- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
今回は耐震性について記載してみたいと思います。現在の木造自由宅の設計においては耐震強度1を満たすことが法律で求められています。東北地方での震災の被害をもっても、新しい住宅への被害が少なかったことから、この強度を満たしていれば一つの安全基準を満たしているといえるであろうと思います。
品確法においては、構造計算時の地震力を1.25倍、1.5倍にして計算し、それぞれを満たす耐震強度のことを耐震強度2・3と呼んでいます。特に強度を強くする必要がある場合には、これを目指すことになりますが、木造の場合には具体的に耐力壁を増やすということで対処することになります。壁を増やすということは、住宅設計における開放性の確保との調整が難しくなりますが、そこを解決する方法が問題になります。
また耐震強度を上げるだけではなく、制震という考え方も重要であると思います。上記の耐震とは違い、揺れを逃すような仕組みを制震と呼びますが、コスト・効果の両面から評価してお勧めできる手法はオイルダンパーによる熱エネルギー変換型の装置です。この工法は地震時の揺れを抑えるため、木造の弱点ともいえる2回目、3回目の揺れに対して非常に効果的です。揺れを抑えることができるからこそ、耐震性能を維持している筋交いなどの部材を破壊する前に守ることが出来、だからこそ2回目の揺れに対してもきちんとした耐震性能を発揮させることが出来るのです。
これを使用した場合、一般の住宅であれば40万円程度で制震効果を得ることができます。鉄骨架台を組んでその上を建物がすべることで揺れを逃す手法などに比べると1/10程度のコストで納まることを考えると、より現実的な工法といえます。私が特にお勧めできる工法はハウジングソリューションが販売しているコラボパーワーなる商品ですが、これについては今後の設計に取り入れていきたいと考えています。