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村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事;日立電線,国内銅管事業撤退,住軽金に売却 に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月29日付の日経新聞に、『日立電線、国内銅管事業から撤退 住軽金に設備売却』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立電線は28日、国内の銅管製造販売から2012年3月末に撤退すると発表した。唯一の生産拠点である土浦工場(茨城県土浦市)の生産設備は住友軽金属工業に売却する方針で、従業員150人前後は社外出向や転籍などを進める。

事業再構築と併せて国内のグループ社員を対象に650人を募集する早期退職・転職支援制度も導入、収益改善を急ぐ。

日立電線は主力の電線事業のほか、電線技術を応用した金属材料や半導体材料なども手掛ける。しかし、いずれも海外展開では後れを取り、国内需要が落ち込む中、手広さゆえに赤字体質に陥った。事業の選択と集中が課題になっている。

日立電線は銅管を年1万9800トン生産する国内3番手。銅管事業の11年3月期の売上高は177億円。銅管はエアコン内で熱交換を担う冷媒をやりとりする配管に使う。
素材は熱伝導率が高い銅が多いが、顧客のエアコンメーカーの海外移転などで国内需要は縮小している。

9月の中期経営計画見直し時点ではスリム化の方針だったが、12年3月期の国内銅管事業の経常損益は2億円の赤字の見通しで、国内生産を継続しても収益確保が難しいと判断した。
事業撤退に伴う特別損失約5億円を12年3月期に計上する。

設備を売却する住友軽金属工業は神戸製鋼所と三菱マテリアルの共同出資会社、コベルコマテリアル銅管に次ぐ銅管国内2位。

日立電線は海外では中国とタイの2カ所で、古河電気工業などと共同出資で銅管事業を展開している。海外事業については「相手もあるので、これから検討していく」(西山光秋執行役)としている。

あわせて導入する早期退職・転職支援制度は35歳以上の国内グループ社員が対象。11月1日から12月31日まで募集し、退職金に特別退職金を加算する。12年3月期の特別損失に加算金など約70億円を計上する。

12年3月期の業績予想も下方修正した。連結最終損益が220億円の赤字(前期は129億円の赤字)になる見通し。従来予想は190億円の最終赤字。半導体製造装置向けなどの需要が落ち込んでおり、赤字幅が拡大する。最終赤字は4期連続。

売上高は5%増の4400億円、営業利益は6.3倍の50億円の見通し。不採算事業から撤退することで、前期比では採算が大幅に改善するが、従来予想比では、売上高で200億円、営業利益で30億円、それぞれ下方修正した。』


私は、本ブログ・コラムで何回か事業撤退について書いています。事業撤退は、私の経験も含めて一般的に新規事業立ち上げに比べて多くの困難を伴います。

それは、現行事業に多くの関係者・関係企業が関与しているためです。例えば、資材の納入企業や販売を担当する特約店などがその企業の関係者や関係企業になります。

事業撤退すると、これらの関係者・関係企業の事業や生活に直ちに影響を与えます。そこで、当事者である企業は事業撤退に対して直ちに行動を起こさないで、先送りする傾向があります。

しかし、先送りすればするほど、最後の最後に事業撤退を決めるとより一層深刻な打撃を関係者・関係企業に与えます。
このことは、会社勤務時に何回かの「集中と選択」を行ったり、経営コンサルタントとして独立後に何社かの事業撤退を支援してきた経験でも実証済みです。

一旦事業撤退を決めたら、所定の行動計画に基づいて迅速に行うことが重要です。これは、M&Aのやり方と同じです。最悪なのはずるずると時間をかけて行うことで、周りの関係者・関係企業からの信用を一気に失い、事業基盤を無くすリスクがあります。

事業撤退は、事業を行う上での一つのやり方であり、決して実行する企業にとって事業の土俵から去るわけではありません。

事業撤退を会社の恥辱とか、社長個人の無能力を示すとか考えて躊躇する経営者がいます。この時は、事業撤退を積極的に行って、新しい領域で事業展開する必要性を説明するようにしています。

今までに、ブログ・コラムで書いてきました通り、経営者は常に事業撤退の可能性について考えておく必要があります。

以前、ある中小企業の経営者から事業撤退の相談を受けました。その時に幾つかの角度から検討し、直ちに実行した方が良いとアドバイスしました。この経営者はその時に諸事情を考慮して先延ばししました。後日、倒産したとの連絡がありました。

事業撤退の方策の中に一部事業の売却を含めておりその資金で別事業立上の施策も提言内容に含めていたので、残念な事態になりました。

日立電線の場合、縮小する国内市場が主要な事業領域で、シェアは3位以下ですので、事業撤退は当然の選択肢です。

事業撤退や縮小或いは売却は、一定のルール(判断基準)を決めて迅速に行うことが重要です。
私の場合、ルールとは客観的な数値・データ・情報に基づき決めます。

例えば、以下のものです。

1.過去3期の売上実績と今後の予想数値
2.現在の世界シェアと今後の見込み
3.現在の市場規模と今後の見込み
4.過去3期の利益・コスト構造と今後の予想数値
5.他社との競合状況と自社の強み・弱み
6.撤退などした場合のエンジニアの処遇や再配分などの選択肢案
7.工場の生産性への影響と再配分選択肢
8.販売ルートへの影響と対応選択肢
9.顧客への影響と対応、など

上記ルールのうち、状況に応じて幾つかのものを組み合わせて使います。

ルールに基づいて事業撤退の案件がまな板に上がったら早期に検討し、行うかどうか決めるようアドバイスします。

撤退を決めたら一気呵成に行い、短期間で終了するようにします。社内の実行ポイントは、全関係者で情報共有することです。これをきちんと行わないと失敗や後遺症の問題に直面します。

事業撤退について『事業撤退シナリオの実行』のタイトル名で10回シリーズの記事をブログに書きました。
当該記事は、 [事業撤退に関する課題と対応]のカテゴリーに入っています。
第1回目の記事は、下記Webサイトからご覧になれます。

http://p.tl/y-Uc

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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