中国におけるソフトウェア/ビジネス関連発明の保護適格性(1)(第3回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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中国におけるソフトウェア/ビジネス関連発明の保護適格性(1)(第3回)

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中国特許判例・審決紹介:中国におけるソフトウェア/ビジネス関連発明の保護適格性(1)(第3回)

~コンピュータ・ソフトウェア発明の保護適格性と審査~

河野特許事務所 2011年8月12日 執筆者:弁理士 河野 英仁

3.復審委員会での争点

争点:知的活動の法則及び方法が請求項の一部に含まれている場合、保護適格性を有するか否か?

 請求項1には何らハードウェアについての記載がなく、特に請求項中の「アクションに関連する第1XMLノードを識別する第1パラメータフィールドを設定」等は知的活動の法則および方法と考えられる。このような場合に請求項1に係る発明が保護適格性を有するか否かが問題となった。

 

4.復審委員会の判断

争点:知的活動の法則および方法を請求項の一部に含むとしても、これと共に技術的特徴をも含む場合、全体としては知的活動の法則および方法とはいえず、保護適格性を否定してはならない。

 復審委員会は、審査官の拒絶査定を覆し、請求項1及び20に係る発明は保護適格性を有すると判断した。

 

(1)復審時の請求項

 請求人は,復審請求書と共に補正書を提出し請求項の補正を行った。補正において、独立請求項1及び20を補正し,一つのメッセージが“複数のタイプのアクションに用いる”旨明確化した。なお、審査官は前置審査[1]においても請求項1及び20の保護適格性を否定している。

 

 審判請求時の請求項1は以下のとおりである。補正箇所には下線を引いた。

 

“1.第1プログラムから第2プログラムへメッセージを発行する方法において、

XMLドキュメントに対して行われたアクションに関連するイベントの発生を確定し、

複数タイプのアクションに対し、アクションのタイプに関わらず、単一のメッセージを新規作成し、

 該新規作成するステップは以下を含む:

 XMLドキュメントに対して行われたアクションに関連するイベントの発生を示す識別子フィールドを設定し、

 前記アクションに関連する第1XMLノードを識別する第1パラメータフィールドを設定し、

 前記アクションに関連する第2XMLノードを識別する第2パラメータフィールドを設定し、

 複数のアクションタイプの中から選択された一つである発生アクションのタイプを識別する第3パラメータフィールドを設定し、

前記第1プログラムから第2プログラムへ前記単一のメッセージを発行する方法。

 

(2)保護適格性の判断基準

 審査指南第2部分第1章第4.2節は以下のとおり規定している。

 知的活動の法則と方法に関わる特許出願で保護を請求する主題が、特許権付与の客体に該当するかどうかを判断する時、以下に挙げられる原則に従うものとする。

 

(i)ある請求項が、知的活動の関係法則と方法だけに関わるものならば、特許権を付与してはならない。

 ある請求項が、その主題名称を除き、それを限定する全ての内容が知的活動の法則と方法である場合に、当該請求項は実質的に、知的活動の法則と方法だけに関わるものとなり、特許権が付与されてはならない。

 

[例] 専利出願の審査方法、 組織、生産、商業の実施及び経済などにおける管理方法と制度、 交通運転規則、時刻表、試合の規則、 演繹・推理及び計画の方法、 図書の分類規則、辞書の編集方法、情報検索方法、専利分類法、 カレンダーの編集規則と方法、 器具と設備の操作説明、 各種言語の文法、漢字のコーディング方法、 コンピューター言語及び計算規則 速算法或いは語呂 数学理論及び換算方法 心理測定方法 教授、授業、トレーニングと動物訓練方法、 各種のゲーム、娯楽の規則と方法 統計、会計及び記帳方法 楽譜、料理レシピ、棋譜、 体の鍛錬方法 疾病全面検査方法及び人口統計法 情報の記述方法、コンピュータープログラムそのもの

 

(ii)前述(i)で述べた状況を除き、もし、ある請求項を限定する全ての内容において、知的活動の法則と方法の内容を含むとともに技術的特徴も含むものであれば、当該請求項が全体としては、知的活動の法則と方法ではないので、専利法第25条に基づいた上で、その特許権を取得する可能性を排除してはならない

 

 審査指南第2部分第9章第2節は以下のとおり規定している。

 もし、コンピュータプログラムに係わる発明専利出願の解決方案において、技術的課題を解決することがコンピュータプログラムを実行する目的であって、コンピュータでコンピュータプログラムを実行して、コンピュータ外部又は内部の対象を制御、又は処理する際に、自然法則に準拠した技術的手段が反映されており、それによって自然法則に合致した技術的効果を獲得する場合には、このような解決方案は、専利法2条2項でいう技術方案に該当し、専利保護の客体に該当する。


[1] 中国においても審査官による前置審査が行われる。ただし、中国では復審請求時に補正をしない場合でも審査官による前置審査が行われる点で、補正を行わない場合前置審査へ移行しない日本国特許法と相違する。前置審査は実施細則第62条に規定されている。

実施細則第62条 特許復審委員会は受理した復審請求書を国務院特許行政部門の元審査部門に移送して審査させなければならない。元審査部門が復審請求人の請求に従い、元決定の取消しに同意する場合、復審委員会はこれに基づいて審判決定を行い、復審請求人に通知しなければならない。

(第4回へ続く)

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