- 田中 伸裕
- 田中伸裕建築事務所 代表
- 岐阜県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
家を建てるにあたり、ほとんどの場合、ハウスメーカー・工務店・設計事務所のどこかを選ぶと思いますが
それぞれに一長一短があるのでどこで家を建てると得かというのは一概には言えません。
建て主一人一人、家に対する考え方も違うのですからどこが損ということもないのです。
ハウスメーカーをパートナーとして選んだとすると
・ハウスメーカーは会社も大きく資本金もたくさんあります。
・独自の住宅ローンを持っているところもあり、上場している会社もあります。
・会社が大きいから信頼感があるように感じるということでハウスメーカーで建てられる方が多いのでしょう。
・大量生産・大勢の下請けによるコスト削減、工業製品化によるプラモデルハウス短工期の実現です。
・2か月経たない間に家が出来上がります(工事工程、養生を考えると恐ろしい話ですが)。
・設計料も工事費にこっそり上乗せされています。
・良さそうに見えますが、モデルハウスの維持費・会社が大きいがための部署の維持費
CMタレントの出演料なども建て主が払ってあげることができます。
・上記の費用が、建物価格の4割近くを占めていると言われ、実際に本当に建物に掛っているお金が見えません。
・用意されているプランから変えるにはすべてオプション扱いです。家を建てるのに「オプション」とは
おかしな感じもします。
家を建てるのではなく「買いたい」と考えている方や、自分の手間を最小限に勝手に家を建ててほしい。
雨風防げるそこそこの家が建てばいいという方はハウスメーカーがパートナーとして合っているかもしれません。
工務店をパートナーとする方は、親戚や親さんの関係や紹介がほとんどです。
・身内ということで費用を押さえてもらったりはありますがその為、言いたいこともあまり言えないことが
多いようです。
・腕の良い職人さんを抱えているところもありますが、残念ながらあまり腕の良くない職人さんしかいない
ところもあります。
・上記のことから、1社に頼むでしょうから家の出来・不出来は運次第といったとこでしょうか。
(当然、仕事に誇りを持って良心的に仕事をしている工務店もあります)
工務店によってはハウスメーカーの住宅展示場をお客さんに見学させてどんな家がほしいか選んでもらい、
その建物と同じような家を建てている工務店もあるのです。
そして、会社の規模もハウスメーカーほど大きいわけではないので経費も少なくて済む為、
住宅展示場にあるような家をそっくり作ったとして、ハウスメーカーと同等か、安くなるくらいです。
設計事務所をパートナーとする場合は、
・設計監理で収入を得ているので、必ず設計料が発生してきます。
・たった一つの建物を創っていくのでオプションというものも存在しません。
・設計事務所にいるような人は良くも悪くも「建築バカ」な人が多いので家づくりに対して建築主の夢を
実現しようとこだわり色々な材料や工法を提案していきます。
・大体において家が出来上がるまでに時間がかかり、設計事務所に頼んだ時から1年後位に完成というのが
多いようです
「家なんてなんでもいい」という方ですと、家について熱く語り、設計に反映させるため、建て主の生活を
知ろうとする設計事務所は煩わしく感じるかもしれません。
また、工事は工務店に依頼することが多いので、数社からの見積りとするため建物に掛る本当の金額を比較すること
ができます。その為、設計料を払ったとしても相対的に高い家になることがないのです。
では、巷でよく言われる「建築設計事務所に頼むと高くつく」といわれるのはなぜかですが、多くの場合、
打ち合わせをしていく中で、チラシから選ぶわけではないので様々な材料の良いものを知ってしまうとそれが
予算オーバーでも「一生に一度のマイホーム、折角建てるのだから・・・」という気持ちが建て主に出てきて、
無理してでも良いものを選んでしまいがちです。その結果、建築費が高くなってき、
「建築設計事務所に頼むと高くつく」と言われている訳です。
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