- 根本 雅子
- L.C.L. 根本 雅子
- 経営コンサルタント
対象:会社設立
先日、ファイナンシャルタイムス(日本の日経新聞のようなもの)を、地下鉄で読んでいると、隣に座っていたアジア人女性が、のぞきこんで、「この人は、イギリスで仕事をしている人?」と、話しかけてきました。
その一面には、アジア女性の大きな写真が掲載されている記事。
アーンストアンドヤング(世界4大会計会社の一つ)による、「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー(今年の起業家)」で、見事、世界ナンバーワン起業家に選ばれたのは、シンガポールのハイフラックス・グループのオリビア・ラム女史でした。彼女が、世界の起業家から栄光のナンバーワン起業家として選ばれ受賞し、トロフィーを手にした笑顔の写真です。
新聞には、彼女の生い立ちから書かれていて、簡単に要約すると、次の通りです。
マレーシアで孤児として生まれ、他の孤児と一緒に住み、育った家には、ブリキの屋根で雨が降ると雨漏りのするところでしたが、パパイヤを売りながら教科書を買い、家族をささえ、大学で化学を勉強しました。
化学者としてグラクソスミスクライン(大手製薬会社)で、水処理の部門で仕事をしている時に、「環境に良い水処理」を創る事を考え、グラクソスミスクライン辞めました。
辞める時、信頼できなかった上司に「私は、お金も、売れる技術も、お客様もありません。でも、私は、このアイデアは大きな成長産業になる可能性を感じ、環境に良い何かを創れます。」と、宣言しました。
約150万円、2人という従業員で始め、破産の危機もありましがた、今では、シンガポールで上場し、約450億万円、2,300人を超える従業員まで拡大し、事業は、東南アジア、中国、インド、中東と拡大しています。
彼女曰く、
「今でも私の会社は、固く結ばれた家族のようです。報告も横のつながりで行われ、官僚体質はなく、意思決定が早く行える環境です。会社の規模に関係なく、素早く動け、柔軟性があることが、起業家として成功できる秘訣」
また、
「起業家は、最初に失敗するかもしれない。2回目も失敗するかもしれない。でも、起業家は決して諦めません。ダメだということは、容易ではありません。いつも、明日がより良い日だと考えます。楽観的である必要があるのです」
そして、受賞の言葉では、
「大変嬉しく思います。飢えと貧困を乗り越えた経験があれば、どんな困難も乗り越えられると確信しました。他の素晴らしい起業家候補から私を選んで頂き、大変光栄です」
新聞を覗き見したアジア女性に、この要約を伝えると、彼女の顔が、とても上気し、目が輝き、私もその新聞を買うわと言って、大きな笑顔で次の駅で降りていきました。
ロンドンの地下鉄での数分の出来事でしたが、この起業家賞のラム女史と偶然隣に座ったアジア女性に元気を頂いた数分でした。
毎日、様々なことが起きますが、乗り越えられないものはないと、改めて、私自身にも伝えられたメッセージでした。
このコラムに類似したコラム
金融機関の合併や地銀再編など 高橋 昌也 - 税理士(2021/04/27 07:00)
【女性向け起業家支援】 森 滋昭 - 公認会計士・税理士(2014/10/16 12:52)
起業のコトなら 恵良 健太郎 - 税理士・公認会計士(2014/04/06 19:28)
起業で多くの人の協力をいただいたけれど・・ 中山おさひろ - 起業コンサルタント(2013/07/16 20:00)
起業について思うこと 3 ~資本金の金額 田中 紳詞 - 経営コンサルタント/ITコンサルタント(2013/06/28 00:41)