日経記事パナソニック太陽電池増産撤回円高採算悪化に関する考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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日経記事パナソニック太陽電池増産撤回円高採算悪化に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月21日付の日経新聞に、『パナソニック、太陽電池増産を撤回 円高で採算悪化』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは太陽電池の増産計画を見直す。プラズマテレビ用パネルの生産拠点である尼崎第1工場(兵庫県尼崎市)を2012年度に太陽電池工場へ衣替えする計画を撤回する。

太陽電池は競争激化による価格低下に加え、円高で輸出採算が悪化している。テレビ事業の縮小に続き、成長分野に位置付けている太陽電池事業でも生産体制の再編を迫られることになる。

◆パナソニックのプラズマパネル工場(所在地)と今後の展開
●尼崎第1(兵庫県尼崎市)
今後の展開 ⇒太陽電池の生産計画撤回。プラズマ設備の中国移管を中止
●第2(同)
今後の展開 ⇒生産継続
●第3(同)
今後の展開 ⇒今期中に生産停止。減損処理
●上海(中国)
今後の展開 ⇒量産計画を中止

当初は尼崎第1工場にあるプラズマパネルの設備を中国の上海工場にまず移管し、空いたスペースで12年度から、子会社の三洋電機が手掛ける高性能太陽電池「HIT」を生産する予定だった。

太陽電池は最大市場である欧州の各国が補助金による普及策を縮小しており、欧州太陽光発電産業協会(EPIA)によると11年の市場規模は前年より3割以上減少する見通し。

日本国内は政府の補助金制度を支えに需要拡大が続くが、中国メーカーなどの攻勢で価格が下落している。

三洋電機の現在の生産拠点である島根三洋電機(島根県雲南市)と、二色の浜工場(大阪府貝塚市)は生産再編の対象にはしない。ただ、両工場ともに増産の余地は乏しい。
今後市況悪化に歯止めがかかっても、東南アジアなど海外を中心に拠点を新設する方針。

パナソニックは尼崎第1工場から中国の上海工場へのプラズマパネルの設備移管も取りやめる。当初は来年4月から上海工場の近隣に新工場を確保し、10年比で約5倍の月間約12万台(42型換算)の量産体制を敷く予定だった。
しかし、中国の薄型テレビは一段と液晶が優位になっており、プラズマテレビの需要増が見込めないと判断した。

パナソニックは最新鋭のプラズマパネル工場である尼崎第3工場の稼働を今年度内に停止する方針。成長のけん引役に位置付けるリチウムイオン電池でも最新の住之江工場(大阪市)への追加投資を凍結した。
今後は需要に見合った生産体制にして、収益改善を急ぐ。』


パナソニックは、昨日、主力のテレビ事業を縮小する方針を決め、発表しました。更に上記記事によると、太陽電池増産も見直しを行うようです。

テレビ事業は、韓国や中国メーカーが安値で国内市場で販売しており、40型以下の売値下落はメーカーを苦しめていました。

更に、円高が追い打ちをかけて輸出採算も悪化し、パナソニック、ソニー、シャープなどのテレビ事業は軒並み大幅赤字に直面しています。

テレビは家庭の電気商品の中で王様の位置を占めるものとして考えられ、各メーカーは自社べランドの価値を表す代表として扱い、商品開発に力を注いできました。

パナソニックの場合、液晶に加えてプラズマパネルも手掛けていますので、市場・事業が拡大しない限り、二重投資の回収を出来ないことになります。

主要市場である中国でプラズマパネルの需要が伸びないと判断して、新規工場の展開や減産などの処置を決めました。

パナソニックにとっては、苦しい決断であると推測されます。しかし、市場環境を見る限り正しい判断です。
企業は利益を出して何ぼです。その観点からみますと、赤字事業は早急に見直し対抗策を講じる必要がありました。

他社をみても、日立がテレビの自社生産から撤退し、シャープも普及サイズの40型以下のパネル生産を縮小するなど、消耗戦に耐えきれない国内メーカーがテレビ事業を抜本的に再編する動きが広がっています。今後、ソニーも更なるテレビ事業の見直しを加速させる可能性があります。

パナソニックは、今後成長が見込まれる太陽電池も例外視せず、市場環境を冷静に判断して当面の増産計画を見直しました。赤字事業の拡大を避けるために必要なことです。

太陽電池や、家庭用或いは車載用電池は今後の新成長事業ですが、現在の市場環境や円高状況を考えて増産などの積極策を手控える方針です。

海外企業との競合や円高を考えると、国内家電メーカーは早急に対応策を講じ実行する必要があります。一つは、参入企業数と商品群の減少です。

例えば、東芝、日立、ソニーと官民ファンドの産業革新機構がスマホ用の中小型液晶パネル事業を統合し、来春までに統合新会社「ジャパンディスプレイ」を設立することになっています。このジャパンディスプレイが、パナソニックが売却する方針を固めた茂原工場(千葉県茂原市)の工場を買収し、生産拠点にすることで最終調整していることが判りました。

新会社は生産の増強を図る計画で、日立の液晶子会社に隣接するパナソニックの工場が最適地と判断したようです。これは、テレビを含むディスプレイ事業の集約化の一例です。

電池事業については、補助金削減による欧州市場の太陽光発電需要の減少や、中国メーカーによる安値攻勢などで市場環境が悪化し、当面増産策を据え置く方針を取っています。

例えば、アメリカ市場では中国メーカーの攻勢で 米太陽電池メーカー3社が相次ぎ破綻し、太陽電池の米7社が中国メーカーをダンピング提訴する事態になっています。

商品群の集中化や生産量調整・削減に加えて、もう一つ行うことがあります。「差異化」もしくは「新規性」の打ち出しです。

中国や韓国などの海外メーカーの安値攻勢に対抗する商品化と生産の仕方を工夫する必要があります。各企業は自社内で持っている技術ノウハウの見直し・棚卸を行い、徹底的に差異化・新規性を訴求する必要があります。

状況に応じて他社との連携やM&Aを積極的に行う必要があります。海外勢の意志決定と行動は速いため、国内企業はそれを上回るスピードで経営を行う必要があります。

頑張れ国内メーカー!!

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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