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早わかり中国特許
~中国特許の基礎と中国特許最新情報~
第1回 中国特許の基本的枠組み(第1回)
河野特許事務所 2011年7月8日 執筆者:弁理士 河野 英仁
1.中国専利法の歴史
中華人民共和国専利法(以下、専利法という)は、1984年3月に開催された第6期全国人民代表大会(全人代)を経て26年前の1985年4月1日をもって施行された。経済の急速な発展及びWTO加盟に伴い、中国政府は矢継ぎ早に3度の法改正を行った(表1参照)。
表1 専利法改正の経緯 |
特に第3次改正時は、特許要件の引き上げ、類似外観設計(日本でいう意匠)登録出願制度の導入、特許評価報告制度の範囲拡大、発明特許・実用新型(日本でいう実用新案)特許重複出願制度の明確化、損害賠償に関する規定の導入、中国内で完成した発明に対する保密審査の導入等、多くの重要な規定が導入された。これらの詳細については次号以降に詳述する。
また中国専利法は日本の特許法、実用新案法及び意匠法をミックスした規定となっており、「発明」、「実用新型」及び「外観設計」の3つをまとめて保護している(表2参照[1])。
中国専利法第2条 |
日本国特許法第2条第1項 |
本法でいう発明創造とは、発明、実用新型及び外観設計をいう。 発明とは、製品、方法、又はその改良について出された新しい技術をいう。 実用新型とは、製品の形状、構造又はそれらの組合せについて出された実用に適した新しい技術をいう。 外観設計とは、製品の形状、模様又はそれらの組合せ、及び色彩と形状、模様の組合せについて出された、美感に富み、工業的応用に適した新しいデザインをいう。 |
この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。 |
表2 中国専利法と日本国特許法との対比
日本では実用新案制度のニーズは著しく低く、また意匠制度のニーズも高いとはいえない。これに対し、中国は特許と言えば、発明特許、実用新型特許及び外観設計特許の3つであり、技術内容、中国市場のニーズ、製品のライフサイクル及び模造品被害の実態に応じて、これら3つを戦略的に活用することがポイントとなる。中国市場向けの特許戦略については回を改めて説明する。
[1] 下線は筆者において付した。
(第2回へ続く)
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