- 上田善隆
- オフィスゼンリュウ 代表
- 京都府
- 広告プランナー
対象:広告代理・制作
- 山藤 惠三
- (クリエイティブディレクター)
- 山藤 惠三
- (クリエイティブディレクター)
成城、神戸、横浜店が成功すると他の小売店から現代仏壇の引き合いが出始め、特約店制度を作り、それに加盟した店にだけ現代仏壇を卸すことにしました。また小田急や京王百貨店からも出店の要請がありました。
現代仏壇のロゴの扱い方、看板の出し方、広告表現のルール等を外向きには大まかに決めました。本来ならコーポレートアイデンティティというのは、厳しくルールを決めるのが筋で、特に外資系の企業は数十ページに渡るルールブックを作っているところがありますが、現代仏壇の場合は緩やかに取り決めました。
厳しくしなかったのには理由があります。仏壇業界というのは、他の業界と違い古い伝統を引きずり、広告業界とのギャップがあまりにも激しかったからです。これを厳しくすると拒否反応が起こり、勝手に特約店が一人走りする心配がありました。だから社内の広報部で最初の1年間は無料で主な広告物のデザインを起こすことにしました。販促の核になる折り込み広告をこちらで先に作って、他のデザインはだめだと言ってしまえば、他のアプリケーション等はだいたいそれに倣って相談されます。もちろん厳しいデザインルールは、自分と社内スタッフの頭の中にあります。特約店になれば、ただで広告のデザインをしてくれるというなら、どんどん発注してくれてやがてルールが勝手にできていきます。そしてこんなデザインを作ったのだけれど、いいだろうかと逆に聞かれるようになりました。
当時は仏壇店の折り込み広告ばかり作っていた記憶があります。折り込み広告といってもスーパーやマンション業界とは違い、年2回のお彼岸とオープン広告だけなのでそれほど大変ではありません。しかもメインに会長や社長の家で撮ったイメージ写真を大きく扱い、チラシの裏面には商品をラインナップさせ、すべての店で共通のデザインにするのだからそんなにハードではありません。こうして現代仏壇のデザインアイデンティティーが出来上がりました。次の年からはチラシの表現を数パターン作り、特約店にデザイン見本を送るようにしました。
売れるチラシには文句がつけられません。しかも無料デザインなのだから。あっと驚く新鮮なデザインであること、これ、仏壇なの?という衝撃。商品が珍しくて新鮮、人々のニーズにぴったりはまったわけです。商品と広告の表現がお互いに呼応し意気が合ったわけですね。
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