- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:財務・資金調達
金融庁は7月14日、募集していたパブリックコメントを反映した形で、
金融機関向けの監督指針や金融検査マニュアル等を改訂した。
http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20110714-2.html
今回の改訂により、経営に実質的に関与していない者を会社や事業主の
連帯保証人とすることを原則禁止とし、金融機関からの要求により
経営者以外の連帯保証人をつけることが許されないことになった。
「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」2-10-1は、
「一般に、多くの中小企業(故人事業主を含む。)においては、家計と経営が
未分離であることや、財務諸表の信頼性が必ずしも十分でないなどの指摘が
あることから、こうした中小企業に対する融資においては、企業の信用補完や
経営に対する規律付けの観点から、経営者に対する個人保証を求める場合がある。
他方、経営者以外の第三者の個人保証については、副次的な信用補完や
経営者のモラル確保のための機能がある一方、直接的な経営責任がない
第三者に債務者と同等の保証債務を負わせることが適当なのかという指摘がある。
また、保証履行時における保証人に対する対応如何によっては、経営者
としての再起を図るチャンスを失わせたり、社会生活を営む基盤すら
失わせるという問題を生じさせているのではないかとの指摘があることを
鑑み、金融機関には、保証履行時において、保証人の資産・収入を踏まえた
きめ細かな対応が求められる。」としており、2-10-2(1)では、
「個人連帯保証契約については、経営者以外の第三者の個人連帯保証を
求めないことを原則とする方針を定めているか。また、方針を定める際や
例外的に経営者以外の第三者との間で個人連帯保証契約を締結する際には、
必要に応じ、「信用保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止について」
における考え方を踏まえているか。特に、経営者以外の第三者が、経営に
実質的に関与していないにもかかわらず、例外的に個人連帯保証契約を
締結する場合には、当該契約が契約者本人による自発的な意思に基づく
申し出によるものであって、金融機関から要求されたものではないことが
確保されているか。」と規定された通りです。
経営者の失敗による自己責任で破産せざるを得なくなるのは仕方がない
かもしれないが、その配偶者や友人が連帯保証により連鎖倒産・破産に
追い込まれることについては、常々疑問に感じていました。
今回の改訂で、保証人による悲劇がなくなることを期待したいですね。
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