量産』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『住友化学は大画面の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルを低コストで生産できる新タイプの発光材料を開発した。2012年初めから世界に先駆けて量産する。

液晶パネルより高精細で消費電力が少ないなどの利点がある有機ELは、従来の製造法では大型化が難しかった。新しい発光材料は液晶テレビから有機ELテレビへの世代交代を進めるきっかけとなる可能性がある。

住友化学は大阪工場(大阪市)に新タイプの発光材料の量産設備を年内に建設し、12年初めから稼働させる。投資額は数十億円のもよう。

発光層となる有機化合物や発光効率を高める補助材料を40型のテレビ換算で年400万~500万台分生産する。製品は日本や韓国、台湾などのパネルメーカーに供給する。

パネルの色彩などを左右する中核素材である発光材料は現在、「低分子」と呼ぶタイプの材料が主流。品質は安定しているが、大型のパネル生産には不向きとされ、

有機ELは現時点ではスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)など小さな画面への利用にとどまっている。

住友化学が量産するのは「高分子」と呼ぶタイプ。材料をインク状にして簡単に印刷できるため、40型以上の大画面パネルの量産も容易になる。

発光材料をパネルに加工するコストが低分子タイプに比べ最大で半減できる。実用化の壁となってきた発光材料の寿命についても、必要な水準を達成できたとみて競合他社に先駆けて量産に踏み切る。

米調査会社のディスプレイサーチによると、有機ELパネルの16年の世界市場は10年比で13.6倍の約214億ドル(約1兆6450億円)。液晶パネル市場の5分の1程度の規模だが成長性は高い。

一方、液晶パネル市場は液晶テレビの先進国での需要一巡や価格下落で、16年の市場規模は10年比14%増にとどまる。』


有機ELの主要部は発光層です。その発光層に使用される発光材料は、大きく高分子材料とそれ以外の低分子に分けられます。

低分子材料は、現在の主流となっています小型ディスプレイに使われています。これは、低分子材料を使ってデバイスにする際、シャドウマスク[注]を用いた赤・緑・青色の色分け成膜技術はシャドウマスクの精度、熱膨張の観点から大型化が困難であることから、必然的に小型画面に使われてきたことによります。

[注]シャドウマスク:CRTのディスプレイ及びテレビ受像機に使われている技術の一つであり、電子ビームを赤、緑、青の各色に割り振るための装置。

片一方、高分子材料はそれをインクとした印刷技術の応用により大量・安価・大型の有機ELデバイスが容易に生産できると言われ、次世代の材料として日本国内の大手印刷会社・化学企業・電気家電メーカー等で研究開発が続けられてきています。

高分子材料は、分子設計への要求内容が低分子のそれと比べて非常に高いため、当該材料の開発は進んでいませんでした。

今回、住友化学は、高分子材料の量産化に成功したと発表しました。
このことは、有機ELの大型ディスプレイの商品化を可能にする一歩になることを意味します。住友化学の技術力の高さを証明しました。

有機ELディスプレイは、数年前から液晶やプラズマディスプレイなどに代わる次候補の薄型ディスプレイとして期待されてきました。

その市場規模は、記事にあります通り、2016年には約1兆6450億円と推測されます。現時点では、携帯電話やスマホなどの小型有機ELディスプレイに使われています。

ソニー、パナソニック或いは東芝などの国内メーカーは、有機ELの大型ディスプレイ用途開発の難しさから、開発や量産化の技術検討を延期、中止してきました。

これは、各社の経営状況からみると必然的に行ってきた「集中と選択」の結果によるものでした。この時に、大型ディスプレイへの応用は当面困難であると判断した背景もあります。
 
2011年時点で、有機ELディスプレイの量産はほぼサムスン1社が行っています。サムスンは、今回の発表を機に住友化学と連携して、一気に大型ディスプレイ製品を商品化してくる可能性は高くなります。

国内メーカーの場合、産業振興機構が東芝、ソニー、日立の三社の事業を統合して、中小型液晶パネル製造子会社を作ります。
この統合会社で中型の有機ELディスプレイを商品化することになります。

シャープやパナソニックは、独自に有機ELの大型ディスプレイを商品化するでしょう。

近々に、有機ELの大型ディスプレイ市場で、日本と韓国のメーカーによるし烈な競争が再現されます。この市場が成熟してくると、液晶ディスプレイ事業のように汎用化し、価格競争に進むことが予想されます。
各社は、しながら残存者利益を狙うことになります。

液晶ディスプレイでは、韓国メーカーに負けました。有機ELの中型・大型ディスプレイ市場で国内メーカーが勝つためには、供給メーカーをもっと絞り込む必要があります。

シャープやパナソニックの事業方針に注目しています。
大型市場ですので今後も見守っていきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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