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日経記事;トヨタ車体2社完全子会社円高受け生産再編に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月14日付の日経新聞に、『トヨタ、車体2社を完全子会社に 円高受け生産再編』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『トヨタ自動車は13日、東証1部に上場する子会社の車体メーカー、トヨタ車体と関東自動車工業を2012年1月に株式交換で完全子会社化すると発表した。

円高が定着する中で国内生産300万台体制を維持するため、生産受委託にとどまっていた関係を深める。グループ一体で経営効率化に取り組み、台頭する韓国メーカーなどとの世界規模の競争に臨む。

豊田章男社長は名古屋市内での記者会見で、足元の円高について「日本のものづくりを考える上で理屈上、成り立たない水準」と述べた。

原子力発電所の再稼働を巡る混乱で電力不足や電力コスト上昇などの懸念も広がっており、国内製造業は得意としてきた地道なコスト削減などで乗り切れなくなりつつある。

トヨタ車体は愛知、三重両県でミニバンや商用車を、関東自動車は岩手県などで小型車を生産。
トヨタはそれぞれ56.2%、50.1%を出資している。株式交換比率はトヨタ車体株1株に対してトヨタ株0.45株、関東自動車株1株にトヨタ株0.25株。
トヨタは保有する自社株を使うが、13日の株価で計算すると1000億円強で買収する形となる。両社は12月末に上場廃止となる予定。

続いて関東自動車については、宮城県で小型車を生産するセントラル自動車、同県に工場を持つ部品メーカーのトヨタ自動車東北と12年7月をめどに合併する。

トヨタは一部車種について、企画・開発を本体が、車体生産を車体子会社が手掛ける分業体制を敷く。
しかし08年のリーマン・ショックで国内・海外とも生産台数が減少。関東自動車が2期連続の最終赤字に陥るなど業績が悪化し、グループ再編が急務になっていた。

今回の再編で「各社が得意とするモデルを一貫生産して競争力を強化し、中部、九州、東北の3極体制を築く」(豊田社長)。
本社周辺の中部地区を新技術や新工法などの開発拠点、九州を「レクサス」ブランドなど高級車の生産拠点、東北を小型車と部品の生産拠点と位置付け、役割分担をより明確にする。
トヨタ本体の主導で企画・開発から生産まで車種ごとに一貫で手掛ける体制を敷き、部品の共通化などでコスト競争力を高める。

トヨタは国内生産の最低ラインと位置付ける年間300万台の生産規模について「石にかじりついても死守する」(新美篤志副社長)と強調する。ただ、今回の再編だけでコスト競争力を維持できるかどうかは不透明。本体の工場を含めた生産車種の見直しなども検討課題となりそうだ。』


今朝時点での対USドルの為替レートは、US$1/79円。
政府は現時点で具体的な円高対策について表明はをしていません。

円高が定着している中で、各製造業者の輸出採算が悪化していきます。
各企業は、一定の製造コスト削減を地道に行って採算の悪化を防ごうとしていますが、現時点の為替レートは通常のやり方では利益を出すことが難しくなっている水準です。

このような経済環境下で、国内製造業の最大手であるトヨタがコスト競争力を改善するために動きだしました。
グループ企業の子会社を完全子会社して、より低コストで開発、生産をしていく体制を確保する目的とのことです。

今回、豊田社長は記者会見で国内雇用を守り、採算性を確保するための生産水準である国内生産300万台を確保すると言明しています。

豊田社長は記者会見で以下のように述べています。
「トヨタのグローバル生産台数を700万台と考えると、すでに400万台は海外で生産している。自動車産業は裾野の広い産業。雇用も確保している。日本を考えると貿易立国で外貨を誰かが稼ぐべきだ。食料、資源を、稼いだ外貨をベースに買うことが日本の基本的な生活パターン。それを守るには、この300万台というのはぎりぎりの線。何度も言うが、理屈は超えている。歯を食いしばって頑張っている。外貨を稼ぐために頑張っている自動車産業のために国の施策などバックアップを期待したい」


国内トップ企業としての自負と決意表明だと受け止めています。
言うまでもなく、自動車は国内の基幹産業であり、この業界の衰退は国内経済に大きな影響を与えます。

政・官は、豊田社長の決意表明を真摯に受け止め、国内にとどまる企業の経営支援をしっかりと行う必要があります。
各種規制緩和、事業税の減額、電気の安定供給と電力コストの低減化、為替レートの一定水準の維持努力などです。

震災対策、原発事故対応は最重要課題です。
しかしこれらの課題解決にのみにエネルギーを集中していると、既存産業の衰退を招く可能性がありますので、円高対策や電力の安定供給とコスト低減化などの施策も同じように重要です。

例えば、原発の扱いについて色々な施策が出されようとしていますが、現時点で各施策に伴う発生コストについては説明がありません。

政府が行おうとしている原発施策は、必ず必要コストを明確化して現在よりどれだけ増えるのか、維持できるのかなどの客観的なデータに基づいて議論すべきです。

国内輸出産業のコスト競争力を上げる支援策が必要です。

自動車産業は、今後ハイブリッド車や電気自動車が主流になります。現時点では国内企業は技術的優位性を保っていますが、極論すると、これらの車はバッテリーさえ調達できれば、パソコンと同様に水平分業で製造できる製品です。

今後、アジアメーカーが更なる力をつけてくると、国内基幹産業の足元をすくわれる可能性があります。
政・官・民一体で輸出産業を保護・強化する取り組みが必要です。

安全安心と経済力の維持強化は客観的な情報・データに基づいて、両者同時に考え、優先順位をつけて実行する必要があります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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