日経記事;『太陽電池生産体制見直 シャープ/パナソニック』考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:事業再生と承継・M&A

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『太陽電池生産体制見直 シャープ/パナソニック』考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. 事業・企業再生戦略
情報・知識 ビジネス雑感

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月22日付の日経新聞に、『太陽電池の生産体制見直し相次ぐ シャープやパナソニック』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『太陽電池メーカーが相次いで国内の生産体制を見直す。シャープは今月から来春までの半年間、国内生産を約2割減らす。一部のラインを止めて設備を改修し生産性などを改善する。

パナソニックは2012年度をメドにアジアで初の海外生産に乗り出す。世界的な市況低迷や円高で輸出採算が悪化しており、一本調子で拡大を続けてきた国内の太陽電池産業は転機を迎えた。

シャープが減産するのは太陽電池の基幹部材であるセル(発電素子)。セルは国内2工場で生産しており年産能力は合計で107万キロワット。このうち葛城工場(奈良県葛城市、年産能力71万キロワット)の一部ラインを止め、製造装置などを交換。
生産性を高めるほかセルの発電効率を引き上げて海外メーカー品などに対抗できるよう競争力を高める。

減産分のセルはアジアなどのメーカーから調達して汎用タイプの太陽電池に使用。イタリアで年産能力16万キロワットの合弁工場で近く量産を始め、世界での販売量は維持する計画だ。

パナソニックは中国を軸に、マレーシアなども候補とし海外生産する検討に入った。生産能力は年10万キロワット強で、投資額は数百億円規模の見込み。

現在の生産拠点は二色の浜工場(大阪府貝塚市)など国内2カ所。兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場を太陽電池用に転換する計画だったが、円高の長期化などを背景に撤回、海外での増産を選択した。
海外生産開始後の国内外全体の生産能力は現在より2割強多い70万キロワット強まで増える。

太陽光発電は環境負荷が少ないエネルギー源として関心が高まっており、この数年は世界各国で参入、増産が相次いだ。一方、11年は最大市場である欧州市場が財政危機の影響で縮小、世界の総需要も減る見通しで需給が急速に悪化している。
米調査会社のソーラーバズによると1ワット当たりの平均出荷額は11年に1.59ドルと3年前に比べ6割低くなる見込み。

需要低迷と価格低下の影響で、世界最大手の中国サンテックパワー、2位の中国JAソーラーが4~6月期にそろって赤字を計上。

米国では米政府が巨額の融資保証をしたソリンドラ(カリフォルニア州)など経営破綻も相次ぐ。シャープも1~3月期から2四半期連続で部門営業赤字を計上した。』


10月21日付のブログ・コラムで『パナソニック、太陽電池増産を撤回 円高で採算悪化』について考えを述べました。

本日も太陽電池に関する動きについて述べます。
太陽電池は、間違いなく世界レベルのエネルギー・環境市場で中核事業の一つになる成長分野です。しかし、今年から来年は市場自体の成長が踊場にさしかかる可能性があります。

理由は最大の欧州市場で、財政危機により補助金の削減が見込まれ、太陽電池の新規設置台数が減少するためです。米国も財政危機に直面しており、当面市場拡大は望めません。

日本国内は、自然エネルギー買取法案が2011年8月26日に成立し、今後太陽発電が増える見込みです。しかし世界市場をけん引するだけの規模にはなりません。

中国企業である、サンテックパワーやJAソーラーが安値攻勢を国内市場でかけてきており、パナソニックやシャープなどの国内企業を苦しめています。

しかし、これらの中国企業も赤字に直面しています。このままいくと、勝者なき価格競争に入ってしまう可能性さえあります。

今の液晶テレビのように安さのみを追求していくと、メーカーは疲弊するばかりで産業育成に困難になる可能性があります。

このような事態が起こることを太陽電池で防ぐには、作り方と流通の仕組みを工夫してコストを削減する必要があります。今回は、国内メーカーが行おうとしている作り方の工夫について触れます。

パナソニックとシャープが行おうとしているのは、生産性の向上や製造コストの削減です。何れも市場価格の下落に対応するためです。

パナソニックは、長期円高対策も含めて、昨日述べました様に国内での増産を凍結し、中国やアジアでの生産で対応することにしました。記事によると、海外生産の投資額は、数百億円規模とのこと。

シャープは、太陽電池の基幹部品であるセルの国内生産の削減と、製造装置などの交換による生産効率向上と、発電効率を引き上げる方針です。減産するセル分は、市場状況に応じて汎用品を海外メーカーから調達するとのこと。

国内メーカーは、汎用タイプの太陽電池の製造コストを削減し、世界市場で勝ち残れる体制を作る必要があり、パナソニックやシャープはそれに挑もうとしています。

中国や韓国企業が参入してくると、市場拡大時期から安値攻勢をかけて来ますので、国内企業は初めから安値対策を市場参入時から計画・実行する必要があります。

今まで国内企業は、良いものを作れば、価格が多少高くても顧客はそれに見合った価値を理解してくれて、購入してくれるとの仮設で事業展開してきました。

確かにその市場はある程度の規模でありますが、過半数の市場は汎用品で占められています。太陽電池のような新規事業でも同じです。

国内メーカーはその仮説にとらわれないやり方を考える必要があります。

世界市場で戦うことは、参入当初から激しいサバイバルゲームに直面する覚悟で、中国、韓国、台湾などのメーカーと競走する覚悟とやり方が今後の勝敗を決めます。

半導体や液晶テレビがその実例になります。太陽電池がその二の舞を避けるには、汎用品で中国などのメーカーとの競争に打ち勝つための事業展開を行う必要があります。

高性能品が生きる市場はあります。そこは国内企業が得意な領域ですので、そこは維持していれば良いのです。

汎用品で勝ち残る残るために、パナソニックやシャープの模索は続きます。当面苦しい状況が続きますが、勝ち残って大きな市場が見込める太陽電池事業で美味しい果実を味わえることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「情報・知識」のコラム

このコラムに類似したコラム

日経記事;"(社説)抜本的出直しを迫られる日本の電機産業"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/11/02 09:48)

日経記事;"企業収益 復活への条件 買収と撤退、採算を向上"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/05/23 07:58)

日経記事;"パナソニック、脱「テレビ依存」で背水の陣"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/05/12 08:47)

日経記事;『電機、「選択と集中」の誤算』に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/03/25 10:29)