日経記事;三井物産と米ダウ,ブラジルで合弁 植物樹脂工場 考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;三井物産と米ダウ,ブラジルで合弁 植物樹脂工場 考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月20日付の日経新聞に、『植物樹脂 最大規模の工場 三井物産と米ダウ、ブラジルで合弁 サトウキビからプラスチック 1600億円投資、15年量産』 のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

 
『三井物産は米化学大手ダウ・ケミカルと合弁で、サトウキビからプラスチックを作り出す世界最大規模の植物樹脂コンビナートをブラジルに建設する。

石油化学樹脂と同等かそれ以下のコストで量産し、環境負荷の低い素材として世界で売り込む。
総事業費は20億ドル(1600億円)を超える見通しで、2015年に年35万トンの量産に入る。

原油価格の高騰や消費者の環境意識の高まりで石化樹脂から植物樹脂へのシフトが進むと見て大型投資に踏み切る。

ブラジルで原料サトウキビの農園運営から、汎用樹脂のバイオポリエチレンやその他の植物化学品を一貫で合弁生産するコンビナートにする計画。

ダウが全額出資している現地の事業会社「SVAA」に三井物産が2億ドル(約160億円)出資し、折半出資の合弁会社に切り替える。19日に両社が合意に達した。

ブラジルのミナスジェライス州に13年以降、年産能力24万キロワットのバイオエタノール工場を複数、建設する。

15年にはこのエタノールを原料に、年産能力35万トンの植物樹脂工場を建設する。植物樹脂工場としては世界最大規模となる。

化学品量産の総事業費は20億ドルを超える見通しで、三井物産も比率に応じて追加負担する予定。

植物樹脂の生産コストは石化樹脂の1.5~2倍とされるが、ダウは反応技術の改良と大量生産でコストを下げ、石化樹脂と同等かそれ以下のコストで生産するメドをつけた。
強度や耐久性も一般的な石化樹脂とほぼ同等という。

植物樹脂は生産過程で二酸化炭素を排出しない環境素材として食品容器や自動車、家電分野で利用が広がりつつある。

三井物産はブラジルで量産する植物樹脂を南米や北米に生産拠点を持つ日本の自動車、電機メーカーなどにも供給する考えだ。

調査会社によると現在年30万トンの世界の植物樹脂市場は20年には300万トンに増える見通し。量産で価格が下がれば、普及に弾みがつきそうだ。

サトウキビ由来の植物樹脂はブラジルの石化大手ブラスケムなどが生産しているが、原料のサトウキビから一貫生産する大規模コンビナートの建設は初めて。』


植物樹脂は、サトウキビなどの植物のような再生可能資源から作るプラスチックです。
サトウキビやトウモロコシを分解して糖を取りだして化学合成で樹脂に加工します。現在は、稲わらや木くずなどの非食料原料から生産する技術も開発中です。

以前、トウモロコシを石油に代わる燃料に使おうとしてブラジルで計画・実行されました。しかし、世界レベルで増える人口を養うべき食料であるトウモロコシが代替エネルギーに使われるとの批判が起こりました。

トウモロコシは、食料だけでなく家畜飼料としても貴重なものです。トウモロコシの使われ方の優先順位はまず食料・飼料用途に限定すべきです。

今回、サトウキビが使われます。砂糖の主原料ですが、世界各地の熱帯、亜熱帯地域で広く栽培されています。FAO Production Yearbook 2002によると、2002年時点の世界生産量は12億9000万トンという膨大な量になります(小麦は同年5億7000万トン)。二大生産地はブラジルとインドです。

サトウキビは、砂糖以外には、工業用エタノールの材料として使われています。
今回、この燃料用途に加えて、植物樹脂用途が加わりました。

石化製品を使わないで、再生可能な資源から樹脂を作ることは環境対策の観点から今後その生産量が増えていくとみています。

日本の場合、国土が狭いのでブラジルのような広い地域でサトウキビを栽培することは出来ません。そこで今回のようにダウ・ケミカルのような海外企業と連携して広い国土を持つ国で植物樹脂や工業用エタノールなどを作るやり方を増やす必要があります。

この場合、サトウキビを共同で栽培する国・地域は、政治的・社会的なリスクが低いところにすることが大事です。
ブラジルやインド、タイやインドネシアなどのASEAN諸国などが有望です。

原油価格は新興国での急激な需要増などから、今後とも高騰するとみられています。植物樹脂の価格が石化樹脂と同じくらいになれば、車や家電製品、電気・電子製品などで幅広く使われることになります。

今回の三井物産の事業展開は、環境対策と脱石化製品を図るという観点から誠に正しい戦略で今後の進展が楽しみです。

また、三菱化学はタイで植物樹脂の工場建設を検討しているとのことです。植物樹脂の開発・製造技術自体にも積極的に投資して、最先端の技術開発力を持つ必要があります。

石油資源は有限で高く、政治的リスクも高くなっています。
サトウキビに加えて稲わらや木くずなどの非食料の原料も積極的に活用できるようになれば、石化樹脂に代わるものとしての植物樹脂の需要は非常に大きくなることが予想されます。

日本企業は、海外企業と連携してこの植物樹脂事業の中核企業として活躍することを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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