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日経記事;富めるアップル,成長果実 米国国内素通り に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月7日付の日経新聞に、『富めるアップル、成長の果実国内素通り 苦悩するアメリカ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『「店舗貸します」。米アップル本社のあるカリフォルニア州クパティーノ市から車で30分も走ると、トヨタ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁工場があったフリーモント市に着く。

工場閉鎖から1年余。市内には空き店舗や空き家が目立つ。業績が好調なIT(情報技術)企業が集まるシリコンバレーの一角とは思えない光景だ。

スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」などを次々とヒットさせ快進撃するアップル。
15年前は身売り交渉をしていた企業が、スティーブ・ジョブズ氏の経営トップ復帰を機に復活。株式時価総額は5日時点で3463億ドル(約27兆円)と、米国首位の石油大手エクソンモービルに迫る。

業績も4~6月期の純利益が前年同期の2.2倍の73億ドル(約5700億円)と絶好調。さぞや地元経済は潤っていると思いきや、実はさほどでもない。

■雇用も販売も海外

もちろん、本社周辺では新本社建設などを当て込んで賃貸物件の家賃が急上昇しているが、そうした地域はごく一部。

クパティーノ市が属するサンタクララ郡の失業率(6月、原数値)は10.3%と全米の9.3%(同)より悪い。なぜ、こんなことが起こるのか。

それは、海外頼みのアップルの事業構造に理由がある。まずは生産が海外頼みだ。人気製品の生産は台湾の受託製造サービス(EMS)大手に任せ、米本社は戦略立案や設計、ソフト開発に特化している。

そして販売。全社売上高に占める海外の割合は前年が52%だったが、今回は62%を突破。直営店の新規出店も海外中心だ。結果的に雇用も海外で増える。

アップルは昨年10月時点で約4万9000人の従業員を抱えるが、半数以上が直営店勤務。米国内で雇用が増える余地は小さい。

本社でも技術者を中心に外国人社員が増えた。あるソフト開発エンジニアは「優秀な外国人が増えた。難点は彼らの英語が分かりにくいこと」と苦笑する。

アップルの売上高は海外が6割以上を占める。
 
米政府よりアップルの方が“金持ち”――。債務上限引き上げ法案で米議会が紛糾した7月末、インターネット上では、アップルの手元資金と、米財務省が毎日発表する現金残高の比較が話題となった。

アップルの6月末時点の手元資金は761億ドル(約6兆円)で、米政府の現金残高を上回る。しかし、その潤沢な資金も米国内では使われない。アップルが海外で稼いだ現金は6割が米国に送金されずに海外に残っている。

これはアップルだけではなく、米国のIT企業に共通する。米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月、米IT大手11社が海外に保有する現金が向こう3年で現在の2倍にあたる2380億ドル(約18兆6500億円)に膨らむと予測した。

IT企業が好業績に沸いても、地元経済が潤わない構図がここにある。

米主要500社の4~6月期決算は純利益が前年同期に比べ10%増と7四半期連続の増益だが、米国の失業率は9%台と高止まりが続く。海外で稼ぐ大企業が潤っても米国経済を支える力は乏しくなっている。』


アップルのように、生産拠点が全て海外、販売比率の60%以上が米国以外の地域・国のような企業では、当然のことです。

アップル本社は、戦略立案や設計、ソフト開発に特化していますので、それほど大勢の人は必要ありません。
アップルの場合、商品の輸出がありませんので、地元の雇用増には貢献しません。

もし、日本の大手製造業が海外生産を徹底に押し進めると共に、液晶テレビのように、海外の受託製造サービス(EMS)に生産を徹底的に委託し始めると、アップルと同じことがおきます。

大手国内製造業の海外販売比率は、毎年高くなっています。
国内市場に成長の可能性がなく、新興国中心に需要が伸びていますので当然のとです。

ポイントは、どれだけ国内生産にこだわるか、或いは、国内生産できるものがどれだけあるかです。

国内企業の強みは、モノづくりにこだわることです。
IT企業も、ソフトやハードの開発・生産を国内にどれだけこだわるかにかかっています。ソフト開発を海外企業に全てアウトソーシングすれば、国内でのソフトウエアエンジニアは必要なくなります。

国内の中小製造業の場合、開発と商品企画・販売に特化し、生産は他社に委託するケースが増えています。現在はこの委託先が国内製造業の場合が多く、生産委託事業に特化した製造業者も増えているようです。

海外販売比率が増えてくると、当該市場に近いところで作った方が輸送コストが安い、消費者への供給までのリードタイムを短縮できるなどのメリットや円高対策などで、海外生産比率が高くなることは合理的なことです。

ポイントは、海外生産と国内生産比率の取り方です。
扱い商品の価格競争力、競合商品に対する優位性の確保なども含めて、どの品目を海外で作るか、国内に残すか判断されます。

一般的に価格勝負の商品生産を国内で行うことは難しく、円高対策を含めて海外生産を行う自然な流れです。
国内生産品は、海外でも競争に打ち勝つ商品や新規事業品目中心になります。

そのためには、国内で世界市場を見据えた新規事業を積極的に起こし、事業活動を活発化させることが必要です。
対象市場は、省エネを含めた環境関連(エネルギー、水など)、医療、バイオなどです。

国内企業は、特に大震災後上記市場に向けて積極的な経営戦略を立てて、M&Aや合併、連携、新規投資などの経営手段を使い始めています。

政府は、これらの企業の後押しをしっかりと行う必要があります。規制緩和、投資減税、事業税の減税、TPPの推進などです。

少なくとも国内企業が海外企業と同じ土俵で戦えることが出来るための事業環境づくりが必要です。
このことが、国内に生産拠点を維持する企業を増やし、国内経済の発展と雇用の確保を図れる唯一の方法だと考えます。

私の中小製造業者の輸出支援もそこにあります。言わば、アップル化をどう防ぐかです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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