合併で私が経験した事(1)−もっとうまくできたはず
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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集
現場の事例・私の体験
2007-10-01 00:00
確かに会社の規模は大きくなり、企業データの見かけは良くなりました。経営的なメリットはたくさんあったと思います。しかし、社員の視点で見ると現場の帰属意識は低下し、たくさんの人材が流出していき、良い部分と捉えていた社風も制度も行事も、いつの間にか消えていきました。業務内容や待遇も、劇的に改善するわけではありません。大切なものを沢山失ったのに、それほど多くのものを得られたとは思えず、人事の仕事にたずさわる者としては、とても寂しい思いでした。
企業経営の中でM&Aという選択肢を取らなければならない場面は、どうしてもあるのだと思います。ただ、その時に一番負担がかかるのは、実は現場でがんばっている社員なのに、そこへの配慮が希薄なことがとても多いように感じます。
私が統合作業にかかわる中で、“もっと社員を前向きな気持ちにさせながら進めることが出来るはずなのに”と思うことがたくさんありました。合併や経営統合によって発展したとされる会社でも、内部で起こっていることやマイナス情報は、あまり表に出てきません。しかし、本当の意味で合併が成功したというためには、実際に働いている社員たちが心から成功だったと思えることが、一番重要ではないかという気がします。
これから数回に分けて合併、M&Aの中で実際に起こったこと、経験したことなどを、自戒も含めて書いていこうと思います。合併でなくとも、内部的な組織統合や新組織の立ち上げでも同じようなことはあると思いますので、是非お付き合いいただければと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
03-4590-2921
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