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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月09日更新

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「小規模宅地等の減額」に初の司法判断(東京地裁)

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本コラム「『結婚にまつわる節税その4』~小規模宅地等の減額(5)」でも少し言及しましたが、被相続人が自宅を離れて老人ホームに入所しており、そのまま老人ホームにて亡くなられた場合に、被相続人の自宅が「小規模宅地の特例」の適用要件に該当するか否かについて、初の司法判断が示されました。

 

今回の裁判は、被相続人(父)が老人ホームに入所したまま死亡し、相続財産として被相続人の自宅を取得した相続人(子)が、その宅地に「小規模宅地の特例」を適用し80%の評価減を行ったところ、税務署側がそれを否認、被相続人の「生活の拠点」が自宅であったのか、老人ホームであったのかが争点です。

 

前コラムの繰り返しになりますが、国税庁は、客観的に”生活の拠点”が自宅であると認められるか否かの判断基準として、以下の4点を挙げています。(国税庁HP『質疑応答事例』より)

1.介護などの事情により、やむを得ず老人ホームに入所(例えば、特別養護老人ホーム等への入所)

2.いつでも住めるよう、自宅の建物を維持管理してある

3.他の人への賃貸や、他の目的での利用をしていない

4.入所した老人ホームが「終身利用」タイプではない

 

本件において原告側は、被相続人の日常生活の状況や、その施設への入居目的、設備状況等を総合的に勘案すると”生活の拠点”が本件宅地であるという主張とともに、上記の質疑応答事例の4.の「終身利用」タイプの老人ホームが適用要件を満たさないとして「小規模宅地の特例」の特例を受けられない一方、1.の「特別養護老人ホーム」に入所した場合においては、実質、終身利用権が設定されているにも関わらず、特例を受けられること自体が不合理だと主張していたようです。

 

それに対し、東京地裁は1) 被相続人は外泊することなく専ら老人ホームで生活していたこと、2) 被相続人は介護を必要として老人ホームへ入所したが、その早期回復の見込みはなく、元々、相当期間生活することを見込んで入所したと認められること、3) 老人ホームには浴室や家具など日常生活に必要な設備が整っていること等を指摘し、被相続人は自宅に家財を残したまま入所した等の事実はあるが、これを踏まえても”生活の拠点”は本件宅地ではなく、老人ホームであると判断し、原告の主張を棄却。

そもそも「小規模宅地等の減額」の特例を適用するには、当該宅地が、相続開始直前において被相続人の「居住の用に供されていた宅地」に当たるかどうか、つまりはその宅地が、相続開始直前において、被相続人の”生活の拠点”であったか否かで判定すべきで、国税庁の質疑応答事例は、あくまで「老人ホームに入所していた被相続人が死亡した場合における”生活の拠点”についての考え方」を述べたに過ぎないという見解を示したようです。

 

実務においては、当然、個別の事案の事実関係に照らして判断すべきという判断ですから、今後も同様のケースで「小規模宅地の特例」の適用を考えていらっしゃる方は、”生活の拠点”が当該宅地であるという客観的な根拠をいかに証明できるかが課題となるかと思われます。

 

核家族化が激しい昨今では、老人ホームへの入居を考えられている方が多数いらっしゃると思います。

今回の判例で「老人ホームへの入居=小規模宅地等の特例の適用不可」となった訳ではありませんが、現在、老人ホームへ入居中の方、また、今後入居を検討されている方やそのご家族の方は、ご自身の相続税について「小規模宅地等の特例」の適用可否を再度チェックされてみてはいかがでしょうか。

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