- 安藤 美樹
- 有限会社安藤美樹建築事務所 取締役
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
東京都品川区某地域の軟弱地盤対策の実例
建替えなので、建主様から、地盤状態を把握する貴重なお話を聞く事が出来ました。
それによると、敷地及び敷地の前面道路は川の埋立て地という事です。建主さんは不同沈下も経験したとも言っておられました。
更に、建主さんは役所に地盤のことを調べに行ったとの事。
その結果、役所の液状化マップによれば、液状化のおそれ若干ありという事なので、心配であるということでした。
この住宅を建てる敷地の近くには、地盤調査を行った多くの結果があり、この辺一体の地盤状況を詳しく知る事が出来ました。
地表面から深さ7mぐらいまで軟弱な地盤で、孔内水位は深度2mぐらいです。
地盤が硬くなり、杭が支持できる地盤(支持層)の深度は9mです。
地盤調査方法として、標準貫入試験を選択します。
その理由は、より詳しい地盤の土の事を知る必要があるからです。特に上部構造が鉄骨造や鉄筋コンクリート造にする場合は、この方法が最適です。それと、今回は、液状化の危険性があるのかどうかのサンプル試験も行うため、この方法が良いです。
地盤調査の深さを、支持層から5m深い所までとします。
土地の中央部1ヵ所の調査とします。敷地が狭いため、1ヵ所で大丈夫という判断です。
<地盤調査>
工事着工前に、現地の地盤調査を行いました。
以下は地盤調査(標準貫入試験)の結果です。
支持層は地表面から9.06mの深さです.
地表面から測定深さまでの土質とN値
地層 | 主な土質 | 深度 | N値 | 備考 |
埋土 | 粘土 | 0m-1.36m | 2 | 人為的な盛土である。 |
沖積層 | シルト | 1.36m-6.06m | 3 | 最も新しい約1万年前~に堆積した層(沖積層)で、層内には砂や腐食物がある。 |
東京礫層 | 砂礫 | 6.06m-7.76m | 50 | 直径10から30mmの砂礫が点在する。 |
下部東京層 | シルト | 7.76m-9.06m | 25 | 擬灰質である。 |
上総層群 | 固結シルト | 9.06m- | 50 | 支持層 |
孔内水位は、GL-1.9mです。
・液状化の恐れはない。
土質試験結果(以下の表はその抜粋)より、証明いたしました。
土サンプリング深さ | 2m | 4m | 5.5m |
土の粘土分の占める割合 | 40% | 45% | 41% |
日本建築学会の建築指針より、 粘土成分20%を超える場合は、液状化の危険性は皆無とされている。 |
<工事>
建物が地階+地上4階の重量鉄骨造なので、支持層に支持させる既成杭を打つ事にしました。
杭は、既成杭の中でも引抜き力に強いGEMパイルを使用
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