早わかり中国:第4回 特許を受ける事ができる発明とソフトウェア特許(1) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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早わかり中国:第4回 特許を受ける事ができる発明とソフトウェア特許(1)

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早わかり中国特許

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第4回 特許を受けることができる発明とソフトウェア特許(第1回)

河野特許事務所 2011年11月14日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ2011年8月号掲載)

 

 

 第3回に引き続き専利法第25条の特許を受けることができない発明について説明する。

 

1.外科手術方法(専利法第25条第1項(3) 疾病の診断及び治療方法)

 外科手術方法とは器械で、命を有する人体または動物体に施される切開、切除、縫合、入れ墨等、創傷性または介入性の治療や処置方法をいい、特許が付与されない。

 ただし、死亡した人体または動物体に施される切開、切除、縫合、入れ墨等の処置方法は、専利法5条1項(公序良俗)の規定に違反しない限り、特許が付与される。

 なお、治療を目的としない外科手術方法の場合、専利法第25条の規定ではなく、実用性(産業上利用性)がないとして拒絶される(専利法第22条第4項[1]、審査指南第2部分第5章3.2.4)。例えば、美容のために施される外科手術方法、または外科手術により生きている牛から牛黄(牛の胆嚢の結石)を取る方法、及び冠動脈撮影をする前に採用する外科手術方法の他、診断補佐のために採用される外科手術方法等である。

 

2.動物及び植物の品種(専利法第25条第1項(4))

(1)専利法における動物及び植物

 動物及び植物の品種についても特許を受けることはできない。専利法における動物とは人を含まず、自ら合成できず、自然の炭水化物と蛋白質を摂取することでしか生命が維持できない生物をいう。専利法における植物とは光合成により、水、二酸化炭素と無機塩など無機物で合成される炭水化物、蛋白質を利用して生命を維持し、通常は移動できない生物をいう。

 なお、動物及び植物の品種は専利法以外の他の法律・法規により保護される。例えば、植物品種権は『植物品種権の保護条例』により保護される。

 

(2)動物及び植物の品種の生産方法

 動物及び植物の品種の生産方法については特許を受けることができる(専利法第25条第2項)。ただし、生産方法とは生物学上以外の方法を指し、動物と植物の生産が主に生物学上の方法による場合、特許を受けることができない。

 方法が、「主に生物学上の方法」に該当するかどうかは、当該方法における人的技術の介入度によって決定される。人的技術の介入が当該方法により達成される目的または効果に対し、主要な制御上の役割或いは決定的な役割を果たしている場合、当該方法は「主に生物学上の方法」に該当せず、特許を受けることができる。例えば、輻射飼育法によるミルク生産量の多い乳牛の生産方法、飼育方法の改善による赤身型豚の生産方法等には、特許が付与される。

 

(3)微生物

 微生物には、細菌、放線菌、真菌、ウィルス、原生動物、藻類などが含まれる。微生物は、動物の範疇にも、植物の範疇にも属しないため、専利法第25条第1項(4)に掲げる「動物及び植物の品種」に該当せず特許を受けることができる。

 ただし、人間による如何なる技術的処理も受けずに自然界に存在している微生物は、科学上の発見にすぎず、特許を受けることができない。微生物が分離されて純粋培養物となり、かつ特定の産業用途を備える場合に限って、微生物そのものは特許を受けることができる[2]。

 

3.原子核変換の方法により得られる物質(専利法第25条第1項(5))

 原子核変換の方法及び当該方法により得られた物質は、国の経済、国防、科学研究及び一般の生活上の重大な利益に関連し、企業、個人に独占を認めるべきではないとの趣旨から、特許を受けることができない。

 

(1)原子核変換の方法

 原子核変換の方法とは、1つまたは複数の原子核の分裂、或いは融合により、1つまたは複数の新たな原子核を形成させる過程をいう。例えば核融合反応を完成させる磁鏡法、封閉法、及び核分裂を実現させるための各方法などであり、特許を受けることができない。

 ただし、原子核変換を実現するために粒子エネルギーを増加させる粒子加速方法(電子波加速法、電子定常波加速法、電子衝突法、電子環状加速法)は、原子核変換の方法に属さず、特許を受けることができる。また核変換方法を実現するための各種設備、機器、及びその部品等も当然ながら特許を受けることができる。

 

(2)原子核変換の方法により得られた物質

 原子核変換方法により得られた物質とは、主に加速器、反応炉とその他の核反応装置により生産、製造した各種の放射性同位体をいい、特許を受けることができない。

 ただし、これらの同位元素の用途及び使用される機器、設備には特許が付与される。


 


[1] 専利法第24条第4項 実用性とは、その発明又は実用新型は、製造又は使用が可能であり、かつ積極的な効果を生じ得ることをいう。

[2] 詳細は審査指南第2部分第10章 「化学分野の発明専利出願の審査に関する若干の規定」に規定されている。

 

(第2回へ続く)

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