米国特許判例紹介:機械分野における明細書の記述要件(第1回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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米国特許判例紹介:機械分野における明細書の記述要件(第1回)

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米国特許判例紹介:機械分野における明細書の記述要件(第1回)

~課題に対する解決手段が複数存在する場合の取り扱い~

河野特許事務所 2011年7月19日 執筆者:弁理士  河野 英仁

   Crown Packaging Technology, Inc., et al.,

                       Plaintiffs Appellants,

                v.

    Ball Metal Beverage Container Corp.,

                       Defendant- Appellee.

 

1.概要

 従来技術において課題が存在する場合、当該課題を解決するための手段をクレームに記載すると共に、クレームに記載した手段をサポートする内容を明細書に明確に記載する必要がある。

 本事件では、従来技術の課題を解決するための第1手段及び第2手段の2つが存在し、双方の手段がクレームに記載されていた。しかしながら第2手段をサポートするための十分な記載が明細書に記載されていなかった。

 地裁は第2手段をサポートするための十分な記載がないとして特許を無効とする判決をなした。しかしながらCAFCは、第1手段のみによっても課題を解決することができることから、第2手段に対する記載が不十分であることを理由に特許無効と判断した地裁の判決を取り消した。

 

2.背景

(1)特許発明の内容

 Crown Packaging(原告)はU.S. Patent No. 6,935,826 (以下、826特許という)およびU.S. Patent No.6,848,875 (以下、875特許)を所有している。826特許および875特許は明細書の内容を共通にする関連特許である。826特許は装置クレームを権利化しており、875特許は対応する方法クレームを権利化している。以下では826特許について代表して説明する。

 826特許には、飲料水の缶を製造する際の筒端と缶底とを継ぎ合わせる際に使用する金属量を低減する2つの手段が記載されている。具体的には、「チャック壁(缶底と缶側面とを連結する壁)の傾斜を増加させること」、および、「ビード幅(缶底の環状リブ)を狭くすること」により継ぎ合わせ時の金属使用量を低減するものである。以下2つの手段について説明する。

(i)従来技術に対する第1の手段

 参考図1は従来の缶端を示す断面図である。

参考図1 従来の缶端を示す断面図

 参考図1の符号Cで示すとおり、先行技術における缶端は、垂線に対して相対的に小さな角度Cを有する缶端壁を有している。先行技術における缶端壁の角度Cは、垂線に対し12度から20度である。参考図2は826特許の缶端の断面図である。

参考図2 826特許の缶端の断面図

 826特許におけるチャック壁は、垂直な軸に対し30度から60度、好ましくは40度から45度傾斜している点を特徴としている。明細書の記載によれば、チャック壁の傾斜をよりなだらかとする、すなわち垂線に対し角度Cを増加させる形状を採用することによって、缶端の製造時における金属の使用を低減できるというものである。

(第2回へ続く)

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