- 佐藤 昭一
- NICECHOICE 佐藤税理士事務所
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
当期に仕入れた商品がすべて当期に販売できるとも限りません。当期が消費税の免税事業者で来期が消費税の課税事業者となるような事業者の場合、当期に仕入れた商品を来期に販売するとどうなるでしょうか?
当期に仕入れた商品を例えば105円とし、それが全て売れ残って来期に210円で販売できたとします。
当期は消費税の免税事業者ですから、仕入税額控除は行われず在庫として105円が帳簿に残ります。
来期になって消費税の課税事業者となったので、売上に対しては消費税が課税されます。210円の売上に含まれている消費税は10円です。売上に対応する商品については、免税事業者であった時に仕入れた商品であるため、105円がそのまま売上原価となり、本来控除されるはずだった商品に含まれている消費税5円を控除することはできません。結果として消費税の納税額が5円多くなり、10円を納税するということになります。
このような不具合を調整するため、免税事業者から課税事業者になる場合には、期首の棚卸資産に含まれている消費税額を仕入税額控除できるような仕組みが取られています。
期首棚卸資産の税額控除とは
免税事業者か課税事業者となった場合に、期首の棚卸資産をその期に仕入れたものと同じとみなして仕入税額控除の適用を受けられるようにすることをいいます。
税額控除の金額は次の計算式で計算します。
期首棚卸資産の取得価額×4/105=期首棚卸資産の税額控除額
この税額控除の適用を受けるためには、棚卸資産の明細を記録した書類を確定申告期限から7年間保存することが義務付けられています。
新設法人の3期目は、1期目2期目が免税事業者となることから(期首の資本金が1000万円未満の場合)3期目から課税事業者となるケースが多くなります。3期目は免税事業者から課税事業者となる時であるため、期首棚卸資産の税額控除を忘れずに適用をするようにしましょう。
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