私がいろいろな企業で社員の方々からお話をうかがうと、「会社が○○してくれない」「上司が○○してくれない」という言い方に時々出会います。私も若い頃はそう思うことが多々ありましたが、最近これにはちょっと違和感を感じます。
少し前になりますが、ある会社で研修した時に、「会社からの制約が多くて自由にやらせてくれない」という話が出たので、研修の場ではテーマも進め方も、すべてを自分たちで決めてもらう形にしたことがあります。でも、いざ自分たちで決めるとなると、何をどうして良いかがわからなくなってしまうようで、結局ほとんどすべてのことで指示を求められてしまいました。自分たちが実は会社に強く依存していて、指示されないと意外に何もできないという事実に気付いていないのです。
テレビのニュース映像などを見ていると、「国が○○してくれない」「国や行政に○○してほしい」という言葉をよく聞きます。それぞれに大変な事情があって、本来は国や行政が行ってしかるべきなのかもしれません。でもその言葉に、私はどこか人任せな印象を持ってしまいます。
特に日本人は、昔からの気質なのか、常にお殿様がいた政治体制のせいなのか、「お上の言うことには逆らえない」という所があるように思います。お上の批判はするけれど、いざ自分たちの責任に降りかかってくると意外に何もできない・・・。お上が何かしてくれるのを待っている・・・。上意下達で言われることが、実は心地よいのではないかと思うことがあります。主体性や自立心が足りないと感じます。
一方でこれは強みなのかもしれません。強くて有能なリーダーがいれば、その人を頂点にまとまれるからです。ここに更に主体的な考えができるメンバーが揃ったら、本当に強い組織になるはずです。(ただ、強いリーダーは生まれにくい環境かもしれませんね。)
上意下達をすんなり許容できる特性を保ちながら、自分たちの主体性を磨いていくことができれば、日本の組織ってとっても強くなると思うのですが、皆さんはいかが思われるでしょうか。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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