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日経記事;米特許先願主義に先発明から移行 改正法案成立について

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月10日付の日経新聞に、『米特許「先願主義」に「先発明」から移行 改正法案成立へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『米上院は8日、特許法の包括的な改正法案を賛成多数で可決した。同法案は既に下院で可決しており、オバマ大統領が署名を判断することになった。署名すれば法律が成立する。

発明した時点を重視する「先発明主義」から、特許出願の早さを優先的にみる「先願主義」への移行が柱。先進国で唯一、先発明主義を採用する米特許制度のグローバルスタンダードへの移行は日本企業の戦略にも影響を与えそうだ。

米国は2006年に特許に関する国際会合で先願主義への移行を表明。07年には特許法の改正法案が下院で可決されたが「先発明主義こそが新技術の創造を促す」と主張する個人発明家や中小企業団体などの反対で、最終的に法律が成立しなかった。

特許法改正を支持してきた米IT(情報技術)業界は可決を歓迎する。米IBMは「過去60年で最も広範かつ重要な米特許制度の改正」と位置付けたうえで「新法は米特許手続きの効率化や米国の発明家の特許の質向上、世界経済における米国の競争力を生き返らせるものだ」とのコメントを発表した。

特許紛争が急増しているIT業界では、米グーグルが通信関連の特許を多数抱える米モトローラ・モビリティーを買収するなど、訴訟リスクを減らすために特許を囲い込む動きが活発化している。先願主義への移行は、特許紛争の減少につながると期待されている。

米国で数多くの特許を申請している日本企業への影響も大きそうだ。米特許制度に詳しい藤森涼恵弁護士は「日本の制度に近づくことで、日本企業が米国で特許を申請しやすくなる」と話す。

先発明主義と先願主義では、特許の申請に必要な書類が異なるため、日本企業が米国で特許を申請する際には、日本で必要のない特別な資料を作成する必要があり、手間がかかっていた。』


オバマ大統領が特許の改正法案に署名し、早期に「先願主義」に移行することを歓迎します。
米国の中に特許ゴロと呼ばれる悪質なブローカーがいて、国内企業が出願した特許に対して既存特許を侵害したので、違法使用分に相当するお金を払えと、請求するケースが常態化しています。

中小企業にとって、成立した特許を維持するためのコストは決して小さくありません。まして海外で成立させようとすると、国際出願などの仕組みを使ったとしても多額のコストが発生します。

海外で特許を出願する場合、多くの企業は米国を加えます。これは市場が大きいことと、米国企業による特許訴訟リスクを低減させる狙いもあります。

米国で先願主義になりますと、主要国の特許制度が先願制度でグローバルスタンダード化され、世界企業がどこが先に出願したかで判断されますので、より分かりやすくなりシンプル化されます。

国内のベンチャーや中小企業は、米国で事業を行う際に特許を出しやすくなります。また、特許ゴロによる訴訟リスクも低くなります。国内IT企業にとっても朗報です

現在、米国内のIT企業は、特許訴訟リスクを下げるために、グーグルなど中心に特許権の売買が活発になっています。

例えば、IBMはインターネット検索最大手のグーグルに、コンピューターの頭脳に相当するMPU(超小型演算処理装置)などに関わる1000件超の特許を売却しました。
これはスマホなどの市場拡大を背景に特許紛争が増えており、企業の間で防衛策として特許の購入意欲が高まっているためです。

コダックはデジタル画像関連の1100件の売却を、無線通信関連の特許を保有するインターデジタル (ペンシルベニア州)は身売りをそれぞれ検討し始めたとの報道もあります。


また、国内では、今年の8月末に閉会した通常国会で改正特許法が成立しました。これは、自社に足りない技術をM&A(合併・買収)で外部から取り込む動きや、産官学が連携して共同研究に取り組む動きが広がるなど、企業の研究開発の変化に対応するのが狙いです。

ある企業が他社と契約して得た「特許の使用権(ライセンス)」の保護強化に関する改正しています。今までは、特許を保有する企業の経営破綻やM&Aで特許の所有権が他の企業に移転すると、その特許を使用している企業は新しい所有者から使用の差し止めや損害賠償を請求される恐れがありました。

例えば、今までの場合、A企業に好意的な企業が保有し、A企業が適正なライセンス料を払って使っている特許がある場合。その企業がA企業のライバル企業に買収されてしまうと、ライバル企業は特許をA企業が使うことを拒んだり、法外なライセンス料を要求したりしてくる可能性がありました。

改正特許法のポイントは以下の通りです。
・買収などで特許の所有者が変わっても、ライセンス契約の継続を可能に
・真の発明者が「横取りされた特許」を取り戻すことが可能に
・裁判所での特許訴訟の判定確定後は、特許庁での無効審決による争いを制限(乱訴の制限)
・学会公表後も特許出願を認める制度を導入
・中小企業に対する特許維持コスト減免制度を拡充
 
今回の法改正で、特許訴訟を突然仕掛けられる危険が大幅に減り、安心してビジネスができることになります。

今後国内でも、企業再編や事業縮小に伴う特許売買は盛んになると予想されます。今回の法改正で、想定外のライセンス料や防衛のための特許の買い取りにコストをかけなくても済むようになると考えます。

このように米国及び国内で特許法が大きく変更され、先願主義で出された特許が保護されると共に、M&Aで事業譲渡されても既に特許ライセンス契約を結んでいれば、不法にライセンス料を上げられたり、使用許諾破棄のリスクが低くなります。

中小やベンチャー企業は、これらの特許法改正の動きを受けて特許維持コストも下げることが可能になりますので、より積極的に特許を活用して自社の経営基盤強化に役立てるようにすることが重要です。

よろしくお願いたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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