- 志田 茂
- 志田茂建築設計事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
設計事務所と家づくりをする事 というのは一体どうゆう事か・・・ 一般的にはよくわかってもらえない。
ハウスメーカーに頼めば、なにからなにまでお膳立てしてくれて、土地の世話から、ローン付け、プラン作成、工事、登記まで、なんでもやってくれて、その時々でハンコを押してお金を払って、契約から半年程度(かどうかはわからないけど・・)で新しい家に住む事ができる。プランは用意された中から予算と土地に合わせ選び、多少の修正し、用意されて様々なカタログから物を選べばいい。しかも、モデルルームがあるからそこで見比べる事もできるだろうし、実際に見て選べてとてもいい。
よくある例え話だけど、車のショールームに行って、希望の車を見て、乗って、カタログからオプションを選んで、見積出してもらって、最後に値引きしてもらって、契約 そして納車。まあ、その流れで家も納「家」されるのだから、ハウスメーカーでいいんじゃないの。いや、そうゆうものじゃないの?っていうのが一般の人の考えなのだと思う。それで十分なのに、なぜ設計事務所に頼むのか?
まあ、それは人それぞれで、何か線引きや定義ができる事ではないと思う。私の施主の人達の話では、そうゆうメーカーや建売などの物に なにか違う という感覚を持たれるようだ。もちろん敷地の大きさや形状によりメーカーが対応せず、「残された方法として」という事も無くはないかもしれないけれど、「なにか違う」という1点が、紙に垂らした墨が次第に広がっていくように、決定的になるのかもしれない。
本題に戻る。設計事務所と家づくりは大変か?
たぶん、工事が終わってしまった施主の方に聞くと、「そんな事もない」と言われるんじゃないかと思う。
時間がかかるのは確か。設計契約してから工事が始まるまで、半年から1年はかかる。プランをご覧になって、あれこれ考えていただく。もちろんいっしょに考える。そんな中から、ご自分のしたい事やこちらが提案する事を理解していただき、少しずつ進んでいく。
段階ごとにお話をし、確認していただき、進んでいく。1から10まで確認するわけではない。根本的な部分は、「これまでの仕事」を見て理解していただき「任せて」いただく。それでも「確認する」という作業は、大変といえば大変な事かもしれない。
「見た」としても「理解した」とはならない場合が多い。モデルルームを見たから出来上がるものを理解したつもりでも、実際はそれと同じではないのに、モデルルームのイメージだけを持っていて、完成した時に「イメージが違う」という事も起りうる。(そもそもモデルルームは最大限のよいイメージを演出している仮想のものだ。)
共通理解をする。確認する。その作業には時間が必要で、だから設計の段階の時間はかかるのだ。
それが「メンドクサイ」と考える人もいるだろう。
私は、ご自分の家なのだから、ご自分が理解する事は大切だと思っている。
そんな事も「設計事務所と家づくりをする事は大変(そう)だから」と言われる部分なのかもしれないが。。
(つづく)
++++
このコラムに類似したコラム
取材記事『気付かないところを気付かせてくれる建築家』が掲載されました 西島 正樹 - 建築家(2023/08/24 17:01)
今月の専門誌 齋藤 進一 - 建築家(2021/04/08 12:43)
土間収納 村上 春奈 - 建築家(2019/06/07 11:58)
玄関ドアをあけて 村上 春奈 - 建築家(2019/05/20 11:32)
多目的なピロティ 村上 春奈 - 建築家(2019/05/14 10:33)