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日経記事;『富士通、IT使った創薬探る』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月11日付の日経新聞に、『富士通、IT使った創薬探る 東大と共同開発 がん治療薬など効率化』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『富士通と東大は10日、ITを活用した創薬の共同開発は始めたと発表した。
たんぱく質などの解析技術とスーパーコンピューターによる高精度の模擬計算を組み合わせ、がんや生活習慣病の治療薬を効率よく開発する。

新薬の開発スピードを高めコスト削減につなげる。

国内の製薬大手3社とも共同開発を検討中。開発した化合物は製薬会社を通じて販売する。肝臓やすい臓、前立腺などのがんやメタボリック症候群などの薬の開発を狙う。

富士通が手を組む東大先端科学技術センターの児玉教授らは、病気を起こすたんぱく質などを詳しく解析する技術を持つ。

コンピューター上で様々な化合物をつくり、たんぱく質に強く作用するかどうかを細胞実験などと同程度の精度で評価。
副作用が少なく効果の高い化合物を見つける。

3年後をめどに、新薬候補となる化合物を効率よく作り出す基盤技術を確立する。児玉教授は「2年後には最初の新薬候補の化合物を生み出したい」と話す。

富士通は薬の特許や売り上げの一部から利益を得る。

コンピューターを活用した創薬スピードを上げる試みはこれまでもあったが、既存の化合物を選別したりすることが主で、全く新しい薬の開発にはつながりにくかった。
計算結果の信頼性も低かったという。

東大と富士通は昨年から、体内で再発・転移したがん細胞を攻撃する「抗体医薬品」でも協力している。

富士通はITを駆使した創薬研究で20年の蓄積があり、シンガポールの政府系機関とも共同開発を昨年始めている。』


このIT創薬とも言うべき事業は、化合物設計の段階でシミュレーション技術を活用し、同定したタンパク質の構造からコンピュータ上で効果のある化合物構造を仮想的に設計し、効果の高い新規化合物を短時間、低コストで創出する方式です。

従来の技術では、患者に薬を投与した生体の環境を想定したシミュレーションは困難ですが、次世代創薬手法として期待されています。

他の記事によると、『共同研究では、先端研が研究している「疾患を引き起こす原因と考えられるタンパク質の情報」を基に、富士通が開発したコンピュータ上で実際の実験に匹敵するほど高い精度で薬効の予測、選別が可能な、低分子設計ソフトと、高精度結合活性予測ソフトを活用して低分子化合物を設計する。その後コンピュータ上で設計した化合物について、先端研で生物・化学実験を実施して評価する。』となっています

現在、新薬開発は踊り場に差しかかっています。画期的な新薬は既に開発済みであり、今までのやり方だと巨大な開発費をかけても、成功するかどうか不確実性が残ります。

国内製薬メーカーは、武田薬品を除いて企業規模が大きくなく、新薬開発に巨額資金を投入できる状況ではありません。

国内市場は、少子高齢化による人口減少と、健康保険費用削減で薬品市場は縮小しており、今後とも厳しい事業環境が続きます。

この事業環境を打破するには、「ジェネリック医薬品(新薬の特許が切れた後に発売される薬)」事業を行うか、新薬開発を続けるかの方法を選択する必要があります。

新薬については、現時点ではがんや生活習慣病に効く薬品はまだ市場になく、今後とも新規開発が期待される分野があります。

今回の富士通と東大の共同研究は、この新薬開発の手法に新たな可能性をもたらすものと考えます。

従来では難しかった実際の実験に匹敵するほど高い精度で、医薬品の候補となる低分子化合物の設計、および設計された化合物が疾患の原因となるタンパク質と、どのように作用するかのシミュレーション評価が可能となるとのこと。

低分子化合物は、分子量が小さく医薬品の候補になりうる化合物。市販の医薬品の多くで使われており、化学合成により安価で大量に製造することができます。

さまざまな化学構造からなるため、新しいIT創薬技術を導入することにより、病気の原因となるタンパク質に選択的に作用する従来にはない画期的な医薬品の開発が期待されているとも報じられています。

開発期間を短縮できて、画期的な医薬品が出来れば、国民は安い価格での購入が可能になり、海外への輸出も期待できます。

IT技術を徹底的に使いこなす創薬の新規手法確立に期待します。
ぜひこの分野で世界をリードして欲しいと考えます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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