(続き)・・さてそのように近代化されつつも健康上の問題点を抱えてしまった食環境の中で、我々は自分自身と家族、仲間の健康を守るために、いったい何をどのように食べていけばよいのでしょうか。加工食品を含む現代の食品は確かに手軽で便利、価格も全体として手頃です。その便利さをほどほどに享受しつつ、伝統的な食材も活用して少しでも健康的な生活を送る必要があるといえますが、具体的には何を食べ、また食べるべきではないか、そしてどのように調理すべきでしょうか。
基本的には、新鮮な「野菜」や「果物」をたっぷりと食べるというのが最も重要です。旬の野菜や果物には各種ビタミンやミネラル、酵素、ファイトケミカル(植物性生理活性物質)、食物繊維がたくさん含まれているほか、アミノ酸や脂肪酸も適度に入っています。現実に野菜や果物を毎日たっぷりと食べている人の健康状態は概ね良好です。野菜には大きく分けてホウレンソウやキャベツなどの葉物野菜と、ニンジンやダイコンなどの根菜類とがありますが、これらをバランスよく食べることが大切です。
但し野菜や果物を食べる際には「農薬」の存在に注意しなければなりません。理想的には無農薬や有機栽培など、人工肥料や農薬を極力使わずに育てた野菜を食べることが望まれます。しかし現実には、手近なスーパーなどでこれらを常時入手するのは困難です。最も確実なのは、良心的に栽培している農家や農業組合などと仲良くなり、安全で安心できる野菜や果物を分けてもらうことですが、これらの作物を会員向けに宅配で届けている業者から取り寄せるのも一つの方法です。
野菜や果物と並んで、海藻類や豆類、キノコ類、イモ類などもたくさん食べると良いでしょう。これらの食材は昔から日本人が食べてきたものばかりで、いろいろな健康上の利点があります。豆類に関していえば、大豆を加工した味噌や豆腐、納豆、豆乳などは日本の伝統的な加工食品です。大豆はその性質上、生では食べられないので、このように様々な加工技術が発達してきました。味噌や納豆は、麹や納豆菌という微生物の力を借りた素晴らしい発酵食品です。
ご飯やパン、麺類といった主食に関しては、どのようにすれば良いのでしょうか。米に関しては「玄米」を食べるのが一番です。白米と違って玄米には、デンプンを代謝するビタミンB1をはじめ、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維などの栄養素がたくさん含まれています。また白米よりも消化、吸収が緩やかなために食べ過ぎを防止できるほか、血糖値の急上昇の心配がありません。これにアワ、ヒエ、キビ、押し麦など雑穀、あるいは黒米や赤米を入れると最高です。
玄米に関してはよく「美味しく炊けない」という悩みを聞きますが、炊き方には一定の工夫が必要です。白米と同様に炊くとどうしても硬く炊き上がるので、水を1~2割多めに入れて、半日から1日ほど水に浸けておきましょう。そして炊く時間も1~2割ほど多く取ります。土鍋で22~25分ほど炊くのがベストですが、通常の炊飯器でも構いません。慣れないうちは白米に玄米を混ぜて炊くか、3分から5分の分づき米にすると、食べやすいようです・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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