早わかり中国:第4回 特許を受ける事ができる発明とソフトウェア特許(3) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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早わかり中国:第4回 特許を受ける事ができる発明とソフトウェア特許(3)

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早わかり中国特許

~中国特許の基礎と中国特許最新情報~

第4回 特許を受けることができる発明とソフトウェア特許(第3回)

河野特許事務所 2011年11月18日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ2011年8月号掲載)

 

(2)CS関連発明の審査

(i)技術三要素判断

 中国におけるCS関連発明の判断手法の特徴的なものとして所謂「技術三要素」判断が存在する。すなわち出願に係る発明はある技術的課題を解決するために、技術手段をもって技術的効果を得ることが必要とされる。

 審査指南第2部分第9章は以下のとおり規定している。

「出願に係る解決案が、コンピュータプログラムを実行する目的は技術的課題を解決することにあり、コンピュータ上でコンピュータプログラムを実行し、それにより外部または内部対象に対する制御または処理により反映するものが自然法則に則した技術手段であり、かつ、ここから自然法則に則した技術効果を得る場合、専利法第2条2項にいう技術案に該当し保護対象となる。」

 例えば、コンピュータプログラムを実行する目的が、工業、測量または検査プロセスの制御を実現するためのものであり、コンピュータが実行するプロセス制御プログラムを通じて、自然規則に基づき当該工業プロセスの各ステップに対する一連の制御を完成し、これによって自然法則に適合した工業プロセス制御の効果を得る場合、出願に係る解決案は専利法第2条第2項にいう技術案に該当し、保護対象となる。

(ii)創造性

 その他、技術三要素判断は創造性の判断にも関連して用いられる。創造性は、専利法第22条第3項に規定されている。同項の規定は以下のとおりである。

「創造性とは、従来の技術に比べて、その発明が格別の実質的特徴及び顕著な進歩を有し、その実用新案が実質的特徴及び進歩を有することをいう。」

 ここで発明が「顕著な進歩を有する」とは、発明が現有技術と比較して、有益な技術的効果を発揮できることをいう。つまり、発明と引例との相違点に関し、引例技術と比較して、有益な効果を発揮できるにもかかわらず、その効果が非技術的効果である場合は、創造性を有しないと判断される。

(iii)登録されないCS関連発明の例

 【発明の名称】動摩擦係数μの自動計算法

 【従来技術】出願の解決方案は、コンピュータプログラムを利用した動摩擦係数μの自動計算法に関する。従来の動摩擦係数の測定法では、測定対象の紐状物を固定した速度で牽引する装置を利用し、摩擦片の位置の変化量であるS1とS2を別々に測定した上で、以下の計算式 μ=(log S2-log S1)/e により、測定対象の紐状物の動摩擦係数μを算定するものである。

 【請求項】摩擦片の位置の変化量S1 とS2の比を計算するステップと、

変化量の比S2 /S1の対数のlog S2 /S1を計算するステップと、

対数logS2 /S1とeの比を求めるステップと、

を含むことを特徴とするコンピュータプログラムを利用した動摩擦係数μの自動計算を実現する方法。

 【考察】この解決方案は、測定法の改良でなく、コンピュータプログラムで実行される数値の計算法である。求めるのは物理量に関連しているものではあるが、解答を求める過程は1種の数値計算であり、当該解決方案は全体として、1種の数学上の計算法に該当する。従って、専利法第25条第1項(2)にいう知的活動の規則及び方法に該当し、特許を受けることができない。

 (次号に続く)

 

コラム

外国企業による保有実用新型特許権数、及び、保有外観設計特許権数

 第2回において、中国企業による実用新型特許出願件数及び外観設計特許出願件数が圧倒的に多いことを説明した。しかし、近年では米国及び日本企業が実用新型特許及び外観設計特許の有効性に着目し、着実に保有特許件数を増加させている[1]。

 

図1は国別の実用新型特許権の保有件数、図2は権利者別の実用新型特許権の保有件数である。実用新型特許に関しては米国及び日本の保有件数が圧倒的に多い。

図1 国別の実用新型特許権の保有件数 

図2 権利者別の実用新型特許権の保有件数

 

 図3は国別の外観設計特許権の保有件数、図4は権利者別の外観設計特許権の保有件数である。外観設計特許に関しては日本の保有件数が圧倒的に多い。

図3 国別の外観設計特許権の保有件数

図4 権利者別の外観設計特許権の保有件数

以上


 


[1] 2011年専利統計簡報第7期

 

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