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日経記事;グーグルモトローラ買収携帯事業,9600億円に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月16日付の日経新聞に、『グーグルがモトローラ買収 携帯事業、9600億円で』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は以下の通りです。

『インターネット検索最大手の米グーグルは15日、通信機器大手の米モトローラ・モビリティーを125億ドル(約9600億円)で買収すると発表した。

グーグルは基本ソフト(OS)「アンドロイド」を世界のメーカーに無償提供する形で、スマートフォン(高機能携帯電話)関連事業を展開している。
豊富な特許を持つ老舗メーカー買収で事業拡大を加速、成長市場で米アップルなどに対抗する態勢を固める。

グーグルとモトローラ・モビリティーが合意内容を発表した。グーグルはモトローラ・モビリティーの発行済み全株式を1株当たり40ドルで取得する。取得額は12日終値を63%上回る水準に設定した。
買収は米国や欧州などの当局の承認が必要で、2011年末~12年初めに手続きを完了する見通しだ。

グーグルによるM&A(合併・買収)では過去最大規模で、大手メーカーの買収も初めて。
「iPhone」(アイフォーン)のアップルと同様、ソフトからハードまでを手掛ける態勢となるが、グーグルは買収後もモトローラ・モビリティーを独立事業部門として運営。韓国・サムスン電子や台湾・宏達国際電子(HTC)などへのOS供給も継続する。

15日の電話会見でアンドロイド部門を率いるアンディ・ルービン上級副社長は「昨日、主要メーカーに説明したが、歓迎された」と述べた。

グーグルは07年にアンドロイドの提供を開始し、11年1~3月期に世界スマートフォン市場のOS別シェアで首位に立った。一方で、サムスンなどアンドロイド搭載製品を販売するメーカーとアップルとの特許係争が増加。米MS(MS)もアンドロイド陣営から特許使用料を徴収する構えを見せる。

モトローラ・モビリティーは無線通信技術に関して世界で1万7000件の特許を保有。グーグルのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は電話会見で「買収で当社が保有する特許が増え、MSやアップルなどの脅威に対する対抗力が高まる」と話し、特許取得が大きな狙いと説明した。

米IDCによればスマートフォンの10年の世界出荷台数は前年比75%増の3億343万台で携帯電話全体の22%に達した。15年には9億2568万台に増え、市場の45%を占める見通し。

10年10~12月期にはパソコン出荷台数を上回った。11年は通年でもパソコンを超えるとみられている。MSもフィンランド・ノキアと提携して巻き返しを狙っており、成長市場を巡る競争がさらに激しくなりそうだ。』


今回のモトローラ買収は、この会社の持つ携帯端末に関する特許取得にあります。これは、グーグル自身が「アンドロイドの事業成長を加速する」。15日の電話会見でグーグルのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)はこう宣言していることで明確です。

グーグルは、携帯機器向けOSのアンドロイドで、他社を圧倒しつつあります。このグーグルに対抗するため、競合他社は自社で所有する特許を武器に、グーグルに攻撃を仕掛けています。

最近の動きで顕著なのは、アンドロイドを採用しているサムスン電子とアップルとの特許に絡むせめぎ合いです。
新聞報道によると、アップルやMSなどの他のOSを提供する企業が、グーグルの独走を止めるため、自社の持つ特許を活用してアンドロイド採用企業に対して特許侵害で訴えて事業継続を困難にさせようと動いています。

グーグルは、検索界の最大手ですが、所有特許は750件程度で、MSの所有特許数、1万8000件と比較すると大きな差があります。

IT業界では特許紛争は日常茶飯事です。この特許紛争を穏やかに解決する方法の一つに、お互いが所有特許を自由に使用できるクロスライセンス契約があります。

この仕組みを使うには、相手が使いたい特許を自社内に持っている必要があります。グーグルの場合、上記特許所有件数では、クロスライセンスの仕組みを有効に活用できない弱みがありました。

また、グーグルは、過去にもカナダの通信大手ノーテルが所有する6000件の特許買収を試みましたが、MSやアップルに妨害されました。
その他のケースでも妨害されたようです。

今回の買収は、グーグルにとっては満を持していたものでしょう。約1兆円の巨費を投入して一気にモトローラを買収しますので、他社が妨害することは難しいと考えます。
モトローラが持つ豊富な特許やノウハウを獲得できます。

モトローラは、かって携帯電話事業の覇者でしたが、スマートフォンへの対応が遅れ急速に事業環境が悪化していました。今回の売却は、モトローラにとって救いの神になったのではないでしょうか。

これらの点で、今回の買収は「Win/Win」の関係になります。


また、上記の他に今回の買収で注目したいのは、グーグルの今後の事業展開です。
今後もアンドロイドを提供し、ネット検索の王者であり続けるのか、或いは、モトローラをテコ入れしてアップルと同様に、自ら積極的にスマートフォン市場に打ってでるのか、です。

勿論、今後ともアンドロイドOSを他の携帯端末メーカーに供給し続けると言明していますが、変化の激しいIT業界で、且つ、アップルやMSなどとのし烈な競争を行っているグーグルの今後の対応に興味があります。

今までのグーグルは、ネット上の検索エンジンやアンドロイドOSを供給して、プラットフォームをおさえて広告収入を得る事業モデルで拡大を続けてきました。

アップルは、独自OSとスマートフォン機器を組み合わせた自社だけのプラットフォームを作り、そこで事業の付加価値を上げる戦略をとり、現時点では大成功をおさめています。

グーグルは、アップルと同様に、サムスン電子や台湾HTCと協業して、「ネクサスワン」ブランドの携帯端末を商品化しています。
モトローラ買収を機に、自社ブランドによる携帯端末事業に本格的に参入する可能性もあります。

この時にグーグルがどうのようなアンドロイドOS供給の仕組みを行っていくかどうか、興味があります。
プラットフォームをOSレベルでとらえるか、或いは、スマートフォンレベルでとらえるかによります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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