家造りの相談に来られる方の多くが「木造は構造的に弱そうで心配」というふうに言われます。
構造とは建物の形をなす骨格で、木造以外には鉄筋コンクリート造と鉄骨造が主流としてあります。
「耐震性の事を考えたら鉄筋コンクリート造の方が良いのではないか?」
そのように考える人も多いです。
実際、東日本大震災で襲った津波は木造住宅の多くが流されました。そんな中、残っていたのは鉄筋コンクリート造です。そういう事もあり今鉄筋コンクリート造に注目も集まっているようです。
個人的な、見解ですが津波などの2時災害が起こる可能性のあるエリアなどの場合は鉄筋コンクリート造も有効に働く可能性は十分ありますが、通常の地震などにおける耐震性という意味だけで言うと、木造でも遜色ありません。
どうして木造の耐震性が弱いと思われているかというと、1つにはシロアリの被害のことが挙げられます。阪神大震災のとき、木造住宅の倒壊が多く、その中でも在来軸組工法(柱と梁で持たせた日本従来の木造の考え方)の家で、柱などがシロアリなどにやられていてもろくなっているものの被害が大きかったようです。逆に木造でも2×4などの壁工法のものは、ほとんど倒壊しなかったという記録もありますから、この辺りの事実は押さえておくといいでしょう。
木造は構造の検討方法が曖昧なように思われがちですが、例えば3階建ての木造になるとビルやオフィスと同じ構造計算で検討します。2階建てまでだと壁量計算という簡易的な構造検討ですませているイメージがあるかも知れませんが、こちらも基本的にはより安全に検討して構造検討出来ますし、構造的に不安な場合は「許容応力度計算で検討をお願いします」と伝えれば、費用的に20〜30万円くらいかかりますが、より安心出来るでしょう。
木造の耐震性は低いのか?に対して言える事は構造的な耐震性は他の工法と遜色ないですが「構造材が湿気てしまう腐ってしまう」「そこにシロアリが集まってやられてしまう」という部分に弱点もあります。しかし、現在の耐久性の高い木造住宅造りなどにおいてはこれらにやられない工夫なども施されています。気になる場合は、同対処しているか?を実際の家造りの際に専門家に尋ねてみると良いでしょう。
このコラムの執筆専門家
- 八納 啓造
- (建築家)
- 株式会社G proportion アーキテクツ 代表取締役
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