- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
7月1日に配信したメールマガジンを転載します。
2年ほど前から注目、というか注視していた企業に法の網が及ぶことになり
ました。
毎日.jp 廃棄物処理法違反:許可無く不用品収集、容疑で社長ら4人逮捕
http://mainichi.jp/area/osaka/news/20110630ddlk27040410000c.html
(ここから報道内容を抜粋)
『許可を受けずに一般家庭から不用品を収集し運搬したとして、府警生活環境
課などは29日、不用品回収業者「K・Hグループ」社長ら4人を廃棄物処理
法違反容疑で逮捕した。
容疑者は「無許可で収集運搬をしたが、リサイクルしているしニーズが
あるので悪いことはしていない」と話しているという。』
(抜粋終わり)
↑近年まれにみる、大傑作な言い訳です(笑)。
無許可営業が「懲役5年または1000万円以下の罰金」という、廃棄物処
理法上もっとも重い罰則で処罰されることをご存じなかったのでしょうか?
会社としては、産業廃棄物収集運搬業の許可をお持ちだったのですが。
メルマガの読者のあなたは、この発言のおかしさに気づいていらっしゃると
思います。
ただし、この破たんした論理には強力な魔力があるので注意が必要です。
具体的には、「目的が手段を正当化する」という誤った認識のことです。
社長が逮捕された企業グループが本当にリサイクルをしたいがために高額請
求をしていたのかは知りませんが、「正しい目的を実現するための行動なら、
誰も批判はしないだろう」という間違った認識を、誰しも一度は持つものです。
「良いことをやってるんだから、少々違法でも目をつぶれよ~」とよく言われ
ますが、今回の報道で、そのような意識の方の考え方が少しは変わってくれる
と良いのですが・・・
不用品回収業者に関する被害報道に接し、いつも疑問に思っていたことがあ
ります。
それは、
「回収業者に依頼するしか手段はないのか?」と
「回収業者に頼むのが一番得なのか?」という2点です。
今回の毎日新聞の報道では、具体的な依頼数量や被害地域が明らかにされて
いましたので、上記の疑問が一挙に解決しました。
答えから先に書くと、「市町村に処理を頼むのが一番安全で、安い」という
ことが明らかになりました。
「以上終わり。モグリ業者に発注する意味なし!」で終わりでもよいのです
が、具体的な証拠や数字などを示して、その根拠を説明します。
(ここから報道内容を抜粋)
『容疑者の逮捕容疑は、許可を受けずに、昨年1月~今年4月、寝屋川市など
の9カ所の一般家庭から計12回、不用となったたんすや布団など約134立
方メートルを計約410万円で集め、門真市と吹田市の事業所に運搬した、と
している。』
(抜粋終わり)
大阪府警が1年以上かけて内偵を繰り返し、証拠固めをしっかりしてくれた
お蔭ですが、具体的な数値が明らかになっています。
12回の回収で、134立方メートル、410万円ということは、
平均すると、1回あたりの回収で、11立方メートル、34万円という恐る
べき高額請求です。
リサイクルするための経費としては高すぎると言わざるを得ません。
参考までに寝屋川市役所のHPを拝見すると、
「ごみの分別と出し方」
http://www.city.neyagawa.osaka.jp/index/soshiki/clean-g/t-1342.html
寝屋川市にたんすなどを回収に来てもらう場合、1kgあたりたったの27
円!
仮に、たんすの重量を50kgとすると、自宅の近所まで回収に来てもらっ
た場合でも、@27×50kg=1,350円!!
もし自力で清掃工場に持っていけるのなら、引き取り単価が半額となり、
たったの650円。
ウン十万円を払って怖い業者に脅されるよりも、安全安心な市役所に依頼し
た方が、100分の1以下の料金負担で済むのです。
行政当局もわかりやすく周知はしてくれているのですが、
「ゴミの収集日のお知らせ」などに、「無許可業者に依頼しないでください」
という注意書きをするなどして、市民が間違って依頼をしないようもっと啓発
に努める必要があるでしょう。
微力ながら、私もHPやブログなどで、このような啓発をしていこうと考え
ております。