JIA神奈川の代表としての活動方針 - コラム - 専門家プロファイル

青木 恵美子
AAプランニング 代表取締役
神奈川県
建築家
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JIA神奈川の代表としての活動方針

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お知らせ

皆さま こんにちは!

大変ご無沙汰しております。4月に社団法人日本建築家協会関東甲信越支部JIA神奈川の代表に就任しましてから、いろいろなお役に追われ日々過ごしております。

今更ではありますが、就任演説の全貌を記載致します。

私の一番の活動方針は「“らしさ”のあるまち、“らしさ”のある暮らし」

“らしさ”を研究はじめましたのは、15年ほど前に国際都市横浜について研究論文を書いた時からです。お読み頂けましたら幸いです。


「 Think Globally  Act Locally @神奈川 」


皆さま こんにちは! JIA神奈川第8代代表を仰せつかりました青木恵美子です。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず始めに、東日本大震災で被災された皆さまに 心よりお見舞い申し上げます。

 日本の歴史上最大の自然災害マグニチュード9.0という未曾有の東日本大震災から1ヶ月半が経過しました。海と山の自然豊かな風光明媚な東北の町が津波にのまれていく映像に自然の力の恐怖と同時に、町が壊滅することに心が締め付けられる思いがいたしました。さらにその後、原子力発電の爆発で想定外の2次災害になり天災が人災になり被害が拡大しております。

戦後、日本は誰もが目を見張る発展を遂げ、経済的にも世界に誇る程の国となりましたが、経済が支配する経済至上主義の功罪は3年前のリーマンショックで世界的な教訓となりました。

今回の震災は人類にとってまた一つの教訓をもたらしているのではないでしょうか。原子力という人類が作り出した最大の科学技術の産物が、地震という自然の力によって破壊されました。

言うなれば、科学技術の力は自然の力に脆くも崩れたといっても良いのではないかと思います。

人類がより豊かな生活の為に経済と科学の発展、技術の向上を目指してきたことは、根幹から考えさせられるできごとです。この2つの世界的できごと、リーマンショックと3.11の東日本大震災後の災害は全く関係のないことですが、私には人類への警鐘に思えてなりません。

豊かな暮らしの創造のために経済の発展と科学技術の向上を目標として、早くスピーディーに、便利なことを快適として突き進んできたのですが、その目標がいつしか目的になってしまったのではないでしょうか? 豊かな暮らし、安心安全で美しく住みやすいまちづくりのために「建築の価値観」を再確認するべきだと思います。


 豊かさとは何か? 便利とは? 本当の意味の快適とは何でしょうか?

 安心安全で、美しく住みやすいまちとは?


私たち建築家は何を目指し 今 何をするべきなのでしょうか?


戦後高度成長期を支えた経済至上主義のフロー型社会からストック型社会へ変化しはじめた今、スクラップ&ビルド脱却からの社会構造の変化は、私たち市民一人一人の手に委ねられています。建築に関わる市民への伝達は、社会的資産である建築文化を創造するJIAの会員が地域に根ざすコミュニティーアーキテクトとして担う役割は大きいと思います。私たちは経済や科学技術優先でなく、市民が愛するアイデンティティーある神奈川の‘まち’の伝統を守りつつ、市民参加の‘まち’を創造しなければなりません。同時に、今後のストック型社会の構築には「再生」を中心に古くて新しい建築生産システム構築を考えなければなりません。そしてその大きな課題を担うのは、私たち建築に関わる人だけでなく、すべての人が主役であることを忘れてはなりません。人が主役の暮らしを創造するために、暮らしのデザイン教育が必要であると思います。


そこで2011年度JIA神奈川の活動方針として3つの活動方針をご提案致します。

1、地域に根ざす愛する‘まち’を考えること=“らしさ”のある‘まち’づくり

2、ストック型社会構築を考えること=復興を視野に再生保全への新しい建築生産システム

3、豊かな暮らしを考える人を育てること=自分の暮らし考える住教育の普及

ここに掲げる活動方針は、1年や2年で達成する目的ではなく長い時間を必要とすることです。

しかし、その方向に向かっていくことが大切と考えます。そのために、より多くのJIA神奈川の会員が参加しやすいように、3つの活動方針を実現するために3つの研究会を新たに設置致します。


1、“らしさ”のある まちづくり→まちづくり保存研究会

横浜らしいまち、神奈川らしいまち。。。

神奈川には社会資産である街、建物が数多く存在します。この周辺の明治以降の近代横浜は勿論、12世紀の町—鎌倉、基地のある横須賀、観光名所である箱根、その他いろんな町があります。

東京なのか、横浜なのか、はたまたニューヨークなのかわからないような街でなく、“らしさ”のある‘まち’。それは、経済や科学技術向上を目的として優先するのでなく、その地域らしい‘まち’です。地域の伝統を守り、市民参加の‘まち’を創造しなければなりません。

それには、JIAの会員が地域に根ざすコミュニティーアーキテクトとして担う役割は大きいです。

地域の建物の歴史やまちのありかたを見直すことで、新たな未来の‘そのまちらしさ’を考える。

今まであるまちづくりWGが中心となり、支部の保存委員会と連携を取りながら神奈川の街づくりを考えるコミュニティーアーキテクトを目指しましょう!


2、復興を視野にストック型社会構築への古くて新しい建築生産システム→再生保全研究会

ストック型社会へ変化しはじめた今、私たち日本人はスクラップ&ビルドから脱却し、持続可能な豊かな社会を目指し、価値ある社会資産をストックする社会構造に変化しなければなりません。

今後のストック型社会の構築には、同時にこの3.11を教訓として科学技術に頼るだけでなく、「復興」を視野にいれ、「自然との共生」であった日本の文化を見直し、「再生」を中心にする、

古くて新しい建築生産システム構築を一緒に考えたいと思います。

新しい建築生産システムと難しい表現になっておりますが、皆さんと一緒に「建築の価値観」を考えて構築していきたいと思います。


3、豊かな暮らしを考える人を育てる住教育の普及→住育問題研究会

どんなにすてきな建物やまちが創られても、そこでも暮らしが表現できていなければそれはただのハコに過ぎません。それは人が主役であることを忘れてはいけません。

人が中心の暮らしを創造するために暮らしのデザイン教育=住教育が大切であると考えます。

JIAは今まで建築を目指す大学生を中心に建築教育活動と小学生向けに子ども空間ワークを推進してきました。中高生向けの住教育は、教育現場は勿論他にもあまりありません。自我の目覚める中高生が「自分の暮らし」を通して建築、社会を考えることが大切です。

今後文部科学省に提言できるような住教育をJIAとして考えていきたいと思います。

(後 省略)