私の手のアトピーが教えてくれたこと - 和食・家庭料理 - 専門家プロファイル

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閲覧数順 2024年04月19日更新

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私の手のアトピーが教えてくれたこと

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  1. 趣味・教養
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よい食材を考え、選ぶこと

こんばんは、高窪です。
週の後半の夜、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

昨日は会合・会合の一日で、
さまざまな方たちとお目にかかりお話する機会をいただきました。

料理と食をこれからの人生の仕事と思い定めて、
思い切って仕事を辞めて独立して3年目。
周りの方たちのたくさんのご助力をいただいて、
少しずつ、芽が出てきています。

ずっとずっと料理が好きで、出来れば料理の仕事に就きたいと思っていた学生時代。
それを許さなかったのが、私の“手”でした。
すさまじいアトピーで、手はいつも包帯でグルグル巻き。
寝ている間にそれを取ってかきむしり血だらけ、ということもよくありました。

父のアレルギー体質を完全にいただいてしまった私。
父のことも随分恨みました。
欲しくないものをなんでくれたの、と長い間思っていました。

そんな中で、アトピーに良いというものは随分試しました。
お茶にニンニク療法、サプリメント、その他もろもろ。
皮膚科にも通いながら、だましだましなんとか過ごした長い時間。
手が切れて、痛い思いも数えきれないほどしました。

それでも料理がしたくて、自宅で随分作ったものです。
作りたいものは何でも。
どのジャンルでも。
料理の基本は母がしっかりと仕込んでくれていましたから、
あとはひたすらそれを磨くだけ。
家族に作ったり、お客様をおもてなししたり…。
このまま、料理を仕事には出来ないのだろうなぁと思いながら。

最初の転機は10年前。
それまでの仕事から、メーカーのインターネット編集へ転職した時でした。

インターネットの黎明期から、成長期へちょうど入るころ。
あの頃、面白くて面白くて夢中になって仕事をしました。

その取扱い商品の中に、食品もありました。
なかなかインターネットの価値がわかってもらえず、予算がつかなかった時代。
今考えると、それがよかったのだと思います。
自分で自社商品を使った販促用レシピを考え、調理し、
スタイリングし、写真撮影までして販促コンテンツを作る。
企画が通ったのです。

それから出産までの三年間は、本当によく仕事をしました。
会社には料理をする場所がなかったため、休日に買い出しをし、
調理をし、会社まで持っていって撮影。
もちろん、たくさん抱えている仕事の一つとして、必死でした。

次の転機は、出産でした。

勤めていた会社は、なかなか厳しい会社で、
その当時、出産後の育児休暇は実質的にはありませんでした。
今では考えられないことですけれど。

いろいろありましたが、仕事を続けたい、
その一心で臨月まで仕事をし、有給休暇も使って産後2か月半で復帰。
時短も実質的にありませんでしたから、朝早く起きて赤ちゃんを抱えて
会社近くの保育園まで通勤し、出勤。
退社後、子供を迎えに行って帰路につく。
復帰後、2か月で泊まりの取材出張。
その後は残業続き。

今の家ができるまでの3カ月、今となってはよく頑張ったとしか言いようがありません。
引っ越しを終えた後、高熱を出してダウン。
自覚はありませんでしたが、疲れはピークに達していました。

出産後10カ月が経過したころから、身体に変調がおきました。
今までなんとかなっていた手のアトピーが一気に悪化したのです。
そして、あっという間に全身に広がってしまいました。
ステロイド剤を付けても、すぐにまた悪化。
顔などはなんとかおさまっても、
手は血だらけで、毎日白い手袋をしてキーボードをたたいていました。

このまま治らないかもしれない。
娘の髪が伸びてきて、いじってあげたくても手の亀裂に触って激痛が走り、
素手で触ることもできませんでした。
入浴もすべて使い捨て手袋使用で、出口がないかと思いました。

そんな状況でも、料理を止めることはありませんでした。
大好きな料理をどうしてもしたい。
使い捨て手袋の中が血で汚れるような状況でも、作り続けました。

その時に随分悩んで考えました。
対処療法の外用薬で治癒はできないかもしれない。
だったら、身体の中からなんとかできないか。
今までも食材には気を付けていたけれど、もう一度見直そう。

外食では仕方ないけれど、自宅での食事作りでは
添加物その他を出来る限り排除しよう。
そう決めて実行に移しました。

最初は目に見える効果は出ませんでした。
それは当たり前のこと。
長い時間がかかるとは覚悟していましたが、本当につらい時間でした。
仕事で外に出ていると、事情を知らない人にも会うので随分嫌な顔もされました。
手ですから。

手がきれいになるまで、4年かかりました。
でも、きれいになりました。
今でもケアしないと、アトピーは出てきます。
けれど、ケアの仕方もわかりました。

足首のアトピーはいまだに治りません。
完全になるまでは、まだまだ長い時間がかかります。

そしてさらに転機が来ました。
さまざまあって、勤めていた会社を退職することに。

自分の身体が教えてくれてたこと。
手が教えてくれたこと。
本当によい食、
絶滅寸前の家庭料理を
一人でも多くの方へお伝えしたい。

何の縁故もなく、自分の信念だけで始めた仕事は、
予想以上にきつい状況が続きました。
けれど、周りの方たちのご助力をいただいて、
今、少しずつ認めていただけるようになってきました。

素晴らしい生産物を作っていらっしゃる方たちとの
出会いにも感謝の毎日です。

もし、私がアトピーでなかったら、
手のアトピーであれだけ苦しまなかったら、
今の私はいないのだ、と、
何かの折には、手を見つめながら思っています。

私の手が教えてくれたこと。
それは、食の大切さ。

食べることは生きること。
忘れがちなこのこと、思い出して下さいね。

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(東京都 / 料理講師)
株式会社アッサンブラージュ 100%天然素材家庭料理実践家

海や大地と家族をつなぐシンプル調理で美味しい家庭料理

「また作ってね」と褒められる!化学調味料・食品添加物フリー・素材にこだわるワンランク上のおうちごはん、高窪美穂子の料理教室・クッキングサロンM&Y主宰。著作に2016グルマン世界料理本大賞Fish部門世界第3位受賞「ラクチン!お魚クッキング」など。

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