日経記事;エーザイ生産地見直し、製品ごとに最適化 に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:新規事業・事業拡大

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;エーザイ生産地見直し、製品ごとに最適化 に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開
経営コンサルタントの活動 海外展開支援

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。
 
11月19日付の日経新聞に、『エーザイ生産地見直し、製品ごとに最適化』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『エーザイは医療用医薬品の世界生産を再編する。高度な品質管理が必要な抗がん剤は最終段階にあたる製剤工程を米国に集約し、後発薬との競合でコスト競争力を高める必要がある胃潰瘍薬などの生産はインドに移す。
日本の拠点は新製品の開発・生産に重点を置く。

グローバル競争の拡大を背景に国内生産が主体だった医薬品分野でも、製品に応じて最適生産地を探る動きが本格化してきた。

抗がん剤は乳がん治療に使う注射方式の「ハラヴェン」。現在は医薬原料を鹿島事業所(茨城県神栖市)で生産し、最終段階の製剤工程を欧州のメーカーに委託している。

数カ月以内に米ノースカロライナ州の自社工場に生産を移し、同工場から世界各国に出荷する。

ノースカロライナ工場には約90億円を投じて注射剤専用の生産棟を設けた。自社生産で品質管理を徹底し、集中生産で他社委託よりコストを抑える。
注射剤を作る際には錠剤より厳しい無菌状態を保つ必要があるなど、品質管理が難しい。

同社はハラヴェンを将来の主力製品と位置付け、乳がんに加えて肺がんなどの治療にも使えるように臨床試験(治験)を実施中。これらの取り組みで2015年度の世界売上高は約850億円と、11年度見込みのほぼ5倍に伸ばす計画だ。

特殊な設備を必要としない医薬品の生産は、日本からインド南部の自社工場に移す。胃潰瘍などの治療薬「パリエット」は12年度中に製剤工程を移管する。認知症薬「アリセプト」と筋弛緩(しかん)薬「ミオナール」は、医薬原料から製剤までインドで一貫生産する。

アリセプトは来夏から、インドで生産した製品を日本に出荷する。将来は米国にも輸出する方針で、このほど米食品医薬品局(FDA)からインドでの一貫生産の承認を受けた。ミオナールは月内にも一部を移管し、13年には全量をインドで生産する計画だ。

エーザイの主な国内生産拠点には、医薬原料を生産する鹿島事業所と製剤工程を担う2工場がある。成熟したアリセプトなどの生産はインドに移管する一方、てんかん薬や抗がん剤など新製品の開発を進めており、そうした製品の生産拠点として体制を維持する。

エーザイは製薬大手の中でも海外販売比率が高い。15年度までに医薬品市場規模の上位20カ国すべてに進出する計画。生産と販売を同時にグローバル化し、国内市場が医療費抑制などで伸び悩む中でも成長を維持する。』


今回の記事は、典型的な国内産業の一つである製薬業界の新しい動きについて書いています。
製造業の場合は、既に多くの企業が国内及び海外市場で事業を行っており、市場への近さ、或いは最適な製造条件(コスト、品質、従業員確保など)から海外での生産を行っています。

製薬業界の場合、今まで国内市場中心に事業を行っていたため、国内販売・国内生産の事業形態を多くの企業が取ってきました。

国内の製薬市場は、保健医療費の抑制や人口減少などで縮小傾向に入っています。しかも国内には多くの製薬会社が存在し、競走は激しさを増しています。

製薬業界は、製造業と同じ道を歩まないと勝ち残れなくなりつつあります。それは、上記した海外展開です。
エーザイの動きは、典型的な海外事業展開を示しています。

他の国内市場中心の製薬会社が、海外展開する時の手本の一つになります。

対象市場や売値で製造拠点を分けようとしています。例えば、「高度な品質管理が必要な抗がん剤は最終段階にあたる製剤工程を米国に集約し、後発薬との競合でコスト競争力を高める必要がある胃潰瘍薬などの生産はインドに移す。」です、

また、「日本の拠点は新製品の開発・生産に重点を置く。」としています。

新興国及びその他のアジア、アフリカには多くの人口が存在し巨大な市場を形成しています。エーザイは、製造コストを抑えて、後発薬との価格競争に打ち勝とうとしています。

記事にあります通り、エーザイの海外販売比率は高く、2008年度でみますと全売上高7,817億円の57%を占めています。国内製薬会社の中では異色な存在です。

エーザイは、もともと海外進出にも積極的な製薬会社で1980年代にはアメリカとヨーロッパへ進出を果たしており、現在、上記の通り最も海外売上高比率の高い(57%)会社となっています。

この様な海外経験を生かして、更に積極的な施策を打とうとしているのが、今回発表した生産拠点の役割分担見直しと強化です。

製薬業界は、エーザイのように海外市場を開拓しないと勝ちこれなくなりつつあります。それは、市場の縮小だけでなく、高度医療薬品の特許切れに伴う低価格品である後発薬の供給増加と、海外企業の国内参入による競争激化です。

国内市場に留まって勝ち残るには、他社に対して徹底的な差異化が可能な商品を持つことが絶対条件です。

1社単独では今後の事業展開が難しい場合、連携やM&Aなどの手法で経営資源の有効活用とリスク分散をしながら、国内及び海外市場で勝ち残っていくたくましさも必要です。

私はどの製薬会社も全て海外市場展開をする必要があるとは言っていません。上記の通り、差異化出来る技術・商品があって、国内市場で勝ち残れれば、不必要に海外に出る必要はないです。

一方、差異化出来る商品を持っていても、国内市場の縮小により売上拡大が必要である、同時に、海外に当該商品の需要があれば、売上拡大のために代理店や商社を通じて輸出すれば良いのです。

エーザイの動きをきっかけに国内製薬会社が勝ち残りを目指して、色々な観点から検討し自社の強みを最大限生かして、積極的に動くことを期待します。

市場も海外企業も待ってくれません。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営コンサルタントの活動」のコラム

このコラムに類似したコラム