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日経記事;カーエアコン/メーターデンソー種類数半減に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月30日付の日経新聞に、『カーエアコンやメーター、デンソーが種類数半減へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『デンソーはカーエアコンなど主力の自動車向け製品で種類を半分に減らす。メーターやスターターを含め車種ごとに異なっていた仕様の共通化を進め、1つの製品が幅広い車種に採用される仕組みにする。

日本の自動車部品会社は欧米勢に比べ製品の種類が多く、製造コストが高くなる一因になっていた。他の部品会社も追随するとみられ、自動車産業全体でコスト競争力の改善につながる可能性がある。

加藤宣明社長が29日までに、日経新聞の取材で明らかにした。部品の共通化は東日本大震災に伴うサプライチェーンの混乱もあって、経産省が検討会を立ち上げるなど産業界全体の課題となっている。

円高の定着でコスト競争力の一段の向上が迫られていることもあり、加藤社長は「ぜひ取り組んでいかなければならない問題」と強調。具体的な時期など詳細は明らかにしていないが、既に一部の自動車メーカーと対応に着手したという。

デンソーはカーエアコンだけで、品番数が数百種類ある。カーエアコンのほか、メーター、スターターについて50~60%の削減を目指す。他の製品も減らすことを視野に検討する。

納入先の自動車メーカーのモデルチェンジにあわせ、今後5~6年かけて削減目標を達成する意向とみられる。

種類を大幅に減らすには自動車メーカー間で同じ部品を採用する必要もあるが、主要部品は自動車の競争力の源泉のうえ、製造原価がガラス張りになることへの抵抗も予想される。加藤社長は「自動車メーカー間の連携も検討課題になる」との認識を示した。

今後の収益の柱に育てる重点分野としては、「HEMS(家庭用エネルギー管理システム)事業」を挙げた。デンソーは電力を効率よく運用するための蓄電システムや給湯機に強みがある。省エネ住宅「スマートハウス」の中核となるHEMSの関連売上高を「10年ほどかけ年1000億円規模にしたい」と述べた。

デンソーはトヨタ自動車やトヨタホームなどグループ企業とともに、豊田市の「豊田市低炭素社会システムプロジェクト」に参加。

実証住宅にデンソーは蓄電システムや給湯機、プラグインハイブリッド車(PHV)向けの充電スタンドを提供している。実証実験で得たデータを今後の製品開発にいかし、HEMS関連事業の立ち上げにつなげる。』


デンソーの動きは、現在の国内製造業者が行うべきことの一つの方向性を示しています。それはコスト削減と新規事業開拓です。

まずコスト削減から考えます。

今後の自動車産業は、ガソリンエンジン車からハイブリッド車(HV)又は電気自動車(EV)に大きく変わっていきます。HVやEVは、ガソリンエンジン車に比べて使用する部品点数が少なくて済みます。

例えば、電動モータのみで走行可能なEV の場合、エンジン部品や駆動系部品の大部分が不要となり、構成部品点数は約3万点から約2万点に減少するといわれています。

エンジン部品や駆動・伝導・操縦装置部品などが不要になります。デンソーは、部品メーカーですからガソリンエンジン車用の使用部品が少なくなると、当然売上が落ちます。

ここにデンソーが部品を共通化して、種類を半減する狙いがあります。ガソリンエンジン車用部品の需要は今後減っていくし、戦略的に重要なガソリン車の新規開発の可能性は低くなりますので、ガソリンエンジン車部品のコストは減らしていくのは自然な流れです。

ガソリンエンジン車の場合、各自動車メーカーは、エンジンや駆動系などのメカニカル部品に独特の味付け・設定を行って差異化を図ってきました。デンソーなどの部品メーカーは、各自動車メーカーの意向に合わせて、多様化した部品を揃えてきました。この多様化した部品が自動車メーカーと部品メーカーの差異化を支えてきました。

HVやEVの場合、使用される部品は電動モータや電池、インバーター(電池からの直流電流を交流電流に変換し、モータを動かすための部品)などが中心になります。

HVやEVは、言わばパソコンやスマホなどの情報端末機器と同じで、上記部品があれば誰でも作れるようになります。自動車産業は、自動車メーカーと部品メーカーとの垂直統合型の生産構造から、水平分業型の生産構造に変わっていきます。

電動モータや電池、インバーターなどの新規部品は、部品メーカーにとっては新規需要になりますが、ガソリンエンジン車用の主要部品のように各々が価格競争力を持つことは考えにくく、他社との競争にさらされながらコスト削減要求が自動車メーカーから常にかかることが予想されます。

自動車メーカーは、電動モータや電池、インバーターなどの主要部品を世界中の部品メーカーから機能・性能・価格などを指標に調達するようになります。これが水平分業型の生産構造を意味します。

いずれ、HVやEVはシビアな価格競争産業になるとみています。コスト競争力が勝ち組になるための必須条件の一つになります。

デンソーはこのような事業環境を考え、コスト削減策を積極的に打ち出しているとみています。


新規事業の観点からみますと、デンソーはトヨタグループ企業の強みを生かして、HEMS事業に注力し、スマートグリッドやスマートハウス、スマートシティなどの省エネ・省電関連製品、例えば、蓄電システムや給湯機、PHVの充電スタンドの立上を計画しています。

環境関連事業は、今後の宝の山であり、自動車と住宅関連の両市場で蓄電システムの主要部品・製品を供給することが出来ますので、トヨタ本体を支えつつ、世界市場で大きな需要を獲得できる可能性があります。

勿論競争は熾烈になりますが、自動車と住宅の両市場での関連事業を行える強みを発揮できれば、世界市場で勝ち組になる可能性が高くなります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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