- 田中 伸裕
- 田中伸裕建築事務所 代表
- 岐阜県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
「王斧を乞う」という言葉があります。
詩文の添削を乞うことですが、「斧」が使われていることから、
付け加えることよりも削ることが大切ということでしょう。
建築でも同じことが言えます。
建物を考えるのに、
金額を無視してあの設備をくっつけてこの素材を使ってと
あれこれペタペタくっつけていき
展示場で「これいいですよ」と言われてしまうと
どの設備もあの素材も大事に思えてしまい
バサッと切り捨てた結果肝心な部分を削ってしまいかねない不安感になってしまうのでしょう。
なんだかよくわからない横文字で耳触りよい響きの名称を付け
その家庭に必要なのかどうかを考えないハウスメーカーがはやっていることで証明されるように
付け足し付け足しは、実はそれほど難しいことはありません。
「せっかく新しく建てるのだから」という気持ちもわかりますが、見た目にかかわる部分は
後からでも飽きたときに替えれることはできる部分が多いのです。
どうせ同じ金額を使うなら、それよりも目に見えない部分(構造材や壁の中の断熱材など)に使ったほうが
後からはどうしようもなくなるということは少なくなります。
資金や敷地条件、そして何より、建主を考え、王斧をふるうことの方が非常に難しく苦労します。
しかし、結果としてその家族に合ったその家族のための良い家ができるものです。
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