- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:造園・ガーデニング
昨今は、家を建てるときに・・
「庭に緑はいりません!」
なんて言われることがとても多いです。
汚いから?
手入れがめんどくさい?
虫がいや・・
それで、マイナスイオン付きの空気清浄機を家中に何台もおいていたんでは、何やってんだかわかんないと思うのですが・・
そもそも、地球上の全生き物は緑がなければ生きていくことも出来ないのに・・
緑がないと土がない、つまり降った雨はまったく地面にしみこみません。
保水力がゼロ・・
それが町中に広がり、街が都市型水害に襲われています。
緑は水分を含んで猛暑の夏、街に陰を作りヒートアイランドを緩和します。
この夏、節電をしながら猛暑を避けるため・・
街に緑のカーテンが激増しました。
あそこの家もここの家もみーんな窓の前にゴーヤを植えています。
どれだけゴーヤをもらったことか?
ゴーヤなど植えなくても庭に植木があればそれで緑のカーテンなはずなのに・・
街に住む人達は、緑がないことに慣れきってしまい、緑などない建物を望むようになってきたのでしょうか?
昨今は、大の大人の大男が大声を上げて逃げ回るほど虫を毛嫌いするようになってきました。
わからないこともないような気がします、子供の頃から廻りに虫のいない環境で育ってきたので・・
どの虫が怖い虫で、どの虫が綺麗な虫なのかまったく知らないのです。
だから全ての虫を嫌がる。
虫がいなければ緑は育たないのに・・
私は農家の出の親だったせいなのか・・
緑が大好きです。
緑あふれる家を建てたいと思っています。
でも、お客さんにそういわれたら、それはもうしょうがないことなので・・
実に残念なことだと思っています。
住宅の企画や設計をするときに・・
景色を作るというのは、とても大事なことです。
玄関はいると坪庭を横に中に・・
リビングの窓から緑のお庭が飛び込んでくる・・
浴室で浴槽につかりながら、のんびり山並みを・・
なんて・・
そんな大層なもんいらんよっていう人でも・・
リビングの窓の前は隣の家の壁・・
寝室の窓の前を車がビュンビュン・・
なんてのは嫌なはずです。
そんな景色を作るために・・
借景という手法があります。
自分の敷地には景色を作れないので、あるいは敷地外に素晴らしい景色があるので外部のそれをお借りする。
見える物はただですから・・
ただ・・
向こうに綺麗な公園があるので、リビングをそこに向けて景色をつくって下さい。
でも、うちに緑はいりません・・
あの素晴らしい緑の林をテラスから家の中に取り込んで下さい。
でも、うちに緑はいりません・・
ある人など、道路に桜の木があって、それが綺麗だからとそれに向けて大きな窓で玄関に借景を・・
ところが数年後その木が虫にやられたので役所が抜いてしまったら・・
それを怒ってまた植えさせた人がいます。
でも、うちに緑はありません・・
少し考え直しませんか?
土は汚くなどありません。
もし本当に汚いのなら、転げ回って遊んでいる子供達や犬や猫などはみんなとっくに病気になっているはずです。
めんどくさくても、それを楽しんじゃいませんか?
猛暑の夏、緑があるとほんとに涼しいですよ。
実は、あまりに植裁をする人が減ったので・・
緑地法なる法律が出来ています。
都市型水害を減らすため、ヒートアイランド削減のため、あるいはエコ推進のため・・
名古屋では緑地条例を定めて、ある程度の規模以上の建物は新築の際、たとえ住宅であっても緑化することが義務づけられています。
法律で決めないと誰もやらないってのは、本当に悲しいことだと思うのです。
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
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