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2.知っておきたいマネー用語:国債の仕組み
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【国債=国の借金】
よく、国債残高を国民一人当たりに還元するといくら、みたいな報道を
見かけることは多いと思います。
しかし、実際は国債は「国」の借金なので、それを「国民」の借金に置き
換えるのはあまり正確な表現ではありません。
わかりやすく表現したら、そういうふうになるのでしょうが心情的には、
国債という借金を背負わされているんだというと思うと、なかなかいい気
持ちはしませんね。
【日本は近々破綻する?】
増え続ける国債発行残高に対応するために、税収を増やして返済してい
くしか無く、そうしないと日本の財政は破綻してしまうかもしれません。
よく聞く発言ですが、本当のことなのでしょうか?
結論からいくと答えは「ノー」です。
実際に国債発行残高だけをみると、破綻したアルゼンチンやアイスランド、
ギリシャなどと同水準です。
それでも、日本の財政がいますぐ破綻するわけではないという理由として、
日本国債の「対外債務比率」が非常に低いという特殊な事情が挙げられま
す。
【対外債務比率とは】
対外債務比率とは海外の国債保有者の内訳です。
では、主要国の対外債務比率を見てみましょう。
ポルトガル・・86%
ギリシャ・・・71%
アメリカ・・・48%
イギリス・・・30%
ドイツ・・・・53%
フランス・・・34%
スペイン・・・43%
日本・・・・・5%
財務省財政資料:ギリシャ財政危機と日本の現状より
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseia/zaiseia
220906/02-1.pdf
このように先進主要国では、概ね30~50%の水準ですが、ポルトガル、
ギリシャは突出して高く、日本の場合は突出して低くなっています。
【なぜ対外債務比率が高くなるのか】
発行者側にしてみれば、国内の税収が不安定な場合、海外に向けて債
権を発行すると、基本的には、国債のリスクはその国のデフォルトリス
クくらいなので、よほど国内情勢が混乱でもしていない限り世界中から
資金を集めることができます。
また、債権者側は、国債を購入しようとする場合、基本的には国が保
証する債権なので、リスクの割にはリターンの多い金融商品ということ
になります。
【対外債務比率が高いことのリスク】
対外債務比率が高いことで発生するリスクは、ズバリ為替動向です。
海外向け国債は、流動性を確保するためにドル建てで販売されること
が多くなります。
そのため、利払い時や償還時には、債務国、債権者ともに為替動向に応
じて被るリスクが変化します。
為替相場が、ドル高自国通貨安になってしまえば、利払いや償還に多く
の自国通貨が必要になり、支払不能(デフォルト)リスクは高まってい
くことになります。
一方、対外債務比率が低い場合(自国民から自国通貨建てで借金してい
る場合)は、対外債務が支払不能に陥ること自体があり得ないので、形
式上のデフォルトはなくなります。
ですので、国債発行残高だけを見て、国債のリスクを判断するのは、
少しズレた論点ということになります。
かといって、増え続ける国債発行残高を放置しても財政破綻にならない
ということではありません。
利払いや償還がある以上、金利上昇時の負担が大きくなったり、無限に
借換えするわけにもいきません。
次回は、国債を通してどのような資金の流れが形成されているのかを見て、
それがどのように景気を形成するかを解説します。
@NEXT SenSEマガジン[vol.15]
http://www.enweb.jp/mailback/2011/03/next-sensevol15.html
株式会社えん
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